U の商品レビュー
事件の概要を知りたければ別の本が良いかもしれない。森さんの司法制度に関する長年の違和感についての話がベースになっているので。
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わからない、というのが正直な感想だ。 相模原の事件とは一体何だったのか。結局、犯人はどんな人物で何が狙いだったのか。 本書はその異常性だけを語るものではない。異常な事件が起きた、ではそれを繰り返させないためにはどうするのか? を徹底的に語っている。 それを知り、分析し、ではどう...
わからない、というのが正直な感想だ。 相模原の事件とは一体何だったのか。結局、犯人はどんな人物で何が狙いだったのか。 本書はその異常性だけを語るものではない。異常な事件が起きた、ではそれを繰り返させないためにはどうするのか? を徹底的に語っている。 それを知り、分析し、ではどうすればいいのか、それをメディアや政治家たちが取り上げるべきだ。だが、彼らはそうしない。読み応えのある作品である。
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相模原障害者施設殺傷事件が起きたのは2016年7月。知的障害者福祉施設「津久井やまゆり園」の入所者19人を刺殺したのは元職員の植松聖である。この事件について知りたかった。犯人の植松とはどういう人物なのか知りたかった。 読み終えて。森達也氏の力が存分に発揮された素晴らしい本だった。...
相模原障害者施設殺傷事件が起きたのは2016年7月。知的障害者福祉施設「津久井やまゆり園」の入所者19人を刺殺したのは元職員の植松聖である。この事件について知りたかった。犯人の植松とはどういう人物なのか知りたかった。 読み終えて。森達也氏の力が存分に発揮された素晴らしい本だった。事件について、また植松についても書かれているが、メディア論、裁判員制度の問題、精神鑑定のあり方など、様々な角度からの考察が書かれている。 著者の文章は歯切れが悪い。考えながら悩みながら書かれていることがよくわかる。ゆえに、著者と一緒になって読者も考える。明確な結論を提示するわけではない。考え抜かれた自説を歯切れ良く展開するわけでもない。むしろ、疑問を投げかけ、読了後も考え続けることを促す。 橋本治のように、読者に考えさせることができる書き手と久しぶりに出会った。稀有な作家である。
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「生産性」が重視されるこの現代社会で、私たち一人一人の中にも、少なからず「U」がいるのかもしれない。もちろん、あそこまで極端ではないにしろ。だからこそ、この事件や、オウム事件の真相は、私たちのためにも解明されなければならなかったのだ。
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上東さんの本の次に手に取った本。「死刑」はもっとも重罰で、残酷な事件の死刑判決に対して、被害者家族は少しは報われるのかなと思っていたけど、それは社会としてはただの尻尾きりで、社会としての根本解決には少しもなっていないのだと知った。「死刑」も読んでみよう。
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社会から逸脱した存在。どうしても、そう思えない気持ち悪さがあった。社会からはみ出した部分じゃないからこそ、共感する人がいた。批判する人がいた。蓋をしてしまう人がいた。 グレーゾーン。それは社会の外部ではなくて、内部のもの。社会が作り出した二元論の狭間から、生まれ出てきたもの。だ...
社会から逸脱した存在。どうしても、そう思えない気持ち悪さがあった。社会からはみ出した部分じゃないからこそ、共感する人がいた。批判する人がいた。蓋をしてしまう人がいた。 グレーゾーン。それは社会の外部ではなくて、内部のもの。社会が作り出した二元論の狭間から、生まれ出てきたもの。だから、どこか自分の中に既視感がある。グレーゾーンで社会の欠片を拾い集めた彼は、AIみたいだな、と思った。決して他人事ではない。彼を作り出した社会の欠片であるという自覚を。
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p206 アメリカの禁酒法は失敗した ロシア帝国でニコライ2世が禁酒法を断行しようとしたことがロシア革命のきっかけ ゴルパチョフが行った反アルコールキャンペーンが遠因となってソ連邦は解体 p224 グロスマン 戦争における人殺しの心理学 第二次世界大戦 前線の兵士の発砲率 10...
p206 アメリカの禁酒法は失敗した ロシア帝国でニコライ2世が禁酒法を断行しようとしたことがロシア革命のきっかけ ゴルパチョフが行った反アルコールキャンペーンが遠因となってソ連邦は解体 p224 グロスマン 戦争における人殺しの心理学 第二次世界大戦 前線の兵士の発砲率 10-15% 条件付をポイントに訓練を見直し ベトナム戦争で発砲率は上昇 しかし帰還した兵士のPTSDを抱えることになった p231 裁判員裁判がはじまって分厚い鑑定書がA4 2-3枚になった 裁判員が理解できるようにするため p256 かつてテレビ業界にいたころ、なぜ今のテレビはあんな下らない番組をゴールデンタイムに放送しているのか、とよく聞かれた。どちらかといえば詰問だ。本音としてはこう答えたい。あなたたちが見るからだよ p270 社会の注目をあつめる事件になればなるほど、精神鑑定の結果はほぼ間違いなく人格障害か自己愛パーソナリティ障害です。責任能力は認定される。だから死刑判決を下すことができる。言い換えれば裁判が、死刑判決を下すためのセレモニーの場になってしまっている。
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識者達とのインタビューを通して事件を紐解く・・否、紐解かない。どころか、あえてもつれさせる。「責任能力なし」に納得いかなくてもそれが法の趣旨。加害者に「お前が悪いんだ」と制裁を加え、溜飲を下げるために刑罰があるのではない。寛容を求めるわけではない。起きてしまった過ちをまた起こさな...
識者達とのインタビューを通して事件を紐解く・・否、紐解かない。どころか、あえてもつれさせる。「責任能力なし」に納得いかなくてもそれが法の趣旨。加害者に「お前が悪いんだ」と制裁を加え、溜飲を下げるために刑罰があるのではない。寛容を求めるわけではない。起きてしまった過ちをまた起こさないためには?裁判は手続きというアリバイのためにあるのではない。書くことは誰かを助けるが誰かを傷付ける。その覚悟を持つ人だけがやる。「わかり易さ」に甘んじてはいけない。「わからない」もどかしさがなければ、「わかる」ことさえできない。
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死刑制度、陪審員裁判、メディアのあり方、障害者差別、トランプ安倍首相に代表される過剰な権威主義への傾倒、国民倫理のあり方・・・・一通り網羅されてはいるもののやはり重点が置かれるのは精神鑑定を軸とした司法の問題だ。 だがいくらその異常性を網羅されても、つまり正常な精神状態ではなかっ...
死刑制度、陪審員裁判、メディアのあり方、障害者差別、トランプ安倍首相に代表される過剰な権威主義への傾倒、国民倫理のあり方・・・・一通り網羅されてはいるもののやはり重点が置かれるのは精神鑑定を軸とした司法の問題だ。 だがいくらその異常性を網羅されても、つまり正常な精神状態ではなかったとされても、結局本人の内面性は不可知領域である以上論点にすべきではない。何も前に進まなくなるのだ。 実は本書に抜け落ちている視点が被害者遺族のものだ。遺族は何よりも死刑判決に対して抗うべきではなかったか。名前や写真の公表を控えるのは心情的には理解ができるが、異なるものを排除するという点において死刑制度はまったく植松の心情と合致しているものだからだ。 これに異を唱えなかった遺族にこそ障害者の差別意識と愛情の欠落が見えてとても悲しい。 本作が発行された直後、1月6日にアメリカの議事堂の襲撃が起こった。表面的な事件も国も社会のとらわれ方も違うが、構造は明らかに相似している。 もちろんそれが全ての原因であるとは言えないが、その論考を是非共有したい。 すなわちトランプや安倍政権の権威主義やその権威をまさしく笠に着て盛り上がるネットにおける右派的論考がなかったとして果たしてこの植松の事件は起こったのだろうか。 2016年という右派論壇真っ盛りの時期といい、あまりにもわかりやすいこの想像に警戒しなくてはならないが、植松本人の幼児性を考えるとありえない話ではないように思う。恐ろしいことに。
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私自身は死刑制度賛成派ですが、そもそも精神鑑定が適切に行われているのかという観点で考えたことはなかったので勉強になりました。 精神異常があるから死刑を免れて然るべきという考えにはならない(精神障害を持った方も殺人せずに一生を全うされる方のほうが断然多いはずですし、健常と診断された...
私自身は死刑制度賛成派ですが、そもそも精神鑑定が適切に行われているのかという観点で考えたことはなかったので勉強になりました。 精神異常があるから死刑を免れて然るべきという考えにはならない(精神障害を持った方も殺人せずに一生を全うされる方のほうが断然多いはずですし、健常と診断された方でも殺人をする人はすると思います)ので、それだけで死刑に反対するのもどうかと思いますが。(そもそも刑法36条に問題があるような気も、、)
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