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日本の司法制度、メディア、社会のあり方について考察したもの。相模原の津久井やまゆり園事件を通して丁寧に考察を重ねていく。裁判員裁判制度のためか、あれほどの大事件がおよそ1ヶ月で結審し、結果としてなぜこのような事態が生じたのかは何も明らかにされなかった。「裁判で事実を明らかにする」...
日本の司法制度、メディア、社会のあり方について考察したもの。相模原の津久井やまゆり園事件を通して丁寧に考察を重ねていく。裁判員裁判制度のためか、あれほどの大事件がおよそ1ヶ月で結審し、結果としてなぜこのような事態が生じたのかは何も明らかにされなかった。「裁判で事実を明らかにする」ってのはもう期待できない。 一方で報道する側のメディアについても、メディアは社会によって規定されるものであり「メディアやマスコミがゴミ」というなら社会がゴミであるというのと同義だという。そしてゴミが選挙で政治家を選んでいるのが、今の日本なんだとする著者の言は、著者がメディア側の人間であることを差し引いても、ちょっと怖い一言だなぁ。
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森達也氏の本は好きでついつい読んでしまいます。 どの本も世の中への問題提起となる部分が非常に核心的で多くの事を考えさせられます。 ノンフィクションなのにやや小説がかった文章も個人的には好きで感情移入しやすいです。 読み始めると止まらずに一気に読み終えてしまいました。 この...
森達也氏の本は好きでついつい読んでしまいます。 どの本も世の中への問題提起となる部分が非常に核心的で多くの事を考えさせられます。 ノンフィクションなのにやや小説がかった文章も個人的には好きで感情移入しやすいです。 読み始めると止まらずに一気に読み終えてしまいました。 この著者の本はどれでも言えることですが大事なことは自分で考えることを放棄しないということ。 おすすめです。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
善と悪の二元論。その間にあるグレーゾーンから目を反らすな。世界はもっと複雑で優しい。そんな森さんの通底するテーマを、相模原の植松聖による障害者襲撃事件を題材に語る一冊。昨今の裁判は、陪審員制度が始まってから極端に描ける時間が短くなっており、極刑を前提に精神鑑定による責任能力の有無のみに終始する。刑の軽重の問題でなく、純粋に事実があいまいなまま終わらせてしまうことへの警鐘を鳴らしている。障害者施設自体に何らかの問題はなかったか。もちろん責任の所在を問う目的ではないので、そこは大きく触れられずあえて問いかけのみに終わらせている。だからこそ、疑い悩むべきはぼくら。早々に結論をくだし、逡巡しない現代社会に冷水を浴びせる一冊でした!
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死刑制度とはなんなんだろう 殺人とはなんなんだろう 精神鑑定とはなんなんだろう 自己責任ってなんなんだろう 裁判員制度ってなんなんだろう 植松は、何者だったのだろう この本は決してわかりやすい答えは提示しない さまざまな問題を真剣に考え抜いた人たちとの対話を重ねながら、読者も...
死刑制度とはなんなんだろう 殺人とはなんなんだろう 精神鑑定とはなんなんだろう 自己責任ってなんなんだろう 裁判員制度ってなんなんだろう 植松は、何者だったのだろう この本は決してわかりやすい答えは提示しない さまざまな問題を真剣に考え抜いた人たちとの対話を重ねながら、読者も森さんと一緒に考えるだけだ この森さんのスタンスに、新聞記者のドキュメントで大いに感銘を受け、彼の著書を読み漁っているが、これこそが大事なことだったのだと、個別の事実以上にそのスタンスに共鳴している。 僕は、どうするのか
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