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本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること の商品レビュー

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7件のお客様レビュー

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2022/03/06

日米安保体制の問題点に関する重要トピックがわかりやすい形で提示されていてよかった。 “沖縄の人たちは決して反米思想の持ち主ではない。ただ彼らが訴えているのは、「日米安保条約が日本の防衛に必要なら、日本全体でその負担を分けあってほしい(略)」というごくまっとうな要求なのだ。このシ...

日米安保体制の問題点に関する重要トピックがわかりやすい形で提示されていてよかった。 “沖縄の人たちは決して反米思想の持ち主ではない。ただ彼らが訴えているのは、「日米安保条約が日本の防衛に必要なら、日本全体でその負担を分けあってほしい(略)」というごくまっとうな要求なのだ。このシンプルな論理に反論できる人間は、地球上どこにも存在しないだろう。”(p.15) という書き出しで期待しながら読んだが、著者自身の提案は、外国軍の駐留を禁じた条項を追加する憲法改正案(p.227)で肩透かしを食らった。少しくらい基地引き取りに触れてくれてもよかったのでは。

Posted byブクログ

2021/03/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

私達は事あるごとに沖縄の基地問題に触れている癖に、絶対的他人事を決め込んでいる。 現地に行っても帰ってきたら忘れる。 自分の家族や恋人をレイプした犯人が同じ島に住んでいるのに、何もできないことが常態化している。 特にこの書で触れたことで知ったアメリカの姿に驚きを隠せない。以下はネタバレもあるのを承知で読んで下さい。 アーミテージ氏は、対テロ戦争でアメリカに協力しない場合、パキスタンに対して「味方でなければ敵だ」と伝えたことは認めた。 なんでイラクから7年で撤退したのに、沖縄には75年経ってもまだ居座っているんだ米軍は。 司馬遼太郎さんが1972年の月刊現代で 中国とは絶対に仲良くしなければいかんのです。と語り アメリカの問題を考える上で、もし侮米という気持ちが起こるとしたら、アメリカと戦争できるかどうかを、まず考えてみなければいけません。とも残している。 フィリピンにできたことは、日本にも必ずできるとし 20xx年以降、外国の軍事基地、軍隊、施設は、国内のいかなる場所においても禁止される この一行を国会と国民投票で決議すればそれで終わると。 何とかしなくてはいけない。 私が沖縄のために出来ることは、選挙でしっかりこの問題に取り組んでくれるであろうリーダーに票を投じて行くことなんだと思う。

Posted byブクログ

2021/03/18

この手の本を読む際に気を付けたいのは、日本の進むべき道を間違えないことです。この点は、矢部氏も基本的には「親米・反基地」というスタンスのようです。私との違いは、米国に対して物言うように尖閣諸島問題を中国に対して言うべきだという点です。なぜか、この種の本では、「基地反対=沖縄を守る...

この手の本を読む際に気を付けたいのは、日本の進むべき道を間違えないことです。この点は、矢部氏も基本的には「親米・反基地」というスタンスのようです。私との違いは、米国に対して物言うように尖閣諸島問題を中国に対して言うべきだという点です。なぜか、この種の本では、「基地反対=沖縄を守る」という論理が「尖閣を守る=沖縄を守る」にはならない不思議さです。私も、沖縄の米軍基地は縮小し、日本独自の防衛力を強化すべき立場ですが、それよりもより本質的な「国連の敵国条項から外す」「日米地位協定の米軍基地の治外法権を正す」という交渉ごとからまず始めるべきです。矢部氏が指摘するように、日米同盟は平等条約のようなテイをしていながら日本の負担が大きな片務契約(矢部氏いわく、被植民地的)となっており、度重なる沖縄での米軍兵による犯罪に歯止めがかかっていません。とはいえ、フィリピンが米軍基地を撤去した後、中国に岩礁を奪われるというパワーバランスの崩壊の隙をつかれた事実も軽視すべきではありません。早急な米軍基地出ていけという要求は、中国の尖閣、沖縄侵攻のきっかけとなる可能性大だということです。そこで、最初の問いに戻ります。日本は自由主義陣営にとどまるべきか、中国共産党の影響下で生きていくのか、という究極の選択です。(もちろん、インドやオーストラリアなどのアジア諸国と新たな同盟の道を模索するという選択肢もありますが、それはまた別の議論です)私は、中国の支配下にある民族が強制的な同化政策を強いられているという点で、反中国の立場です。 さらに、矢部氏は現行憲法よりも日米安保条約の方が上位法になっていると指摘しています。この辺は、自民党が憲法改正できないので、日米安保体制の問題点を解釈改憲という形で変質させてきた経緯があります。こうした不備を解釈だけでやり過ごすのにも限界があります。憲法をきちんと日本人の手で書き換えるという作業が必要です。(矢部氏は、米軍によって書かれた憲法という認識ですが、書き直すことは考えていないようです)また、米国軍隊が有事に日本人を守ってくれるという幻想も捨てなければなりません。彼らが守るのは、日本にいる米兵だけ、少なくとも優先順位はそうなります。 最後に、解説の白井聡氏は「3・11の原発問題は戦後民主主義がフェイクであることを露呈した」と書いていますが、民主主義の問題というよりも、この人災とも言うべき原発事故でだれも責任を問われなかった点こそ問題だと思います。大規模な津波の予測は10年以上前から指摘されていたにもかかわらず、天下りのトップたちは何ら対策をとっていなかった、これは不作為でしかありえません。また、「高い支持を受けて誕生した鳩山政権が、たった一つの基地の行方すら思うに任せない」ことを嘆いていますが、そもそも代替案すら準備せず「最低でも県外」と混乱させた鳩山氏の勉強不足が原因なのは明らかです。 立場の違う人たちの本の効用は、そんな見方もあるんだ、そんな結論になるんだという新たな気づきがあることですかね。 著者:(やべ こうじ)1960年兵庫県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。株式会社博報堂マーケティング部を経て、1987年より書籍情報社代表。著書に『知ってはいけない――隠された日本支配の構造』(講談社現代新書)、『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』『日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか』(以上、集英社インターナショナル)、『本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること――沖縄・米軍基地観光ガイド』(書籍情報社)、共著書に『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』(創元社)。企画編集に「〈知の再発見〉双書」シリーズ、J・M・ロバーツ著「図説 世界の歴史」(全10巻)、「〈戦後再発見〉双書」シリーズ(以上、創元社)がある。

Posted byブクログ

2021/03/09

著者は沖縄の超初心者とのこと。沖縄を知ることで現在の日本の民主主義がいかに危うい国であるかを理解できるとの主張は全くその通りだと思う。与えられた民主主義で周辺国の反民主主義ぶりを笑っているうちに周辺の韓国、台湾、フィリピンそしていまやミャンマーさえもが独裁政権と闘って自ら自由を得...

著者は沖縄の超初心者とのこと。沖縄を知ることで現在の日本の民主主義がいかに危うい国であるかを理解できるとの主張は全くその通りだと思う。与えられた民主主義で周辺国の反民主主義ぶりを笑っているうちに周辺の韓国、台湾、フィリピンそしていまやミャンマーさえもが独裁政権と闘って自ら自由を得てきている!もの凄い皮肉である。憲法9条が大切だと言いながら、日米安保法制が優先する中で、日本は米国の片棒を担いでベトナム、アフガン、イラクの人民殺戮を行ってきた。そのことを日本国民は知っているのか!激しい攻撃であるがその通りである。1950年の砂川判決にあたって米国にとっては安保条約締結を違憲判断の対象外とさせるために田中耕太郎長官に働きかけをしたという驚きの主張!そして自民、民社党結成、そして日本テレに設立に際してのCIA資金など、本当か?と考えさせられる眉唾主張も多い。しかし、沖縄をもっと知ると日本の欺瞞性が分かってくるというのは本当にそうだと思う。日本の官僚が米国との密約を継承していて政治家は何も知らずにびっくり、公約を果たせないという説明に鳩山由紀夫首相の例を持ち出しているのは、なるほどと思わされる点が多かった。それにしても、ジョセフ・ナイ氏の「世界最強の核兵器をもつ米軍の兵士が駐留していることで、結果として日本への先制核攻撃が抑止される。つまり米軍駐留自体が抑止なのであって、日本の防衛そのものは基本的に日本の責任。それが新安保条約の本質」とは恐ろしい唸らされる言葉だ。

Posted byブクログ

2021/01/30

もやもやとしていたこと、わかっているようでわからなかったことを、スッキリ理解させてもろい自分なりに憲法や安保のこと、長期自民党政権がこんなぬダメなのに存続し続けてることなどを考えるきっかけとなりました。何よりアメリカ、米軍の圧倒的な物量、センスの良さをものがたる写真がキャプション...

もやもやとしていたこと、わかっているようでわからなかったことを、スッキリ理解させてもろい自分なりに憲法や安保のこと、長期自民党政権がこんなぬダメなのに存続し続けてることなどを考えるきっかけとなりました。何よりアメリカ、米軍の圧倒的な物量、センスの良さをものがたる写真がキャプションとともに美しく面白い。どの写真もきれいだなとかんしんするがなるほど風光明媚な一等地に、せせこましくない物資でセンス良く勝負してくるアメリカさんがいるからなのね。占領と同然の沖縄にふわふわと遊びに行く気になかなかなれない哀しい自分だが、この本の写真見たら行きたくなりました。素直で真摯で精緻な取材と勉強の賜物と感じる素晴らしい本です

Posted byブクログ

2021/01/24

沖縄における基地問題とは一体何なのか?それが日本という国に投げかける意味合いは何なのか? 沖縄を全く知らない”素人”の立場から、いやそのような立場だからこそ極めて本質的な冒頭の問に対してシンプルな答えを出せたのかもしれない。単行本として出版された本書は、基地問題の実態を知るため...

沖縄における基地問題とは一体何なのか?それが日本という国に投げかける意味合いは何なのか? 沖縄を全く知らない”素人”の立場から、いやそのような立場だからこそ極めて本質的な冒頭の問に対してシンプルな答えを出せたのかもしれない。単行本として出版された本書は、基地問題の実態を知るためのガイドブックパートと、先行研究やインタビューなどの取材に基づく叙述パートの二部構成となっているが、後者だけを抜粋したのが文庫版の本書となる。 本書を読むと、なんとなく知っている程度の生半可な知識がいかに実態と異なっているかということと自分の無知に驚かされてしまう。そして、基地問題を解決するための具体的な手法として本書の結論で示されるフィリピン(言うまでもなく、アメリカという国家にとって地政学的に沖縄と同じくらいの重要性を持つ)における米軍基地撤去の成功は、身近にこの基地問題を解決した先例がある、にも関わらずそれを知らない自身に対する羞恥も含め、衝撃を受けた。

Posted byブクログ

2021/01/19

2010年、本書の取材をした矢部宏治さんの人生が変わったように、1990年「沖縄の人はみんな知っていること」を知って、私の人生も少し変わった。そのことを書けば怖ろしく長くなるので、何とかして1/1000にまとめる。 沖縄には、日本の矛盾の塊りがある。一言で言えばそういう事を知っ...

2010年、本書の取材をした矢部宏治さんの人生が変わったように、1990年「沖縄の人はみんな知っていること」を知って、私の人生も少し変わった。そのことを書けば怖ろしく長くなるので、何とかして1/1000にまとめる。 沖縄には、日本の矛盾の塊りがある。一言で言えばそういう事を知ったのである。 単なる職場の平和サークルの学習旅行のために、今考えればどうして、ひめゆり隊の生き残り宮城喜久子さんが「語り部出張」にやってきたのか?どうして、あの有名な反戦地主の島袋善祐さんが対応してくれたのか?沖縄平和委員会事務局長が「安保の見える丘」を案内してくれたのか? と、書いても本土の人の大部分には知らない人たちだろう。詳しく解説する余裕はない。本書にも登場しない。ただ、矢部宏治さんも驚いたように、未知の単なる物好きのような矢部さんの取材にも沖縄で会う人全員が親切丁寧に沖縄基地の案内をしてくれたらしい。当初数ヶ月かかるかと思われた取材が2週間で完結したのは既視感があった。何しろ、私たちは2泊3日で沖縄の真髄に触れたのだから。沖縄で普通にニュースで流れていることは、本土では全然流れない。沖縄の人たちは、みんな知ってもらいたいのである。沖縄のことを。 矢部宏治さんが、沖縄問題や基地問題について何冊も本を書いて、ベストセラーを連発するようになったのは、2010年6月鳩山内閣の崩壊に疑問を持って沖縄に乗り込んだ時かららしい。その時まで誰からも本質的なことは聞けなかったのに、沖縄の人は一様にその本質を知っていたと言う。 「13年前と同じなのよ」 しびれるコメントです。基地の問題にくわしいキャスターや新聞記者、学者もいるはずなのに、どうして本土ではそういうことを言わないのか不思議でしかたありません。(68p) 1997年12月21日、辺野古の海上基地建設をめぐって名護市で市民投票が行われ、反対派が勝利した。その結果を受けて、反対派として当選していた比嘉鉄也市長(当時)は東京に行って橋本龍太郎首相と会う。すると、なんと「受け入れ」を表明。「同時に辞任する」意向を伝えた。 その仕組みは、遡れば細川首相が福祉税導入に失敗したからではなく「北朝鮮の核」のために辞任したことにも繋がるらしい。細川首相辞任のことは知らなかったけど、ある程度平和運動に関わり沖縄に何回か来たことのある者にとっては、矢部宏治さんの話は既視感のある話ばかりである。近くは仲井眞知事が東京で一夜で県民を裏切り、辺野古容認に走ったのが2013年年末だった。その直後に翁長知事が誕生しなかったら、どうなっていたか。反対に言えば、沖縄は良くぞあの時踏ん張ったのだ。そういう危機感を本土は共有していない。 本土では、お昼の番組で北朝鮮のことは毎日しゃべるけど、沖縄のことはその1/100も喋らない。 矢部宏治さんと同じように、矢部宏治さんよりも前に、私は沖縄に行き世界観が変わった。そのきっかけとなり得る、沖縄の地図と解説と写真と歴史的解説がこの本にある。騙されたと思って、この本をガイドに2泊3日で沖縄旅行をしてみるがいい。「この本には、こんな事を書いているのですがホントですか?」そう言って沖縄の人に聴いて見てみたら?もしかしたら、貴方の人生も変わるかもしれない。

Posted byブクログ