火喰鳥を、喰う の商品レビュー
『無理矢理捻じ曲げられるような展開に理解が追いつかない』 多くのレビューに書かれているとおり、本作のキーワードは『執念』。 この執念は、現実をも歪ませてしまうほど恐ろしい存在として作中では描かれる。 そして、それを火喰鳥という獰猛な生物と並べて描くことで、より恐怖が増していると...
『無理矢理捻じ曲げられるような展開に理解が追いつかない』 多くのレビューに書かれているとおり、本作のキーワードは『執念』。 この執念は、現実をも歪ませてしまうほど恐ろしい存在として作中では描かれる。 そして、それを火喰鳥という獰猛な生物と並べて描くことで、より恐怖が増していると個人的に感じる。 本作は、とある信州の田舎に暮らす久喜雄司が、太平洋戦争にて戦死した彼の大叔父・久喜貞市の日記を手に入れることから始まる。 そして、その日記を読み、死没日と思われる最後の日付に『ヒクイドリヲ クウ ビミ ナリ』と知らぬ間に刻まれたことをきっかけに、雄司をはじめとした人物の周りで起こる異変が作中では描かれている。 本作は、『ホラー』という分類をもちながら、『ミステリー』という要素もしっかり持ち合わせている。 (ただ、私は怖さが勝ってしまい、ミステリーとしてのヒントを完全に読み落としていた) ただし、物語はゆっくり進んでいるように見せかけて、突然私たちを突き放してくる。 セリフ一つで話がひっくり返ってしまう、そんな面白さが非常に堪らない。 ただ、その意味を理解するには時間がかかると思われる。 私はこの本を読了しているが、雄司以外の目線から読んでみると、また見えてくるものは変わってくるのかもしれない。 『執念』による恐怖、是非一度その目で確かめて欲しい。
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とある田舎で巻き起こる怪異のお話。 一家の墓から叔父の名前が削り取られ、そのタイミングで叔父が戦地で書いていた日記が手元へ戻される日、その日記を読んだことから理解不能なことが次々と巻き起こる。 主人公たちはなんとかその怪異を収めるべく戦うがーー ホラーは久しぶりに読んだ。 読ん...
とある田舎で巻き起こる怪異のお話。 一家の墓から叔父の名前が削り取られ、そのタイミングで叔父が戦地で書いていた日記が手元へ戻される日、その日記を読んだことから理解不能なことが次々と巻き起こる。 主人公たちはなんとかその怪異を収めるべく戦うがーー ホラーは久しぶりに読んだ。 読んでる間あったじんわりとした気持ち悪さがラストで爆発するのがなんとも。 ホラー好きだったはずなんだけど、なんだか好きにはなれない1冊だった。 登場人物に人間くささが少なかったからかな。
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ミステリ寄りのホラーという印象。並行世界も絡むので、SF要素も感じつつ。 最初と七日目以外の夢はミスリードさせられていたことが終盤で判明。怖くないけど没入できた。終盤の勢いが好き。すっきりしない結末だけど嫌いじゃない。タイトルは「火喰鳥」のままが良かった。英語のサブタイ追加は蛇足。作者の意思ではなさそう。 雄司が生きている世界がパラレルワールドで、貞市が伊藤と藤村を食べて生き延びて、千弥子が生きている世界が基本世界なのか。 雄司の最後の行動は、雄司が生きている世界を元に戻したのか。それとも、北斗登場から言われているように、世界の生存競争の結果、千弥子の世界に負けてしまったのか。 現実世界を侵してくるものを、互いが火喰鳥として認知しているのかな。 ご都合主義かもしれないけど、雄司の世界も救われていたらいいな。 どちらの世界の北斗も悪いヤツ。千弥子の世界には雄司はいないんだろうな。北斗にとって邪魔だろうし。生まれてくるのは亮君かな。 内容の良し悪しは置いといて、本作でデビューってすごいなと思いました。
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ラストで変な悲鳴が出た。え、このラストでいいの……? ハッピーエンドじゃないと駄目とは思わないけど、でもこのラストでいいのか……?? 誰も幸せになってない気がするんだけど……。(いや一人だけ超幸せになってる人がいるにはいるけど、そもそも彼に関してはなんともいえないので……)
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墓の名前から大伯父の名前が消された 時を同じくして、南洋の方で戦死した大伯父の手帳が見つかり里帰りすることになる どうもおかしい 家の者や戦友、マスコミまで得体の知れないものに巻き込まれていく 侵食されていく恐怖と、なぜそうなるのかミステリといばそうかな ホラー要素の方が強い気が...
墓の名前から大伯父の名前が消された 時を同じくして、南洋の方で戦死した大伯父の手帳が見つかり里帰りすることになる どうもおかしい 家の者や戦友、マスコミまで得体の知れないものに巻き込まれていく 侵食されていく恐怖と、なぜそうなるのかミステリといばそうかな ホラー要素の方が強い気がした そして最後まで読んだら、絶対読み返すのではないだろうか・・ ある意味納得出来ない自分がいます
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東南アジアの異国で見つかった戦死者の日記から、墓石の名前が何者かによって削り取られたり、日記に関連する人物の不審死が相次いだり。 横溝正史ミステリ大賞受賞作ということで期待して読んだが、私にはちょっと難しい展開だった。 なんとなく「ひかりごけ」に近いような「火喰鳥を、喰う」という内容が、食人の暗喩になっているのかなぁ、とか主人公の祖父は戦争で食べられちゃってる?とか先をいろいろと予想しながら読んだけど、全然違った。 話の後半はなんかSFチックな、因果調律が働いて変更された過去に現在の存在が脅かされる的な話になってきてよくわからなくなった。 結局火喰い鳥とはなんだったのか?字面がいいから選んだだけでは?と感じた。 タイトルが面白そうだったのに、残念。
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太平洋戦争末期に戦死した大伯父・久喜貞市の手記が手元に戻り、そこから始まった数々の異変。祖父の失踪、手記に書き加えられた不可解な文章、そして徐々に強くなる違和感。なんとも言えず不気味で、しかし引き込まれる読み心地のホラーです。 「死んだはずの久喜貞市が生きている」という、あり得た...
太平洋戦争末期に戦死した大伯父・久喜貞市の手記が手元に戻り、そこから始まった数々の異変。祖父の失踪、手記に書き加えられた不可解な文章、そして徐々に強くなる違和感。なんとも言えず不気味で、しかし引き込まれる読み心地のホラーです。 「死んだはずの久喜貞市が生きている」という、あり得たかもしれない世界が徐々に現実を侵蝕してくる、というのがメインの恐怖なのですが。しかしそのことによって自分の存在が危うくなっていく恐怖はあるものの、久喜貞市側の「生きたい」気持ちも切実なものがあるので、明らかな恐怖の対象とは思えません。だからこそその恐怖の対象を転嫁した存在が「火喰鳥」なのかな、と思うのですが。これが何ともいえず不気味で怖いのよ……装丁もインパクトあるしなあ。 ただし、貞市が生きたいというのはわかるにせよ、彼の存在がなぜこれほどまでに主人公の存在にまで関与してくるのだろう、というのが少し疑問だったのですが。それは最後まで読むとわかった気が。そこでさらにぞっとさせられます。そうかあの人の……!
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買ったあとに ホラーだったことに気がついて しばらく放置してたやつ 衝撃の怖さ!ではなかったので なんとか読めた ぜんぜん謎がわかんなくて せっせと読んだのに エーッ!そうなん?! 思ってたラストとすんごい違う! って呆然とした いやもうさー どっちもアリにしちゃってよ! ...
買ったあとに ホラーだったことに気がついて しばらく放置してたやつ 衝撃の怖さ!ではなかったので なんとか読めた ぜんぜん謎がわかんなくて せっせと読んだのに エーッ!そうなん?! 思ってたラストとすんごい違う! って呆然とした いやもうさー どっちもアリにしちゃってよ! って応援してた身としては 思っちゃうな ラストは気に食わないけど 驚かされたし 割とおもしろかったから 星は3つ
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これは「宇宙はたくさんある」的な…?! そこを自由に行き来(?)できる人がいるんじゃそら敵わないわー この手の混乱系ホラーはちょっと苦手だな ふつーに混乱するし笑、集中力が持たない あとちらほらある違和感で「ん?」て現実に戻ったりする スマホ世代の二十代夫婦の会話と思えないとことか、キュウリの収穫作業する人がルビーの指輪してるかね?とか、夫も子どもも亡くした世界線でお母さんずっと夫の実家にいるの??この時代に??とか… あとヒクイドリは単純に見た目がインパクトあるから使われただけでは感がある
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文章が読みやすかった。よく分からない理屈と説明も、妙な説得力でもって納得させられた。文章って大事だな、と思った。 頭の中がごちゃごちゃなまま、不気味さと後味の悪さを残し読了。夏の夜に読みたくなるホラーだった。
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