渋沢栄一「論語と算盤」の思想入門 の商品レビュー
『論語と算盤』の現代語訳を書かれた守屋さんによる入門書。渋沢の生い立ちを丁寧に解説しながら、その原点に迫る。 本書では、渋沢の行動原理を4つに分けているが、その中でも「立志」と「無私」は、渋沢がここまで歩んできた両輪になるものだと思う。例え無私の境地にいられたとしても、高い志がな...
『論語と算盤』の現代語訳を書かれた守屋さんによる入門書。渋沢の生い立ちを丁寧に解説しながら、その原点に迫る。 本書では、渋沢の行動原理を4つに分けているが、その中でも「立志」と「無私」は、渋沢がここまで歩んできた両輪になるものだと思う。例え無私の境地にいられたとしても、高い志がなければ、その人はただの無害な人として生きていくことになるだろうし、逆に自分のことしか考えていない志は大成しないと思うからだ。 信頼が経済のもとであるというスタンスは、今の日本には「経済」を「政治」「国際理解」「教育」など、多くの言葉に置き換えて考えるべきだと思う。渋沢のような無私の裁定者はそう簡単に現れないだろうが、信頼が様々な活動の基盤であるという事実は、今多くの日本人が再確認すべきだと思う。
Posted by
日本の資本主義の礎を築いた、渋沢栄一。その偉業の背景にある考え方とは?変転を繰り返した、彼の人生の奥にある行動原理「 論語と算盤」の思想について説く書籍。 栄一の人生は、幕末、明治、大正、昭和という時代の変遷を体現している。 「尊王攘夷の志士」から「幕臣」に。その後「パリ万博へ...
日本の資本主義の礎を築いた、渋沢栄一。その偉業の背景にある考え方とは?変転を繰り返した、彼の人生の奥にある行動原理「 論語と算盤」の思想について説く書籍。 栄一の人生は、幕末、明治、大正、昭和という時代の変遷を体現している。 「尊王攘夷の志士」から「幕臣」に。その後「パリ万博への代表団の一員」として渡仏。「明治政府の官僚」として活躍後、「実業家、社会起業家」として成果を上げた。 栄一の生き方は、一見、右往左往しているようにも見える。 だが、根柢には「強く繁栄した日本を作るために一身を尽くす」という志があった。「幕府打倒」「外人排斥」は目的ではなく、強く繁栄した日本を作るための手段だった。 志が高いゆえに、柔軟に切り替え、大局的な判断ができたのである。 栄一は、「合本主義」という経済システムを目指した。 これは「公益を追求するという使命や目的を達成するのに最も適した人材と資本を集め、事業を推進させる」という考え方で、「公益」は、彼のモットー「論語と算盤」でもカギとなる。 「論語と算盤」において、「算盤」は、商売や経済、私利の象徴である。 一方、「論語」が象徴するのは、「道徳」と「義」だ。道徳の核心にあるのは「信用」であり、義は、私利の対極にあるもの、つまり「公益」と考えられる。 『論語』は、指導者(為政者)などの心構えとして「義や公益の追求が基本」と説く。これは、合本主義の考え方と合致する。『論語』は、彼の理想とする経済のあり方を支え得るものだった。 "政治家や官僚は、人々の税金からそれなりの給料をもらっている。だから、お金の面は満足して、自分の利益ではなく公益を追うべきもの" 栄一は、『論語』の解釈に当たり、自分の利益の追求を認めるなど、時代に合った形での読み替えを行った。こうした飛躍があってこそ、『論語』は商業道徳たり得た、ともいえる。 ※商人や実業家は税金から給料をもらえず、自分の給料は自分で稼がなければならない。政治家や官僚とは、根本的に立場が違うため、読み替える必要があった。
Posted by
読めば読むほど深いです。仕事や生活、あるいは子育てなどにおいても役に立つ言葉がたくさんあると感じました。
Posted by
『晴天を衝け』から渋沢栄一に興味が出て購入。渋沢栄一の考え方が整理されてわかりやすい。少々持ち上げ過ぎな印象もあり
Posted by
今年の大河ドラマ『青天を衝け』の主人公、渋沢栄一についての本。 ビジネス本を読んでいると名前はよく聞くけど、よく知らなかったので読んでみた。 本当、いろいろな企業に関わってきたのだなと。かなりの数の企業に関わってきたら、それだけ金持ちだったのかと思いきや、社会事業にも関わってきた...
今年の大河ドラマ『青天を衝け』の主人公、渋沢栄一についての本。 ビジネス本を読んでいると名前はよく聞くけど、よく知らなかったので読んでみた。 本当、いろいろな企業に関わってきたのだなと。かなりの数の企業に関わってきたら、それだけ金持ちだったのかと思いきや、社会事業にも関わってきたということもあってそういうわけでもなさそうという印象を持った。 後、度量衡を統一したり、貨幣制度を統一したり、鉄道の敷設を行ったり、太陰暦から太陽暦への変更を行ったり、近代化において本当にかかせない人物なのだろうなと思った。歴史の授業で習った覚えはないのだろうけど、歴史の教科書に載ってたりしないのだろうか。 思想も本当、現代に通用する人だなと思った。男女平等とか、この頃からちゃんと考えてる人がいたのかと。 なお、渋沢栄一の時代は、今以上に会社は株主や投資家のものという考えが強かったらしい。意外なような気もしたけど、当時だと株主は少数だろうしなぁ。誰でも買えるわけではなかっただろうし。そう考えたら分からなくないか。 それと、1906年にサンフランシスコで大地震が起きたということを初めて知ったのだけど、さらに日本は24万6千ドルと諸外国で抜きんでて巨額だったということに驚いた。そんな時代にそんなことやれる経済力があったのか。 なお、企業の進歩には独占よりも競争が必要だという考えだったよう。もちろん、独占したほうが利益にはなるのだけど、社会の発展には競争が必要という考えだったらしい。本当、そう考えると渋沢栄一のおかげで日本が発展できたのかもなと思う(独占的考えの岩崎弥太郎だとこうはならなかったかもしれない)。 なお、競争というのは福沢諭吉がcompetitionの訳として考えた単語らしく、江戸時代末期に作られたものらしい。昔は無かった言葉だと知ってちょっと驚いた。
Posted by
論語と算盤現代語訳版を読んで、渋沢氏の伝記的なものを読みたくなり購入。前半は彼の気持ち、目標、実績などが書かれており面白かった。後半は、単語の説明と精神論が中心になる。
Posted by
なんかちょっと無理やり本にした感じで読んでためになったという気がしなかった。思想入門というタイトルなのでそんな感じもしていたがやっぱりそうだった。柳の下の2匹目のドジョウ狙いの本だった。
Posted by
- 1