戦地の図書館 の商品レビュー
思想を統一しようと本を焼き、敵国に思想戦をしかけてくるドイツに対して、アメリカが兵士に送り続けた武器が本だった。知見を広げ、戦場で心を癒す時間を与え、士気の維持につながった。戦地にいた兵隊と比べられるものではないけど、自由な思想を守ったのは本を読むことだったという事実は、一定の価...
思想を統一しようと本を焼き、敵国に思想戦をしかけてくるドイツに対して、アメリカが兵士に送り続けた武器が本だった。知見を広げ、戦場で心を癒す時間を与え、士気の維持につながった。戦地にいた兵隊と比べられるものではないけど、自由な思想を守ったのは本を読むことだったという事実は、一定の価値観に染まりやすい現在にも当てはまることだと思う。 たんたんとした文章で事実を書いているだけなのに、本を送る側と送られた側の想いを受け取ることができる。文章多いのにこんなに読ませるのか という驚き。
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◆ナチスが燃やした本1億冊、アメリカが戦地に送った本1億4000万冊 ナチスが「ドイツの価値を貶める有害な書籍は抹殺すべし」として、多くの本を燃やしたことは「焚書」として知られています。 焚書に指定された著者は1万人以上。燃やされた本は1億冊以上。しかし、これに対抗してアメリ...
◆ナチスが燃やした本1億冊、アメリカが戦地に送った本1億4000万冊 ナチスが「ドイツの価値を貶める有害な書籍は抹殺すべし」として、多くの本を燃やしたことは「焚書」として知られています。 焚書に指定された著者は1万人以上。燃やされた本は1億冊以上。しかし、これに対抗してアメリカが、第二次世界大戦中、戦地の兵士にそれ以上の数の本を送り届けていたことをご存じでしたか? 私もこの本で初めて知りました。 ナチスの焚書に対しては、世界的にも非難の声が上がり、 当時から「文学に対するホロコースト」「書物大虐殺」とも言われていましたが、アメリカ図書館協会は「思想戦における最強の武器と防具は本である」として、一般から本の寄付を募り、兵士に本を送る活動を始めたのです。 時は、折しも日本から真珠湾攻撃があった頃で、目標は1000万冊。 実はアメリカでは、こうした活動はすでに南北戦争の頃から行われていたそうで、単に「思想戦の武器・民主主義の象徴」としての意味以上に、兵士の気分転換・心の健康の維持・士気の高揚のために極めて有効なことを、軍自体も理解していたのです。 戦争といっても、移動や待機の時間は想像以上に長く、そうした時間に本は打って付け。 送られた本は兵士に大人気となりました。 作者へ感謝の手紙を書く兵士も多く、年間1500通を受け取った作家もいたそうです。 しかし、集まってくるハードカバーの本は、重く扱いにくいことなどもあり、寄付活動は終了。 代わりに戦時図書審議会が生まれ、兵士が携行しやすいように、人気文学作品などを、薄く小さく軽い本にして作り始めたのです。 名付けて「兵隊文庫」。それは、ズボンのポケットと胸ポケットに入る2サイズ。 兵舎に居るときだけでなく、戦場にまで携行し、戦闘の合間でも読めるようにしていたのです。 こうして通算1200作品以上、計1億冊以上が、戦地に送られていたのです。 さらに、焚書で本が失われたヨーロッパの解放地には、ドイツ語・フランス語・イタリア語に翻訳した兵隊文庫も作成して送っていたというから驚きです。 その数363万冊(中国語訳・日本語訳の本も計画したそうですが、予算不足で没になったとか)。 そして、この活動により、出征前は読書の習慣がなかった兵士も含め、帰還後は、誰もが読書を愛するようになっていたそうです。 そして、復学・進学した人はみな優秀で、単科大学の学生は、半分以上を復員兵が占めたという、戦後にも大きな教育的成果をもたらしたのです。 戦力だけでなく、こんなスゴイ国と戦っていた日本は、そもそも兵役時に本の携行は許されず(アメリカもそうだったかもしれませんが)、少なくとも本に対する認識の違いに、溜め息が出てしまいます。 ただ、訳者あとがきには、「日本も兵士用の本を製作しており、それには江戸川乱歩の作品なども含まれていた」とだけ書かれていました。 気になってネットで調べまくったのですが、残念ながら「本」についての情報は皆無でした。 ただ、雑誌としては、陸軍が講談社と契約して慰問雑誌『陣中倶楽部』、海軍が文藝春秋の子会社と契約して『戦線文庫』を、いずれも月刊で発行していたようです。 人気女優が表紙に配されるなど、なかなかのものでしたが、部数は多くはなく、どこまで末端の兵士が自由に読める環境にあったかは、ちょっと疑問です。 いずれにしても、アメリカの「戦勝図書運動」や「兵隊文庫」の活動は、そのスケールの大きさ、発想の柔軟さ・素晴らしさには、ただただ驚くばかりです。 藤原正彦さんの著書『本屋を守れ』という本の副題は「読書は国力」でしたが、まさに、そのことを実証した知られざる歴史的快挙だったと思います。 ちなみに、アメリカで本といえばペーパーバックが主流なのは、実はこの兵隊文庫が起源。これまた知られざるトリビアでした。
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読売新聞20201220掲載 評者:石井千湖(書評家、ライター) 読売新聞2023528掲載 評者:梅田明日佳(作家)
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▼かなり以前に読んで、その時に感想を書きそびれたもの。 ▼もうだいぶ忘れてしまいましたが、とにかく第一次世界大戦だったか第二次だったか、前線の兵士の慰めに、いわゆる文庫サイズの小説本が大変に人気だった、ということ。まあ確かに、恐ろしいまでに「待機」の時間が長いでしょうからね・・...
▼かなり以前に読んで、その時に感想を書きそびれたもの。 ▼もうだいぶ忘れてしまいましたが、とにかく第一次世界大戦だったか第二次だったか、前線の兵士の慰めに、いわゆる文庫サイズの小説本が大変に人気だった、ということ。まあ確かに、恐ろしいまでに「待機」の時間が長いでしょうからね・・・。
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ナチスは1億本の焚書をし、アメリカは1億4千万の本を戦地に送った。国の前に人がいる。民主主義、人権の国だと改めて認識される。戦時中、アメリカでの、戦勝図書運動、戦時図書審議会、出版業界、陸海軍、海兵隊、上下議会などが侃々諤々協議し兵隊文庫を戦地に送り届け続けたことが詳細に書かれて...
ナチスは1億本の焚書をし、アメリカは1億4千万の本を戦地に送った。国の前に人がいる。民主主義、人権の国だと改めて認識される。戦時中、アメリカでの、戦勝図書運動、戦時図書審議会、出版業界、陸海軍、海兵隊、上下議会などが侃々諤々協議し兵隊文庫を戦地に送り届け続けたことが詳細に書かれてます。また、兵隊文庫を戦地にて読んだ兵士が戦後大学に入り多くの国民が大学で勉学に励んだことが書かれてます。 本は重火器よりも勝る最高の武器であることを著者は述べている。
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本は武器である。1億冊の本を焚書したナチス・ドイツ。かたや1億4千万冊の本を兵士に送ったアメリカ。娯楽の少ない兵士たちの支えとなった兵士用ペーパーバックに焦点をあてた感動のノンフィクション。 第二次世界大戦中の秘話を発掘した作品。戦中から戦後の復員まで、スケールの大きな図書作戦...
本は武器である。1億冊の本を焚書したナチス・ドイツ。かたや1億4千万冊の本を兵士に送ったアメリカ。娯楽の少ない兵士たちの支えとなった兵士用ペーパーバックに焦点をあてた感動のノンフィクション。 第二次世界大戦中の秘話を発掘した作品。戦中から戦後の復員まで、スケールの大きな図書作戦。 訳者によると、実は日本にも兵士文庫があったそうでそちらも気になる。
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「本を焼いたナチスvs前線の兵士に本を送るアメリカ」ってフレームはオモロいし、検閲との戦いとかも読みであり。唯一引っかかるのが邦題よね。「図書館」の話ではなくね?直訳で「本が戦争に行った頃」で良かったやん。
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第二次大戦中のアメリカの図書作戦についての ノンフィクションでした。 第二次大戦で ドイツが本を燃やしたという事って習った記憶がないので そのような事があったとはと とてもびっくりしました。 なんて 愚かな事をしてしまったのだろう~~ とはいえ 当時のヒトラー政権では ヒトラ...
第二次大戦中のアメリカの図書作戦についての ノンフィクションでした。 第二次大戦で ドイツが本を燃やしたという事って習った記憶がないので そのような事があったとはと とてもびっくりしました。 なんて 愚かな事をしてしまったのだろう~~ とはいえ 当時のヒトラー政権では ヒトラーに逆らうことなど出来なかったから仕方ないのでしょうけど。 対するアメリカは 兵隊の為に 本を用意した。 手紙もきちんと届かない 戦場で する事もない しかし、緊張は張りつめたまま。。。 そんな状況で 日常の事や 笑いを誘う 小説はどんなに多くの兵隊の心を慰めたことでしょう。 負傷して身体の痛みや 心の痛みに 悩まされていた時に 出逢った本のお陰で 心が救われたとか。 本を読む習慣がなかった人達も 戦場で 本を読む喜びを覚えて 終戦後 政府が 大学への門を開いた時に 多くの兵隊は本で読んだ 弁護士や 医師などを 目指していった。 本当に本は すごい力があるのですね。 兵隊たちは 持って行くべき荷物を厳選しなくてはならない状況の中 本は必ず持っていった。 だから 軽くてポケットに入る ペーパーバッグが生まれたそうです。 どうした こんなに軽い本なんだろうと思っていましたが そういう理由だったのですね。 この本を読んで 改めて本の素晴らしさを 再認識しました。
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最初は、事実の羅列が多かったので、このままいくのかな〜面白いのかな〜と半信半疑だったが、後半はなかなか面白かった。 それにしても、こんな取り組みがあったとは… やはり「知」は武器になるんだね…
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兵士が読むために軽くて安価なペーパブックが作られたってのは面白いなぁ。 そのうちきちんと読みたい。
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