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中野京子と読み解く運命の絵 の商品レビュー

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16件のお客様レビュー

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2024/02/04

読んだ直後にTwitterで「ベアタ・ベアトリクス」が流れてきて驚いた。本書で一番好きな絵は「犯行後のクリュタイムネストラ」。殺気溢れる顔を表現しきっていて素晴らしい。中野さんは比較的女性目線の解説を書かれるので、こちらとしては読みやすい。

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2023/12/29
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まさしく運命の1シーンを描いたかのような絵のシリーズ。 絵の背景に歴史があり、物語があり、解説があるので、とてもわかりやすい。 同じシーンでも、別の画家が描いたものと比較しているのもあり面白い。 この時代は絵に画家の主張を込めたり、物語を組み込んだりしていて、すごいと思う。 本著ではピーテル・ブリューゲルの悪女フリート、フリスの鉄道駅がストーリー性があって個人的におもしろいと思った。 最後のレンブラントのルクレツィアではこの時代を含め男性の理想の女性像への思いに冷笑。

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2023/07/28
  • ネタバレ

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拍子の絵、ダヴィド「マラーの死」。ダヴィドと言えば、ナポレオン関係の絵が有名だが、その前になるのだろうか。非常に劇的で印象的な絵。本当にこんなシーンだったのではないかと錯覚するくらい。中野先生の本では辛辣な書かれ方をするダヴィドだが、その絵の政治的な使われ方の計算は非常に優れていたのではないだろうか。ジェラール「プシュケとアモル」は最近、ルーブル展で見たので、キューピーとの違いの話に目新しさはなかった。またこの神話も既知のものであったので、ストーリーも把握している。それでもこの絵の肌の美しさ、なめらかさは一見の価値があると思う。 「悪女フリート」ブリューゲルの絵。どこかでみたことある、化け物が。と思ったら、ヒエロニムス・ボスの影響を受けているとのこと。「快楽の園」の絵が有名で、内にもそのマグネットがあるから、それでこの異形の化け物を見た気がしたのだ。フリートの話を知らなかったので、ちょっと調べたくなった。かかあ天下がここまで揶揄されるのか、こう日本女性の大和撫子な性質を求める西洋人男性(蝶々夫人みたいな)がちょっと理解できるような気がした。いまでは絶滅危惧種だと思うが。 『女を待たせると怖い』の章。凄く面白かった。取り上げられた絵はジョーンズ「赦しの樹」とコリア「犯行後のクリュタイムネストラ」。この章に「雨月物語」の中の『浅茅が宿』が出てくる。『浅茅が宿』の妻は優しいが、クリュタイムネストラは夫を殺す。コリアの描くクリュタイムネストラは私には非常にかっこよく見える。中野先生は「男は安易に約束しがちだが、女はそのタイムリミットを神聖視する」は名言だ。

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2022/08/28

中野京子と読み解く絵画 テーマは運命とあり、決定的瞬間の絵画にどんな背景があるのか 歴史的な事実、当時の考え方や世相も反映されていることを解説 中野さんの解説があるとぐっと絵を楽しめて入り込める。美しさ素晴らしさに目が行ってしまうが、それだけではなく画家の意図や発注者や献呈先の...

中野京子と読み解く絵画 テーマは運命とあり、決定的瞬間の絵画にどんな背景があるのか 歴史的な事実、当時の考え方や世相も反映されていることを解説 中野さんの解説があるとぐっと絵を楽しめて入り込める。美しさ素晴らしさに目が行ってしまうが、それだけではなく画家の意図や発注者や献呈先の意向が大きく反映されていることを知る。 最近は展覧会も音声ガイド付きもあるが、中野さんは正統派とは違う角度で解説してくれるんでは…と思う。 一歩踏み込んだ少し毒舌な中野京子を好きにならずにはいられない。

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2022/01/26

知ってるが題名が分からない。作者の顔は浮かぶが名前が出てこない。というような有名な作品がたくさん紹介されていた。 激動な時代を生きた画家たちが何を後世へ残し、私たちへ伝えたいのか。またその時代での出来事で何を強く強調し作品に表しているか。 知らない世界をしれて、嬉しかった。また...

知ってるが題名が分からない。作者の顔は浮かぶが名前が出てこない。というような有名な作品がたくさん紹介されていた。 激動な時代を生きた画家たちが何を後世へ残し、私たちへ伝えたいのか。またその時代での出来事で何を強く強調し作品に表しているか。 知らない世界をしれて、嬉しかった。また絵画を通しその時代背景をしれて勉強にもなった。

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2022/01/24

中野京子さんの「運命の絵」シリーズ。 歴史画、ギリシャ神話画、肖像画、風景画。 様々なジャンルの絵画における、「運命」を背負った作品を紹介していく一冊。 1テーマにつき1、2作品ほどで、私の知らない画家も沢山登場してきたので勉強になった。 イギリス人画家が比較的多かった印象。...

中野京子さんの「運命の絵」シリーズ。 歴史画、ギリシャ神話画、肖像画、風景画。 様々なジャンルの絵画における、「運命」を背負った作品を紹介していく一冊。 1テーマにつき1、2作品ほどで、私の知らない画家も沢山登場してきたので勉強になった。 イギリス人画家が比較的多かった印象。 「マラーの死」ではダヴィッド、「デルフォイの巫女」ではミケランジェロ、「画家のアトリエ」ではクールベ、「かかあ天下」ではブリューゲル、「あれかこれかorあれもこれも」ではラファエロ、「衝撃のオペラ作品」ではドラローシュ、「究極のロマンティスト」ではロセッティ、「手術風景」ではレーピン、「女を待たせると怖い」ではバーンジョーンズ、「ゲリラ、奮戦す」ではゴヤ、「政変は貞女の死から」はレンブラント・・・等。 そのテーマの切り取り方がそれぞれ面白く(マニアックで)、さすが中野さん!と感じた。 ブリューゲルの「悪女フリート」という作品も、女性がずかずかと勇ましく歩いており一件不気味だが「かかあ天下」と括られるとクスッと笑ってしまうし、印象にも残る。 「手術風景」、しかも人間の手術の公開実験を取り扱った作品があるとは知らなかったし、ギリシャ神話の「デルフォイの巫女」の伝説も初めて知った。(デルフォイはギリシャの山にある聖域で、ここでの神託は有名らしい。最も有名なのはオイディプス。今はパワースポットにもなっているようだ) 西洋の歴史のことも、絵画のこともまた新しく知ることが沢山あり、また、中野さんの時折現れるユーモアの効いた語り口が魅力的な一冊。

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2022/01/06

文句なしにおもしろかった。 絵画をみるのはすきだったが、絵の一つ一つの背景まではよくしらなかったのでそんな背景があったのかと驚くことばかりだった。 見にいきたくなるし、次に見るときは見る目がかわってくるという未来の楽しみが増える。

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2023/06/06

1番衝撃的だったのは、ミケランジェロがシスティーナ礼拝堂の天井画を描いている間、下では普通にミサをやってたってこと!!…まあ、16世紀初頭のこの微妙な時期に、ユリウス2世が4年も礼拝堂を閉めてることを許してくれる訳なかったわなー。しかし天井に綱を張って、ゴンドラで仰向けになってっ...

1番衝撃的だったのは、ミケランジェロがシスティーナ礼拝堂の天井画を描いている間、下では普通にミサをやってたってこと!!…まあ、16世紀初頭のこの微妙な時期に、ユリウス2世が4年も礼拝堂を閉めてることを許してくれる訳なかったわなー。しかし天井に綱を張って、ゴンドラで仰向けになってって…(汗)絵描きって絵が上手けりゃいいってもんじゃないのね。ってかむしろ、「歴史に残る芸術家」とかって、そういうことより大切なことがワンサとあるのね、きっと…。 あと、レンブラントの『ルクレツィア』って、古代ローマのヒトだったのね!ルクレツィア・ボルジアじゃなくて!

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2021/09/28
  • ネタバレ

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中野京子のフェミニストぶりが冴え渡る一冊。 p30「ハントの前肢から逃れて窓の外へ飛び出したアニーは、再びロセッティと恋仲になった後、今度は二十八歳でラネラ子爵の親戚の大佐と結婚し、子どもたちに恵まれ、夫婦生活を全うし、九十歳まで長生きした。グッジョブ!」 p199 ルクレツィアがもし男性だったら、「果たして『貞夫の鑑』と祭り上げられることが無いのだけは確かだ」「そうきたシチュエーションにおいては、女性の肉体だけご、「穢された』ことになる。」「男たちは自分を棚にあげ、何世紀にもわたって繰り返し繰り返し処女性を絶対視し、二夫にまみえぬ女性を讃美し、狂犬に噛まれた被害者に対し、『恥に生きるより名誉とともに死ね』の教えを大合唱し続けてきたのだった。」 伸び伸びしてて、爽快!

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2021/07/13

表紙はダヴィットの有名な「マラーの死」だが、実際にその場を見てきたがごとく懇切丁寧に描写してくれているし、時代背景、暗殺者のシャルロット・コルデーについても詳しい。こんな感じで17の運命的な場面についての洋画(17×2点)について物語られていくので、読み終われば西洋史の重要場面を...

表紙はダヴィットの有名な「マラーの死」だが、実際にその場を見てきたがごとく懇切丁寧に描写してくれているし、時代背景、暗殺者のシャルロット・コルデーについても詳しい。こんな感じで17の運命的な場面についての洋画(17×2点)について物語られていくので、読み終われば西洋史の重要場面をどっと背負ったような思いに駆られてしまう。とにかく濃い,濃い。私が特に強烈に感じたのは、ブリューゲルの「悪女フリート」だ。いやはや凄まじいなあ。とにかく面白いぞ。

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