1,800円以上の注文で送料無料

レイシズムとは何か の商品レビュー

4.3

11件のお客様レビュー

  1. 5つ

    6

  2. 4つ

    2

  3. 3つ

    1

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/03/22

梁 英聖さんをご存知だろうか。 日本語読みではリャン ヨンソンさんだ。 この方は日本の大学で学び、反レイシズムセンターの代表も勤められている方だ。 写真で出てくる柔和な表情とは対照的に弁舌の鋭い方だ。 しかし、歴史的経緯を含めて、この方の在日コリアンへの差別の指摘は非常に鋭い。 ...

梁 英聖さんをご存知だろうか。 日本語読みではリャン ヨンソンさんだ。 この方は日本の大学で学び、反レイシズムセンターの代表も勤められている方だ。 写真で出てくる柔和な表情とは対照的に弁舌の鋭い方だ。 しかし、歴史的経緯を含めて、この方の在日コリアンへの差別の指摘は非常に鋭い。 他の感想にも書いているが、日本人は差別意識が薄い。勿論、私自身は日本人の優しさ、奥ゆかしさなどは大好きで、その点は尊重したい。 正直、韓国にもこれまで特に好意的でも敵意を持っている訳ではなかった。 しかし。本書を読み、日本人の「優しさ」はレイシズムに対抗しうる可能性を持つ長所であり、とりわけ、在日の韓国人の方は歴史的経緯を見ても特別に配慮しても良いのかもしれない。 例えば戦後、シベリア抑留の日本人がそのまま、2世、3世を迎えて、未だに国籍取得や参政権など、既に国家に協力している方に認められない権利があればどうだろか。 私の祖父も戦後しばらくは条約破棄したロシアに抑留され、状況によっては在露日本人になっていてもおかしくない。 日本は韓国に性を変えるよう迫り、未だに在日コリアンの方は苦しんでいる。 外国籍の方(在日コリアンの方は歴史的に見て日本国籍として国家参政を認められるべきと考えている)が、不当に不利益を受けていることはどうだろうか。 歴史的な観点から言えば、特別に配慮しても良いのではないだろうか。 抵抗はあるかもしれないが、現状の外国籍で在日の方の犯罪率を事実として見てほしい。 実は日本生まれの日本国籍の人より率は低い。 勿論、彼らが日本の伝統や法律を侵害するのは毅然として主張すべきだが、現状、マスコミの報道以外に目立ったことはない。 私自身、日本は大好きな国だが、この在日コリアンの方が感じる課題は、決して無視する訳にはいかず、まず歩むべき問題である。 惜しむらくは関西方面だけでなく、せめて日本全国の大都市で活動をして欲しい。 他の地域で微力ながら貢献したいと思うが、団体が特に関西に限られている。

Posted byブクログ

2022/09/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

日本に反差別の法律をっていう本。 最初はタイトル通り広く人種主義とは何かという事が書いてあるんだけど、半分くらいから「日本に反差別の法律がないから必要だ」という話になる。 確かに必要だと思うしその考えに完全に同意するけど、自分が「レイシズムとは何か」というタイトルから想像していた内容とは違ったのと、この著者の文章のリズムや言葉のチョイスが自分には合わなくて読み辛かった。

Posted byブクログ

2021/11/13

https://www.asahi.com/sp/articles/ASPB97X5GPB5UPQJ002.html?iref=sp_ss_date_article この記事からの芋づる読書。 日本のレイシズムが反レイシズムの不在ゆえに不可視化されている現状と、その顕在化のため...

https://www.asahi.com/sp/articles/ASPB97X5GPB5UPQJ002.html?iref=sp_ss_date_article この記事からの芋づる読書。 日本のレイシズムが反レイシズムの不在ゆえに不可視化されている現状と、その顕在化のために第三者からの関与が不可欠であることをきっぱり指摘している。 甘ったるい言葉で「共生」「多様化」を語る前に、まず読んでおくべき本だと思った。 そして、書店さんには頑張ってほしい。 ヘイト本を経済原理に負けて店頭に並べることがないように。

Posted byブクログ

2021/09/19

日本における差別について考察した新書。日本では反レイシズムのブレーキがないという特徴があり、ここが欧米と構造的に大きく異なる。主要極右が生まれにくいのもこのため。これらは反差別のカルチャーが浸透していないことでもあるので、政府やメディアによる積極的な介入が求められるところ。

Posted byブクログ

2021/06/13

後半に入るに従って、現代が抱える問題に唸らされながら読むこととなった。本書は、レイシズム(とりわけ日本の抱える危うさ)およびそれと闘う手段について私たちが主体となって考える、いわば入口の役割を果たしてくれているのではと感じる。前半はその発生過程(西欧含む起源)、後半は問題の実例を...

後半に入るに従って、現代が抱える問題に唸らされながら読むこととなった。本書は、レイシズム(とりわけ日本の抱える危うさ)およびそれと闘う手段について私たちが主体となって考える、いわば入口の役割を果たしてくれているのではと感じる。前半はその発生過程(西欧含む起源)、後半は問題の実例を洗い出していると思う。 どうせ変わらないという無気力なニヒリズムに陥らないためには知識と根気が必要だし、傍観者にならないためには勇気が要る。 それでも、差別を受けたまま消費されるマイノリティとしての「被害者」に閉じこもらないためには、発信を続けていくことが肝要だろう。 知識を根底の武器においてさえ相当の勇気と根気が必要で、変わらない世に絶望することも多い、だろうが。 私は本書を何度も何度も読み返して私なりに飲み込みつつ、私の物語に投影していきたい。

Posted byブクログ

2021/05/17

メモ→ https://twitter.com/lumciningnbdurw/status/1393706025388150787?s=21

Posted byブクログ

2021/04/04

目的: 差別が暴力に結びつくメカニズムを知るため。 資本主義が差別と密接な関係であることを理解するため。 要旨: 差別と言っても、本書が取り上げるのはレイシズムである。極端な例としてはナチズムによるユダヤ人虐殺が挙げられるが、日本で言えば在日コリアンへの差別がある。本書では、こ...

目的: 差別が暴力に結びつくメカニズムを知るため。 資本主義が差別と密接な関係であることを理解するため。 要旨: 差別と言っても、本書が取り上げるのはレイシズムである。極端な例としてはナチズムによるユダヤ人虐殺が挙げられるが、日本で言えば在日コリアンへの差別がある。本書では、これらの事例を検討し、差別が暴力へと昇華されるメカニズムを明らかにしている。 感想: 日本でもレイシズムが存在すると喝破する筆者の意見に驚いた。 反レイシズム規範が存在する欧米諸国と比較すると、反差別規範の存在しない日本では差別を禁止することができない。そのため、「表現の自由」だと言い逃れすることができる。そんな世の中は果たして自由なのだろうか? メモ: ナショナリズム(国民を分ける線)とレイシズム(人種を分ける線)の癒着 (本来別個のもの) →国籍の有無、人種的差異によって差別が生まれる 資本主義が差別を強化し、反差別を平等の定義を資本主義的なものに改変することで骨抜きにするなどする。

Posted byブクログ

2022/01/17

認識(実践)には「本質把握」と「概念的把握」というレベルがある。 「帝国主義は侵略性という本質をもち、我国のこれこれの振舞いはその本質に合致している」ということが「分かった」からといってそこから一歩先に進めるものでもない。しかし「帝国主義は資本主義のどん詰まりの姿であり被抑圧人民...

認識(実践)には「本質把握」と「概念的把握」というレベルがある。 「帝国主義は侵略性という本質をもち、我国のこれこれの振舞いはその本質に合致している」ということが「分かった」からといってそこから一歩先に進めるものでもない。しかし「帝国主義は資本主義のどん詰まりの姿であり被抑圧人民の国際連帯によって打倒されることがその真理である」というように、対象を全体性と発展性(歴史性と云っても良い)において捉えるなら、そこに主体の立ち位置はどうなんだということも含まれてくる。このレベルでのモノゴトの把握の仕方を〈知識〉とか〈理解〉よりも高次の〈概念〉と呼ぼう、というのがヘーゲルの言葉遣いだ。この〈概念〉を基点に判断と推理を重ね仲間とディスカッションを重ねることで世界を作り変える道筋も見えてくるというものだろう。 ヘーゲルの『論理の科学』は、〈概念〉〈判断〉〈推理〉を扱った「主観性」という章に続いて「客観性」という章を立てている。 これが何なのかということが分かりにくかったのだが、「実装」ということなのでは? という着想を得た。 辞書的には、「実装」は工学の言葉で「何らかの機能(仕様)を実現するための具体的な装備や方法のこと」である。必要とされる機能が明らかになったとしても、それは理念上の存在でしかない。その段階にとどまる何らかの機能を、実際に動く具体的なものとして現実世界に出現させる=具現化することが「実装」と呼ばれる。 梁英聖『レイシズムとは何か』(ちくま新書)を読んで、ガツンと頭を打たれた。 著者は、レイシズム(人種差別)の本質論を語ることにはワナがある、と喝破する。なぜなら〈人種〉は生物学的にも社会的にも実体のない疑似概念にすぎず、「ありもしない〈人種〉をつくりあげ人間を分断する」作用としての〈人種化〉があるのみというのが真相だから。しかしこの疑似概念は人種差別を引き起こすチカラ(人種差別という行為を可能にする権力関係がその実体だろう)として作用することで、我々の前に実在性をもって現れてくる。これはちょうど〈神〉がそれを崇める人々の行動を通じて確かに威力を振るい実在性を帯びるのと同様だろう。 このレイシズムに対しては、戦後国際社会はファシズムと戦争の防止のために克服すべきものという規定(「概念的把握」に該当するだろう)をし、世界人権宣言や人種差別撤廃条約にて、各国の市民社会がそれと闘うことを義務としている。 ここからもう一歩、梁英聖は探求を進めた。 レイシズムの存在が都合の良い勢力による「差別アクセル」と、人間のあるべき姿を目指す「反差別ブレーキ」の対抗関係を掴み取ったことは大きな前進だ。 本来人間の頭の中にしかなかったものが、実際に世界の中で威力を振るい、人間を貶しこめ社会を壊していく実体的関係を作っていってしまう、そのへんのメカニズムは、ある勢力によって意図的に仕掛けられた「実装」として掴むべきだ。(梁英聖は「実装」という用語は用いておらずこれは僕の解釈だけど) 従って、そこから人間の尊厳を守っていこうというカウンターもまた「実装」のレベルで組み立てられていかねばならない。 この梁英聖の投げかけは極めて具体的で、そして我々をエンパワーしてくれると思った次第である。 レイシズムの存在が都合の良い勢力とは、言うまでもなく、摂理を踏みにじった利潤追求をし際限なく格差を拡げていく資本主義(新自由主義)である。 梁英聖の分析に学び理論武装した上で、武建一『大資本はなぜ私たちを恐れるのか』を読むと我々の敵の姿がいっそうくっきりと見えてくる。

Posted byブクログ

2021/04/10

レイシズムとは何か、というタイトル通りのことがしっかり書かれている。「人種は存在しないが、人種差別は存在する」「レイシズムとは、人種化して、殺す(死なせる)、権力である」など重要な指摘多数。差別をなくしていくためには、「差別アクセル」(差別する自由を作り出す)を公の場からはっきり...

レイシズムとは何か、というタイトル通りのことがしっかり書かれている。「人種は存在しないが、人種差別は存在する」「レイシズムとは、人種化して、殺す(死なせる)、権力である」など重要な指摘多数。差別をなくしていくためには、「差別アクセル」(差別する自由を作り出す)を公の場からはっきりと除いていかなければならない。日本型反差別は、加害者の差別する自由に手を付けず被害者を尊重しようとする点で問題があるという指摘も、もっともだと感じる。日本は人種差別撤廃条約に1995年に批准(世界で146番目)したが、条約が義務づける包括的差別禁止法もつくらず、差別統計もとらないまま条約違反を続けており、このことが日本におけるレイシズムを見えなくしているという指摘は重要。

Posted byブクログ

2021/01/20

日本の差別や法整備、インターセクショナリティなどについて断片的にでも知ることができて良かった。 特に、日本における差別は被差別者が声を上げ被害を語ることばかりが過剰に求められ、社会的な反レイシズム体制が整っていないことが問題であるという考えに触れられたのは大きな収穫だった。差別に...

日本の差別や法整備、インターセクショナリティなどについて断片的にでも知ることができて良かった。 特に、日本における差別は被差別者が声を上げ被害を語ることばかりが過剰に求められ、社会的な反レイシズム体制が整っていないことが問題であるという考えに触れられたのは大きな収穫だった。差別に限らずあらゆる問題においてこれは今後日本で見直されるべき風潮だと感じる。

Posted byブクログ