風の渓 の商品レビュー
<南アルプス山岳救助隊K-9>シリーズの6冊目。 この前に読んだ「異形の山」の感想の最後に『夏実と静奈が表彰される大活躍をした事件はどの巻かな?』と書いたけど、この巻でした。 山ガールとして人気のアイドルを追いかけて北岳にやって来たネットハッカーと、DVの父親と子育て放棄の母親...
<南アルプス山岳救助隊K-9>シリーズの6冊目。 この前に読んだ「異形の山」の感想の最後に『夏実と静奈が表彰される大活躍をした事件はどの巻かな?』と書いたけど、この巻でした。 山ガールとして人気のアイドルを追いかけて北岳にやって来たネットハッカーと、DVの父親と子育て放棄の母親から引き剥がされて両俣小屋に預けられた少年。今回は夏の終わりの北岳で二つの話が並行して描かれる。 それぞれ引きこもりの生活を送っていた二人は話が終わる時には大きく道を違えることになるが、そこには、作中『この国の人間はどんどん“劣化”が進んでいると思う』と語る作者の憤りと、一方でそうした社会の中でも前向きな心を持つ人たちに対する信頼の気持ちが託されているように思える。 いつも変わらずそれぞれの持ち場で活躍する救助隊メンバーやヘリ乗員に山小屋の人々だが、少年を殺害しようとするやくざ者と対峙する静奈とともに、今回は凶行のハッカーを追う夏実にも見せ場たっぷり。 メイが熊を追っ払うくらいであまり犬たちの見せ場がないのはちょっと残念。
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<南アルプス山岳救助隊K-9>シリーズ。 今回は二つの物語が同時進行していく。 一つは両親からの虐待ですっかり心を閉ざしている少年・悠人の話。 唯一彼を気にかけている伯母に連れられて南アルプスにやって来た縁で、一時的に両俣小屋に預けられることになった悠人。一日中ゲームをしてい...
<南アルプス山岳救助隊K-9>シリーズ。 今回は二つの物語が同時進行していく。 一つは両親からの虐待ですっかり心を閉ざしている少年・悠人の話。 唯一彼を気にかけている伯母に連れられて南アルプスにやって来た縁で、一時的に両俣小屋に預けられることになった悠人。一日中ゲームをしているだけだったのだが、釣りをきっかけに小屋の管理人・加賀美叔子始めアルバイトスタッフたちとも心を通わせるようになっていく。 だが悠人の父親の会社が破産し、ヤクザとつながりのある父親は悠人にとんでもない危害を加えようとしている。 もう一つはハッカー・桜井和馬の話。 表向きは引きこもり、だが実はハッキングで多額の金を稼いでいた彼だが、ついにその犯罪がばれてしまう。 警察に追われ焦るあまりに刑事をナイフで刺してしまった和馬は、憧れのアイドルで今は山ガールとして売り出している安西友梨香が撮影をしている南アルプスへ向かう。 ここまででページの半分が終了。ずいぶん長い前置きだったが、二つの危機が同時に南アルプスへ集結したところからは樋口さんお得意の怒涛の展開だ。 今回はシリーズ作品では初めてだと思うが、ツキノワグマが二度も出てくる。 一度目は両俣小屋の管理人・加賀美叔子を襲い、二度目は物語の終盤で登場。二度目は果敢にボーダーコリーのメイが応戦する。小さなメイではどうにもならないのではと思うが、なんと勇敢なことか。 当たり前のことだが、このシリーズを読んでいると自然はただ美しいだけではないことを思い知らされる。 そして深町が大変なことになってハラハラした。まだ夏実との関係も進んでいないのに、まさかここで退場はないだろうと思いつつも心配しながら読み進めた。 だがそのことがあってかどうなのか、夏実が深町のことを人から『恋人』と言われても否定しないあたり、彼女の中で心境の変化があったのか。それとも実は知らないうちに関係が進んでいたのか。 もう一つ、静奈が今回も格好良く敵をバッタバッタとなぎ倒していくのも見せ場で良かったが、肩の小屋の管理人・小林も両俣小屋の管理人・加賀美叔子も頼もしかった。 特に叔子は携帯はもちろん、無線も肩の小屋にしか通じないという山深い場所で女性一人で小屋を切り盛りするというのは大変な覚悟と苦労だろうが、それだけの器量と度胸があって素敵なキャラクターだった。 今回も気持ちよくテンポよく読ませてもらった。 ※備忘録としてシリーズ作品を挙げておきます。 「天空の犬」(2012年)(文庫化2013年) 「ハルカの空」(2014年)(文庫化2015年) 「ブロッケンの悪魔」(2016年)(文庫化2017年) 「火竜の山」(2017年)(文庫では「炎の岳」に改題2018年) 「レスキュードッグ・ストーリーズ」(文庫化も2018年) 「白い標的」(2017年)(文庫化2018年) 「クリムゾンの失踪」(文庫2018年) 「逃亡山脈」(文庫2019年) 「風の渓」(本書 文庫2020年) 「異形の山」(文庫2021年) もし間違いあれば教えてください。
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南アルプス山岳救助隊シリーズ。 今作は、ほぼ北岳が舞台となっていて、とても楽しく読めました。 親の愛情を知らずに育ってきた少年の悠人が両俣小屋で過ごす日々が、特に印象に残りました。 そして相変わらず。山岳救助犬のメイが可愛くてたまらない! 後記に、山岳救助隊や救助犬は現実には存在...
南アルプス山岳救助隊シリーズ。 今作は、ほぼ北岳が舞台となっていて、とても楽しく読めました。 親の愛情を知らずに育ってきた少年の悠人が両俣小屋で過ごす日々が、特に印象に残りました。 そして相変わらず。山岳救助犬のメイが可愛くてたまらない! 後記に、山岳救助隊や救助犬は現実には存在しません、と書かれているが、本当に会いに行きたくなる人の気持ちがよくわかります。
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天空の犬シリーズ第9弾。 久しぶりの夏実とメイ、神崎とバロンは健在。 複数の伏線をうまく北岳に集約させていく展開は、やっぱり面白い。 そこに絡んでくるのは、これも作者得意の警察とヤクザ... 読んでから買ってまた読む本棚に追加することにした。
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北岳を舞台に二つの事件が同時進行。引きこもりのネットハッカーがアイドルを追いかけて北岳に。更には両親から虐待を受け自分の殻に閉じ籠る13歳の少年に生命保険をかけて命を狙うヤクザ。どちらも間一髪で夏実とメイ、静奈とバロンにより救出される。ハッカーはその異常性による破滅、少年は両俣小...
北岳を舞台に二つの事件が同時進行。引きこもりのネットハッカーがアイドルを追いかけて北岳に。更には両親から虐待を受け自分の殻に閉じ籠る13歳の少年に生命保険をかけて命を狙うヤクザ。どちらも間一髪で夏実とメイ、静奈とバロンにより救出される。ハッカーはその異常性による破滅、少年は両俣小屋の淑子による立ち直りの両極端を描く。事件解決の時、淑子に「お母さん」と抱きついた場面に親の愛に飢えていた少年にホロリとした。静奈とヤクザとの対峙、夏実の初手柄など読みどころ満載。ツキノワグマとのにらみ合いも迫力あった。
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富士登山で山ガールになったアイドルグループのボーカルが、北岳に登ることになった。 彼女のファンでひきこもりネットハッカーの35歳が、彼女に会うために北岳を目指す。 さらに、母親が入院し父親からDVを受けている13歳が、北岳に逃げてくる。 思惑の違うそれぞれが、北岳でどういう遭遇を...
富士登山で山ガールになったアイドルグループのボーカルが、北岳に登ることになった。 彼女のファンでひきこもりネットハッカーの35歳が、彼女に会うために北岳を目指す。 さらに、母親が入院し父親からDVを受けている13歳が、北岳に逃げてくる。 思惑の違うそれぞれが、北岳でどういう遭遇をするのか。 引きこもりやDVそれにストーカーなど、現代の問題を織り交ぜながら、南アルプス山岳救助隊の面々が活躍するシリーズ第9弾は、相変わらず頁を繰る手が止まらない。 今作では、両股小屋管理人をしている加賀美淑子70歳が、魅力的でいい味を出している。 北岳の美しさ雄大さの描写にたっぷりと浸りながら、静奈の痛快な戦いのシーンに拍手を送り、救助犬の逞しさに讃辞をし、夏美と深町の微笑ましい恋愛にほのぼのする山岳警察小説。 第9弾を読み終えたばかりだが、早くも第10弾の刊行が待たれる。
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シリーズ第9弾。 あとがきにもあるが、前作では舞台が北岳ではなかったので、久しぶりに舞台が北岳に戻って来た!と言う印象。 山岳救助隊が待機する山小屋のオーナーも代替わりし、これまでバイトだった松戸がオーナーとなったり、シリーズと共に時代の変化も感じる。 今作では引きこもりの少年を...
シリーズ第9弾。 あとがきにもあるが、前作では舞台が北岳ではなかったので、久しぶりに舞台が北岳に戻って来た!と言う印象。 山岳救助隊が待機する山小屋のオーナーも代替わりし、これまでバイトだった松戸がオーナーとなったり、シリーズと共に時代の変化も感じる。 今作では引きこもりの少年を、ひょんなことから預かることになり、その少年の命を狙う義父の手から、必死に少年を守ろうとする夏美たち。 同時に「山ガール」として知られるアイドルが、撮影の為に北岳に登るが、その取り巻きに怪しい人物を見つける夏美。 夏美の予感は当たり、美しい北岳を舞台に凄惨な事件が起こる、と言う展開。 久しぶりに夏美と深町のパートがあり、以前から読んでいるファンには堪らないだろう。夏美が見える色の話も久しぶりに読んだ気がする。 しかし、凶悪犯が山に紛れて来る展開が最近は多く、本来自然を楽しむための山の良さが失われてしまう感じがするので、星は少な目で。 いつもより、ページ数も多く読み応えはあったけど、2つも凶悪事件が発生する展開は微妙… 前半はお馴染みのメンバーもまんべんなく登場し、平和な雰囲気だっただけに、後半の急展開にちょっとついていけなかった。
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両親に愛情をかけられていない少年。山での暮らしの中で心を開いていくのが嬉しい。独りよがりな男はその思い込みで事件を起こす。 山と自然を愛する人たちの物語が心を癒してくれる。 山にいる気分を味わえる。 下り道が苦手でなければ山に登ってみたいけれど……
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