金閣寺 新版 の商品レビュー
この年齢になって、この小説を読むとは思わなかったが、自宅に積んであったので一読。 三島由紀夫の豊潤ともいうべき文章に圧倒されながら、ストーリーとしては狂気の正当性にやられる。 そんな感じの一冊。 迫力、の一言だと思う。 それにしても、三島由紀夫は何となく読みやすいし、読み応えがあ...
この年齢になって、この小説を読むとは思わなかったが、自宅に積んであったので一読。 三島由紀夫の豊潤ともいうべき文章に圧倒されながら、ストーリーとしては狂気の正当性にやられる。 そんな感じの一冊。 迫力、の一言だと思う。 それにしても、三島由紀夫は何となく読みやすいし、読み応えがある。 何冊かまた読んでみよう。 押し倒されるような圧倒感を感じたい方はぜひ。
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※このレビューにはネタバレを含みます
まず三島由紀夫の表現の美しさに驚きました。 そして内容。私は主人公にあまり共感することは出来ませんでした。何をするにも金閣寺が頭をよぎり、女の子と触れ合うときですら金閣寺が目の前に現れそれに翻弄されていくのは私には違和感でした。しかしそれは私がそれほどまでの完璧な美に出会ったことが無いからだと思います。人生を狂わされるほどの圧倒的美を知ると人はここまでの狂気に走ってしまうのだと思いました。人生で一度は読んでおくべき名作です。
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吃音をもち、自分の感情もいつも世間からは一つ遅れている。そんなコンプレックスを抱えている学僧の金閣という絶対的な憧れ。そしてそれを破滅しようと思うに至った心情の描写が丁寧に書き進められている。破滅させようと思ったときにふと自分の人生が前よりも前向きになったり、周りの人からの評価や...
吃音をもち、自分の感情もいつも世間からは一つ遅れている。そんなコンプレックスを抱えている学僧の金閣という絶対的な憧れ。そしてそれを破滅しようと思うに至った心情の描写が丁寧に書き進められている。破滅させようと思ったときにふと自分の人生が前よりも前向きになったり、周りの人からの評価や言われがどうでも良くなったり、話の展開の中に共感できるところも数多くあった。 思っていることを言うには、表現するにはもう自分は周りから遅れてしまっている、そんな自分がどんどんと嫌になる。そう言う言葉で片付けてはいけないと思うが、それは現在のSNS文化にも通じるところがある。周りを輝かせて、自分を暗くして、何かと周りと比較して自分を卑下して、私も正直そういうところがある。わかっていても認識を変えるだけではうまくいかない、行動に移さないと変わることができない。そういう葛藤もあると思う。 何かをやり遂げたとき、自分の思いが達成されたとき、そういう自分からの感情が発露されたとき、より人は「生きたい」と強く願うことができるのではないか。
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建物の構造がわかりにくいが、構造自体は知らなくていいので大体を想像しながら読むと多少は読みやすかった。 空から降ってくる雪は吃らずに落ちる…のような描写は、さすが三島由紀夫だな、と思った。(記憶が曖昧) 共感することが多かったので楽しく読めた。
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金閣寺燃えるまでに50回くらい挫折した。 正直あんまり覚えてないけどコンプレックスの塊みたいな主人公が毎日見るほど美しすぎる金閣寺を燃やした話だった気がする。美しいって概念を直接的な言葉以外で長々と物語で書いてたような気がする。
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正直に自分には、まだ読解力が足りないと痛感させられた。 難しい。この一言に尽きる。 主人公は、理解されないことを自分の信念としていたが、金閣寺の住職ではなく、最後の方で出る和尚の元でもしも修行していたら内面は少し変わっていたんじゃないかなあと思った。 主人公は病んでるし、厨二病...
正直に自分には、まだ読解力が足りないと痛感させられた。 難しい。この一言に尽きる。 主人公は、理解されないことを自分の信念としていたが、金閣寺の住職ではなく、最後の方で出る和尚の元でもしも修行していたら内面は少し変わっていたんじゃないかなあと思った。 主人公は病んでるし、厨二病を拗らせてるとも思った。 柏木みたいな、大学生が同期にいたら絶対に関わらん。 あと個人的に鶴川の死は驚かされた。ずっと陽の人間だと思って読み進めていたらそれはまさかのミスリードであった。その時、主人公も自分の確信を初めて疑ったという。 ちなみに初めて、三島作品を読んだが、とにかく情景を表現する項が多いなと個人的に思った。 風俗嬢に、これから俺は新聞にのるぞとアピールする所は、なんか昔の自分が俺は実は凄いんだと自慢する所と重ねてほろ苦い思いを想起させて苦笑した。笑
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※このレビューにはネタバレを含みます
仏教建築用語や風景描写が多いため、読みずらさはあった。だが、言葉は難しいのに目の前にその情景が浮かぶような描写、分かりやすく直接的ではないのに強いメッセージ性が伝わってくる所が、さすが文豪!という感じで感動した。あと、非常に哲学的な作品だと思う。※以下、私の解釈です。 プラトンはイデア論を提唱した。イデア論とは何かというと、例えば私たちは何かを見て、「美しい」と思うことはできるが、「美しさそのもの」を見ることはできない。このように、私たちが知覚できない、「善」とか「美」のそのもの、すなわちイデアが、別次元(イデア界)に存在するというのがイデア論である。私たちは洞窟の中(現実の世界)におり、洞窟の外にある物体(美や善のイデア)の影(この世における美しいものや善いもの)しか知覚することが出来ないのである。 『金閣寺』は、主人公が金閣寺を「美のイデア」(美そのもの)だと思いこむことから始まる物語だと思われる。例えば前半、主人公が実物の金閣寺を初めて見て、「模型のようだ」と期待外れの感想を抱くシーンがある。これは、絵葉書越しに見た金閣寺を「美のイデア」だと思いこみ、自分の様々な理想を金閣寺に付与した結果、実物を見た時に期待外れであった、ということだと思う。 問題は、金閣寺という「美そのもの」「美のイデア」が現在していることによって、身の回りに起きる事柄が全てあっけなく思えてしまうということである。例えば、主人公は二度ほど女性と性行為を試みようとするが、女性の乳房を見た瞬間に金閣寺が頭によぎって漠然としてしまう。自分の欲情や、それによる快楽は、偉大なる美のイデアに比べればなんとちっぽけでくだらないことか。彼は萎えてしまうのだ。 だから、主人公は金閣寺を燃やそうとする。ここで重要な哲学的問いがもう1つ。世界を変えるのは認識か?行動か?という問いである。金閣寺を燃やす前日の主人公と、柏木の会話にこの問いがよく現れている。柏木は、世界を変えるのは認識であるという。「金閣寺=美のイデア」というのは事実ではなく、あくまで個人の認識である。その認識を変えれば、主人公にとって世界は変わる。柏木は、認識は、人間が辛い世の中で生きていくための武器だと言い、主人公を説得しようとする。だが主人公は、認識では世界を変えられない、すなわち行動によって実物としての金閣寺を破壊しなければ、自分の世界は変わらないと考える。だから、「金閣寺を焼かねばならぬ」と行動に出るのだ。
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三島由紀夫文学初デビュー。 正直意味が分からない漢字が多すぎて、多々(こうゆう意味なのかな)と感覚的に読み進めた所があった。中学生である自分にはまだ早かったのかもしれない。ただ、それでも主人公の葛藤や物語の展開には感情を動かされた。 いろいろな人生経験を積んだり、然るべき語彙力を...
三島由紀夫文学初デビュー。 正直意味が分からない漢字が多すぎて、多々(こうゆう意味なのかな)と感覚的に読み進めた所があった。中学生である自分にはまだ早かったのかもしれない。ただ、それでも主人公の葛藤や物語の展開には感情を動かされた。 いろいろな人生経験を積んだり、然るべき語彙力を付けて大人になった時、また改めて読み直したいと思った。
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吃音がある少年はそれがために自己表現が不得意であった。先が短いことを知った父は少年の将来を友人の住職に託す。学僧となった少年の心に幾度となく表れる金閣寺。寺で共に学ぶ鶴川、大学で知り合った内反足の柏木、彼らの思考と少年の思考が交差していく。禅海和商に出会い最後まで迷いつつも「ある...
吃音がある少年はそれがために自己表現が不得意であった。先が短いことを知った父は少年の将来を友人の住職に託す。学僧となった少年の心に幾度となく表れる金閣寺。寺で共に学ぶ鶴川、大学で知り合った内反足の柏木、彼らの思考と少年の思考が交差していく。禅海和商に出会い最後まで迷いつつも「あること」を決心する少年。戦後という時代背景をもとに京都の街・人々までも美しく精巧な表現で描写されている。読書になれていないと少し読みにくさを感じる内容ではあるが、これぞ純文学という作品だと思う。いつまでも手元に置き読み返したい。
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人生初の三島由紀夫だと思います。 知る限りの彼はインパクトがありすぎて、作品にふれることを後回しにしていたのかも。 国語の教科書を読んでいる感じだったかな。表現される言葉に想像が追いつかず、なかなか難しかった。 恩田陸さんの解説に「青春小説」と書いてあり、なるほどなぁと思った。...
人生初の三島由紀夫だと思います。 知る限りの彼はインパクトがありすぎて、作品にふれることを後回しにしていたのかも。 国語の教科書を読んでいる感じだったかな。表現される言葉に想像が追いつかず、なかなか難しかった。 恩田陸さんの解説に「青春小説」と書いてあり、なるほどなぁと思った。 もう少し彼を知ってから、もう一回三島文学に挑んでみたい。 読めて良かった。
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