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阿佐ヶ谷アタリデ大ザケノンダ の商品レビュー

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2025/07/14

荻窪と阿佐ヶ谷はほぼ同じ生活圏。中央線の駅間の距離は1.6キロ。戦前・戦中・戦後にこの地域にいた文士たちは、ある時は荻窪、ある時は阿佐ヶ谷に集い、酒を飲み、将棋をさした。井伏鱒二はその様子を『荻窪風土記』として書き記した。 青柳いづみこはその向こうを張って、阿佐ヶ谷側に立ってこの...

荻窪と阿佐ヶ谷はほぼ同じ生活圏。中央線の駅間の距離は1.6キロ。戦前・戦中・戦後にこの地域にいた文士たちは、ある時は荻窪、ある時は阿佐ヶ谷に集い、酒を飲み、将棋をさした。井伏鱒二はその様子を『荻窪風土記』として書き記した。 青柳いづみこはその向こうを張って、阿佐ヶ谷側に立ってこの界隈の今昔を眺める。「阿佐ヶ谷アタリデ大ザケノンダ」は、井伏の漢詩訳の有名なワンフレーズで、これを書名にしたのは井伏へのオマージュ。 いづみこの祖父は『荻窪風土記』に頻繁に登場する青柳瑞穂。「文学窶れ」の章には、骨董に凝ったその祖父のこと、そして『荻窪風土記』のことが書いてある。ほかの章では、ピアニストという職業柄、知友の音楽家たちが多く登場。阿佐ヶ谷の居酒屋やライヴ事情も紹介している。 「女たちの阿佐ヶ谷会」の章は、女性の視点による阿佐ヶ谷風土記、とくに太宰治への言及がおもしろい。(なお、阿佐ヶ谷姉妹は登場しない。) もとは「東京新聞」連載の「私の東京物語」。勢いが感じられるのは、その連載を下書きにして、一気に書き下ろしたからか。

Posted byブクログ