百年の轍 の商品レビュー
日中戦争から太平洋戦争にかけて従軍した幼なじみの矢島泰介と岩城智也。そしてその妻・子どもや孫。更にどうしようもない悪役として登場する、県会議員の鬼塚良一とその子からひ孫までが、世代を超えて何らかの関係を持ち、その中で良一失踪事件の謎が解き明かされる。 とは言うものの、極悪非道の良...
日中戦争から太平洋戦争にかけて従軍した幼なじみの矢島泰介と岩城智也。そしてその妻・子どもや孫。更にどうしようもない悪役として登場する、県会議員の鬼塚良一とその子からひ孫までが、世代を超えて何らかの関係を持ち、その中で良一失踪事件の謎が解き明かされる。 とは言うものの、極悪非道の良一の失踪で騒ぐのは、やはり極道である息子くらいで、謎解きの必然性が感じられなかったし、また矢島泰介の息子の裕一は実の息子でなく、彼が戦地に赴いていた間に思いがけない人との間に出来た子だった衝撃的事実も、少しリアリティーさに欠けていると感じた。 時代が過去に遡ったり現代に戻ったりするし、また登場人物の関係がかなり込み入っているので、メモを確認しながら読み進めたが、総じて話しの筋は比較的シンプルだったかな。 また、戦時中から戦後にかけてのカオスや、舞台となっている大分県の日田地方で有名な杉が、当時進めていた木材輸入自由化の影響で打撃を被る未来が見えてきていたこと等は、ある意味信憑性を感じさせてくれ、興味深かった。
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誰が祖父で誰が息子なのかこんがらがった。作家自身は勿論わかって書いているんだろうけどこれだと途中で読むのを辞めたくなった。
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書肆侃侃房というめずらしい出版社だから読んでみた。 作者も知らなかった。 たしかに糸が複雑に絡んでるがちょっと絡めすぎではないか。最後に絡みを解くわけだが一気にスルリといきすぎて絵空事の感。 とにかく社会派とは言い難い本格ミステリーだと思った。
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日田の杉林を舞台に、男たちの秘密、親子孫100年にわたる深い因縁の物語を、戦後日本の復興政策、木材の輸入自由化による林業の衰退など社会的な問題を盛り込み描き上げた大河小説的社会派ミステリ。 大河小説は好きなんだけど、100年にわたる物語を300ページに満たないボリュームで描くこ...
日田の杉林を舞台に、男たちの秘密、親子孫100年にわたる深い因縁の物語を、戦後日本の復興政策、木材の輸入自由化による林業の衰退など社会的な問題を盛り込み描き上げた大河小説的社会派ミステリ。 大河小説は好きなんだけど、100年にわたる物語を300ページに満たないボリュームで描くことに無理があったのかなあ。 ミステリとしては、動機に深く関わる裕一の父親が判明する箇所に無理があるように思う。いくら暗くても相手の男に気付かないなんてことがあるのか疑問だし、旧通産省キャリアの失踪という回収されない伏線にもモヤモヤ。。 明らかに名前や呼び方がを取り違えた表記が数カ所あったり、文章がわかりづらかったりとテクニカルな部分も気になって残念。
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12月-15。3.0点。 第二次大戦出征した兵士、代々3代にわたる物語。 一家には大きな謎が。代々の家が道路を造成するため立ち退くとき、秘密が明かされる。 270頁のため、100年が駆け足。でもストーリーはしっかり。途中から何となく真相がつかめてしまった。
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日田の古家を取り壊した際、文箱の中から出てきた古い封書とペンダント。古家の持ち主、矢島周平が中の手紙を広げ透かし見た時、風に舞って川の中へ…。 拾いあげたものの、読める状態になく、かろうじて読めた文字は「斬り…」「鬼塚良一で…」「不憫なのは、小都の息子裕一です」。 手紙にはど...
日田の古家を取り壊した際、文箱の中から出てきた古い封書とペンダント。古家の持ち主、矢島周平が中の手紙を広げ透かし見た時、風に舞って川の中へ…。 拾いあげたものの、読める状態になく、かろうじて読めた文字は「斬り…」「鬼塚良一で…」「不憫なのは、小都の息子裕一です」。 手紙にはどんなことが書いてあったのでしょうか? 物語は周平の祖父、裕一が存命だった頃に遡ります。 自分が父の本当の息子ではないと知り、荒れた学生時代を送った裕一は、上京後、家庭を持っても母とは絶縁状態でした。妹のとりなしと初恋の人である早苗の死をきっかけに、母と会うことを決意します。母から自分の出生の経緯を聞いた裕一は母を許そうと思うのでした。 そして裕一の死後、一人息子の健介は父の出生について、祖父の泰介は本当に蟠りがなかったのか疑問に思い、真実を知りたいと思うのです。 泰介の戦争体験や日田の林業について描かれ、昭和という時代を感じました。
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