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学術書を読む の商品レビュー

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23件のお客様レビュー

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2021/05/27

他分野の専門書を読む。ということを推奨しており、その意義をしっかりと説いている。その点は、目が拓かれる。特に、学問領域全体を俯瞰する全史の読書をすすめている。わかりやすい本の氾濫、多読速読の問題点などを提起しているものの、それに打ち克つべき方策は示されていなかったのが残念だった。...

他分野の専門書を読む。ということを推奨しており、その意義をしっかりと説いている。その点は、目が拓かれる。特に、学問領域全体を俯瞰する全史の読書をすすめている。わかりやすい本の氾濫、多読速読の問題点などを提起しているものの、それに打ち克つべき方策は示されていなかったのが残念だった。確かに指摘の点は、筋トレを考えても妥当だろう。促成栽培でよい筋肉はできないことも感覚的によくわかるし、軽いウェイトでは鍛えられないだろう。脳も身体の一部と考えれば、読書をトレーニングととらえればその通りだと膝をうつ。IF主義に警鐘を鳴らしてもいるが、これも資本主義の流れの中で、どのような方策でこれに対抗していくのか?新たな評価軸の提示があれば、なおよかったと感じた。

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2021/04/13

この本は、学術情報流通全体の現状と問題点(評価方法の偏り、研究と社会の隔たりなど)をふまえ、学術研究と社会をつなぐものとして学術書を位置づけた上で、その選び方・読み方(読む心構え?)を紹介した本です。 本の選び方として、前提となっている問いが大きいものを選ぶこと、著者自身が自ら...

この本は、学術情報流通全体の現状と問題点(評価方法の偏り、研究と社会の隔たりなど)をふまえ、学術研究と社会をつなぐものとして学術書を位置づけた上で、その選び方・読み方(読む心構え?)を紹介した本です。 本の選び方として、前提となっている問いが大きいものを選ぶこと、著者自身が自らの論の限界を理解しているものを選ぶこと、というのが挙げられていて、なるほどと思いました。

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2021/03/21

経営や心理学、文化人類学、サイエンスなど、仕事上領域横断で本を読んで学びたい、修得したいことが盛りだくさん。改めて読む力、読書から学ぶとは?を問い直したく手に取った。 それはともかく、最終章の「知を数で計る」ことへの問題提起。現場で真に活かされる知には領域を超えた連携と対話が不可...

経営や心理学、文化人類学、サイエンスなど、仕事上領域横断で本を読んで学びたい、修得したいことが盛りだくさん。改めて読む力、読書から学ぶとは?を問い直したく手に取った。 それはともかく、最終章の「知を数で計る」ことへの問題提起。現場で真に活かされる知には領域を超えた連携と対話が不可欠。論文引用数はじめ数のみのランク付けに何の意味があるというのか。 読み手の私は、学術書専門書読書から単に目先のための情報を得るにとどまらず、問い自体を問い直したり、離れたものをつなぎより本質的な課題解決に近づこうとする態度を常に忘れないこと。基本的な態度を再確認した。

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2021/03/07

書物を読む姿勢を改めてただしてくれるというか、見直させてくれるというか、ちゃんと本を読んで勉強しようと思わせてくれる本。気持ちが下がった時に読むようにしてます。

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2021/02/22

日本の毎年の新刊書籍量は7万冊を超える。しかし、読書の現状は悲惨だ。 4割以上の日本大学生が、読書しない(<1min/month); 2000年以降、読書法・読書術(多読・速読)が著しく増加し、「わかりやすさ」が強く求められる→知識の情報化; 98%の人文学・芸術学の論文、74...

日本の毎年の新刊書籍量は7万冊を超える。しかし、読書の現状は悲惨だ。 4割以上の日本大学生が、読書しない(<1min/month); 2000年以降、読書法・読書術(多読・速読)が著しく増加し、「わかりやすさ」が強く求められる→知識の情報化; 98%の人文学・芸術学の論文、74.2%の社会科学の論文が引用されない(SCI,SSCI,ACCI)→知識が量的に評価される; … どのような本をいかに読むか?読書にとどまらず、現代における「知識」の本質を捉え直すための一冊となる。

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2021/01/24

まず本書を一読して、著者である鈴木哲也氏は、広範囲の学術的知見を持ち、非常に高度な業務を担当している専門的な大学職員であることを感じた。論文ではない書籍としての単著を書ける大学職員は何人いるだろうか。もちろん自叙伝的な本を出す方は何人か思い浮かぶ。本書の内容自体のおもしろさとは別...

まず本書を一読して、著者である鈴木哲也氏は、広範囲の学術的知見を持ち、非常に高度な業務を担当している専門的な大学職員であることを感じた。論文ではない書籍としての単著を書ける大学職員は何人いるだろうか。もちろん自叙伝的な本を出す方は何人か思い浮かぶ。本書の内容自体のおもしろさとは別に、その意味で著者の仕事の意義は大きい。 本文では、学術書をよむときに専門外の本を次の枠組みで選ぶとよいとしている。これは一生持ち続けられるものだろう。 ①自らの専門からは遠い分野 ②自らの専門に比較的近い分野 ③古典 ④現代的課題についての本 (p.48) 論文ではなく、本を読むことの効用として、「『自分と違う』世界を知る術」(p.63)と示している。「『仲間内』のものばかり選らんでいては、自らの立場を相対化・批判しつつ考察を重ねるという知的な力は鍛えられ」ない。一つの論文を執筆する期間は、とにかく自分の主張を強固なものにしておくための、書籍・論文チェックを優先する。そうしたタスクがないときは、上記②の中でも距離が離れたエリアの本を手に取りたいものだ。 研究管理・支援部門関係者にとって重要なパートは、第Ⅲ部だ。著者の指摘に耳を傾けたい。インパクトファクターを最優先にした学術誌駆動型研究に走らざるを得ない昨今の趨勢に異を唱えている。「知を数で計る」(p.108)仕組みを世界中にインストールしたのは、英語圏の多国籍企業であり、研究と論文と世界大学ランキングを絡めてコンサルをする「マッチポンプ」である現状を急いで理解したい。ランキング上位大学にお金が恒常的に分配される仕組みが定着する。研究大学におけるURAや事務職員は、その職務上、マッチポンプのプロセスに懸命に参加している、という見方もできる。現実には、実務的にはそうであることを分かった上で、現場でしたたかに対処するしかないだろう。

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2020/12/27

・「わかりやすさ」 が重視されてきたのはバブル期頃 ・科学史、文化史の名著 ・知の評価基準(論文業界)の危うさ

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2020/12/15

わかりやすい本は落とし穴がある、という本は多いものの、それらは実際読みにくく、読みやすい方がいいと感じていました。 しかし、本書は読みやすい本の出現からデータにすることの問題などを提示しており、しかも読みやすい。 自然科学と社会科学の橋渡しになるような本で、専門分野でない本を読む...

わかりやすい本は落とし穴がある、という本は多いものの、それらは実際読みにくく、読みやすい方がいいと感じていました。 しかし、本書は読みやすい本の出現からデータにすることの問題などを提示しており、しかも読みやすい。 自然科学と社会科学の橋渡しになるような本で、専門分野でない本を読む意義を教えてくれる。読書術などを読む方の期待にも応えてくれると思う。

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2020/12/08

京都大学の学術出版会で編集長を務める著者が、専門外の学術書の選び方や読み方などについて語った本。 本を選ぶ際のヒントを得られたので、これをきっかけに、ますます色んな分野の本を読んでみたいと思った。

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2020/12/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

専門外を学ぶ環境が難しくなっている。一方で、専門について学ぶ環境も、二十歳になる前に文系/理系を決めるなど、不自然な状況だ。学術書は確かに難しいものもあるが、そもそも「わかりやすく」することで、誤解や曲解に繋がりやすい。わかりにくいことを丁寧に説明することが大事である。また、大学では論分の引用数を評価しがちだが、それは研究者数などが違うフィールドを比較しており、ナンセンスである。

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