孔丘 の商品レビュー
中国・戦国時代の思想家であり儒教の祖である孔子の生涯を描いた歴史小説。聖人ではなく人間としての孔子に焦点を当て、家族、弟子、理解者と敵対者などが描かれつつ、時系列に沿って物語が進んでいく。教えるとは、学ぶとは、という点について色々と考えさせられた。
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かねてから儒教とは哲学なのか宗教なのか判然としなかったが、これを読んで宗教の始まりとか教祖というものはこういう成り立ちなのだろうと納得した。他人から自分がどう見られているかが気になる普通の人に教祖は務まらないのだが、こういう発達障害っぽい人は現代日本の会社組織でも異端で絶対に出世...
かねてから儒教とは哲学なのか宗教なのか判然としなかったが、これを読んで宗教の始まりとか教祖というものはこういう成り立ちなのだろうと納得した。他人から自分がどう見られているかが気になる普通の人に教祖は務まらないのだが、こういう発達障害っぽい人は現代日本の会社組織でも異端で絶対に出世しないタイプ。自分が興味あることにはトコトンのめり込んで知識を吸収し、常人には発想できない素晴らしいアイデアをもたらすのだが、組織、というか上司に全く理解されず、良くて飼い殺し、普通なら会社を去って不遇な社会人生活を送る。アメリカだとこんな人にも資金を提供する人が現れてアマゾンやテスラのような会社を興したりするのだが。 儒教についても中国史についても造詣の深い著者だからこそ書くことのできた小説で、文章のうまさもあって物語に惹きこまれた。
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孔子という人物については論語の言葉は良く聞いてきたが、その人生、行動は知らないことが多い。孔子が妻と離婚し、子息とも別れてしまったこと、出身の魯から斉、楚、晋などの各国への任官運動?をする中での、各国王との会話など。また陽虎という人物への復讐心、相手の態度にムッとするような人間的...
孔子という人物については論語の言葉は良く聞いてきたが、その人生、行動は知らないことが多い。孔子が妻と離婚し、子息とも別れてしまったこと、出身の魯から斉、楚、晋などの各国への任官運動?をする中での、各国王との会話など。また陽虎という人物への復讐心、相手の態度にムッとするような人間的な側面、大男で偉丈夫だった様子など、人間的な側面の人物像を見る思いがした。73歳で亡くなった人生ということで、「七十にして矩をこえず」を語った意味が嚙み締められた。国王たちとの会話の中で、「政治と何か」「礼とは何か」などの問答が度々出てくるのが面白い。やはり儒教は為政者のための「教え」であると改めて思った。
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孔子を描くというのは難しいのだろう。人物を描くために行動を記していく。行動からは思考を読み取り人物を想像する。思想家は行動から読み取れる思考が大き過ぎるのかもしれない。
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学ぶものは学ばない者を超えて行く。 孔丘は、弟子と共に学んでいく姿勢をとった。 孔丘は礼の祖であり、礼は形式を重んじるが、それが形骸化することを嫌った。まごころを持って礼を行えば、多少形式からはみ出してもよしとするのが孔丘の考え方であった。儒者とは、元々は葬儀屋を指すことばだった...
学ぶものは学ばない者を超えて行く。 孔丘は、弟子と共に学んでいく姿勢をとった。 孔丘は礼の祖であり、礼は形式を重んじるが、それが形骸化することを嫌った。まごころを持って礼を行えば、多少形式からはみ出してもよしとするのが孔丘の考え方であった。儒者とは、元々は葬儀屋を指すことばだった。孔丘もその出身であり、若者に葬儀の礼を教えることが広がりを持ち、礼法を教えるようになった。 孔丘は、士あるいはそれ以下の階層の者を政治的指導者とすべく教育している。礼と政治とは別物ではなく、礼の理義を高めてゆけば政治に到達すると考えているのだ。 孔丘は、弟子に政治とは何かと聞かれた際に言った。先んずること、労することである、と。 これは、率先して行うことであり、また、ねぎらうことを言う。ほかには、倦むことなかれ、と言った。飽きていやになることなく行えと言うことだ。 孔丘は教育している。教育というものは、本当の自己を発見させることだろう。そのために礼が要り、楽が要り、芸が要る。ここでいう礼とは、確かに古来からの礼、作法というものではあるが、当時、学ぶものといえば、言い伝えであり、歴史であり、多くが礼儀作法的なものだったのかもしれない。だとすると、礼を学べとは、勉強をしろ、色々な知らないことを学べと言うことだったのかもしれない。 本書は、孔丘の生涯を描いているが、なんだか孔丘の顔が見えない。孔丘は不遇で、政治を任せてもらうことがなかったため、この行動に感動したとかなかった。宮城谷さんの作品だが、ちょっと楽しめなかった。あとがきに著者は書いている。書こうか迷っていたと。
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一生学び続けた意欲、周囲の人々への素の対応。フィクションであっても、人間としての孔子をイメージでき、とても楽しかった。仲由の師匠に対する尊敬と不満の両感情の葛藤が共感できました。中島敦「弟子」も読んでみたい。弟子の皆さん、老子、春秋戦国の動きなど色々関連付けて楽しみたい。
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若干回りくどい点はある。 しかし、それこそが孔子が生きた証であるとすれば、 宮城谷昌光さんの視点はとても温かい。 長編の本読みに慣れない人がこの本にチャレンジするには、ある程度、この春秋時代の歴史知識を知っておくことをお勧めする。
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2021/1/24読了。孔子とその時代背景(春秋時代の攻防)や取り巻く人々の人物描写が活写されていて大変面白かった。しかし、後世釈迦、キリスト(カント?)孔子、ソクラテスを四聖と言われているが、物語によると孔子様も随分と悩み苦労されたのがわかる。支えた弟子たちもまた個性豊かで素晴...
2021/1/24読了。孔子とその時代背景(春秋時代の攻防)や取り巻く人々の人物描写が活写されていて大変面白かった。しかし、後世釈迦、キリスト(カント?)孔子、ソクラテスを四聖と言われているが、物語によると孔子様も随分と悩み苦労されたのがわかる。支えた弟子たちもまた個性豊かで素晴らしい。師である孔子と自分の意見で答える弟子のやりとりは感動的。 最近読んだ歴史小説としては古代中国作家としての推理も随所に織り込まれて(もちろん論語がベースにはなっているが)楽しかった。 実は、今年は論語に接してみたい(渋沢栄一と論語の関係に興味が引かれた)と年初から計画を立てて 下村湖人の『論語物語』を購入していたが、ちょうど図書館に予約してあった本作が先に手に入ったためこちらを優先した。幸運だった。今年の読書計画に幅が持てそう。
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面白かった。孔子の解釈には自分も難しい部分も多く、何が正解かはわからないけど、一定の答えが出ている内容になっていると思われる。
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著者本人があとがきに書いているように、孔子を小説にするのは大変なことだ。だがそれを実行してくれたがために、論語で書かれていることやその他の孔子関連の書籍に書かれていることがどういう文脈だったのか想像しやすくなり、門弟一人一人も言動を伴うことでその個性がよくわかるようになった。 決...
著者本人があとがきに書いているように、孔子を小説にするのは大変なことだ。だがそれを実行してくれたがために、論語で書かれていることやその他の孔子関連の書籍に書かれていることがどういう文脈だったのか想像しやすくなり、門弟一人一人も言動を伴うことでその個性がよくわかるようになった。 決して孔子を神格化するものではなく、かといって凡人に降ろすのでもなく、人間孔丘をしっかり描き切っている。
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