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ジジイの片づけ の商品レビュー

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22件のお客様レビュー

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2022/06/16

定期的に整理収納本を買って読み、自宅の快適の維持に努めている。平たく言えば『モチベーションの維持』。書棚の一角には類書が並ぶ。 整理収納や断捨離本って、総じて〈清掃整理と心の安寧の密接関係〉を説く。家が部屋が機能的かつ快適になるだけでない、『心への効能』に話は及ぶ。『全てMUJ...

定期的に整理収納本を買って読み、自宅の快適の維持に努めている。平たく言えば『モチベーションの維持』。書棚の一角には類書が並ぶ。 整理収納や断捨離本って、総じて〈清掃整理と心の安寧の密接関係〉を説く。家が部屋が機能的かつ快適になるだけでない、『心への効能』に話は及ぶ。『全てMUJIできちゃう快適スマート収納』のようなノウハウ全開本は別として、ご高説を開陳される。 例えば、最少のモノで暮らす生き方を志向するミニマリズム本なんて、精神世界の領域にどっぷり入り込み明らかに自説に酔ってるよなぁと思しき著者もいる。このあたりダイエット成功譚に似ている。 そもそもミニマリズムは快適な暮らしをする上で、モノを取捨選択する『選択と集中』だと理解している。こっちは体験に基づく具体性を欲しているのに、導入前と導入後の心情的変化にページを費やし、隔靴掻痒感に苛まれる。 本書にもこんな一説がある。 〈心が晴れない時ほど、部屋、家の片付けをするのが一番だ。掃除をし、身体を動かし、片付け方を発見すれば思考も変わり、新鮮な気持ちになる。使わなくなった物を整理処分すると、部屋も広く、心も明るくなってくる。捨てる時には一瞬迷いも生じるが、捨てた後には壮快そのものだ。何に迷っていたのかということさえ忘れ、新たに生きる勇気が蘇ってくる。(中略)モノの片付けは心の片付けでもある。〉 かくいう僕も毎朝の出勤前のルーティンとして、コロコロで念入りに床の埃や髪の毛等を取り、食卓を除菌スプレーで拭き、洗面所は手ぬぐいでまず鏡を磨いた後、洗面所の水垢を拭い、タオルハンガーのタオルを洗い立てのタオルに替える。晩の入浴時の着替えとタオルも整え、ようやく髭を剃ったり寝癖を直し身支度し、玄関マットにスリッパを揃え、いざ出勤となる。 これは妻に頼まれたわけでなく、家事の分担でもなく、その日がうまく滑り出すよう自己流の『おまじない』。 著者は長年『本の雑誌』表紙・本文のイラストを手がけるイラストレーター。子どもらは独立、現在は妻とふたり暮らし。自身の書斎や領域はせっせと整理・収納・清掃に勤しむ毎日。その夫の前に立ちはだかるのが妻。ちょっとした物から思い出の品々まで溜め込み処分しようとしないことで何度も大喧嘩に発展。挙句に妻からは『もう、愛しているなら、さっさと死んでくれ!』とも言われる始末。本を著わすほどの蓄積したノウハウもスキルも跳ね返され、以来妻への領域へは不可侵に。 あとがきで著者はこんな提言をする。 片付けを習慣にすると、健康・安心・老後の喜びと…いい事づくめである。思い立った時に片付けるのではなくジジイは今後のならわしを片付けを中心にして、そして片付けを趣味にして欲しい。ただし、家族の者に嫌われないために物音を立てず、大声を上げず、静かに専念すること。 実に深い自戒である。 今では使われなくなった関西弁に『かんしょやみ』という言葉がある。漢字では『癇性病み』と綴る。潔癖症に近いかなりの清潔好き。片付け癖が進行すると片付けのために片付けをするといった、住まいの快適化をはるかに飛び越え、家人を神経質にさせる。モデルルームのような家に住みたい人は別としてあくまでも『寸止め』に留める。ダイエットしかり、何事も『腹八分目』にする、この塩梅が中々難しい。

Posted byブクログ

2020/11/09

いたずら書きのようなイラストと、突き放しているようで、しつこい温もりを感じる文章、好きです。 ババアの片づけをはじめようと思う。

Posted byブクログ