AIの壁 の商品レビュー
2020年発刊であるが、2019~2023年頃までの間に生成AIが爆発的に進化・浸透したため早くも既に時代遅れの感がある。 4人の専門家との対談本だが、さほどケミストリーが起きていない。 お互いを尊重し、それぞれの主張をしているが、お互いの情報と主張を出し合っておしまいになって...
2020年発刊であるが、2019~2023年頃までの間に生成AIが爆発的に進化・浸透したため早くも既に時代遅れの感がある。 4人の専門家との対談本だが、さほどケミストリーが起きていない。 お互いを尊重し、それぞれの主張をしているが、お互いの情報と主張を出し合っておしまいになっている印象。 養老孟子の主張は過去の著作から一貫していて、身体性が重要、脳化(=情報)社会に偏るのは不適切というのが主軸にある。 AIに関しても物によっては使えばいいと受け入れてはいるが、諦念の様相が強く、基本的にはAIもロボットも自動運転車も自分とは関係ないし不要だし勘弁してくれ、といった旨の発言が多い。 必要性という文脈で言ってしまえば勿論AIなど不要になってしまう。 歴史を見返せば火薬、電信、核兵器など、軍用すると有利になる技術は押しなべて積極的に開発され、その技術のおこぼれが社会の利便性を高めてきた。このことを鑑みても、他国との関係の中では否が応でも開発実装が必要となってしまう。 ファイティングポーズを取る相手には身構える。 環境破壊や国同士の緊張感を高めるネガティブな側面があるため技術開発は慎重性が求められる。 ただ思うにそれ以上に、建設的なAIの活用を勧められるように、前提として他者理解・他国の文化や価値観を相互に理解することは重要である。 不毛な開発競争とそれによる負の側面を軽減してくれる。 養老氏が「地に足のついた」ことを重視するのは、オフライン、対面、現実で他者と向き合って触れ合うことによる非言語的コミュニケーション情報や、他者の命を感じることで他者理解がより進むメリットを知っているからだろう。 デジタルネイチャーの中であっても有機的・質量的観点を持って生きたい。
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第1章 AIから見えてきた「人間の可能性」(羽生善治×養老孟司) 「局面」で切れない自然をAIが扱えるか? 「脳化社会」の矛盾が明らかに 人はパンドラの箱を開けてしまう 物事のブラックボックス化 画一化の弊害 第2章 経済はAI化でどう変わるか(井上智洋×養老孟司) AIは格差社...
第1章 AIから見えてきた「人間の可能性」(羽生善治×養老孟司) 「局面」で切れない自然をAIが扱えるか? 「脳化社会」の矛盾が明らかに 人はパンドラの箱を開けてしまう 物事のブラックボックス化 画一化の弊害 第2章 経済はAI化でどう変わるか(井上智洋×養老孟司) AIは格差社会を拡大させる 車社会とAI化はつながっている AI化の本質 身体性が置いてきぼり 不老階級と役立たず階級 第3章 AIから人間を哲学する(岡本裕一朗×養老孟司) AIが哲学する日は来るのか? 概念を作り出す トロッコ問題にまつわる誤解 功利主義・義務論 概念を作り出すことが哲学の仕事 第4章 わからないことを面白がれるのが人間の脳(新井紀子×養老孟司) AIに負ける子どもたち ポピュリズムに利用されるインターネット 統計の嘘とAIの限界 わからないことを面白がる
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対談本だが、AIを語るほど工学に精通しておらず、あくまで抽象論として文系目線で、哲学者や棋士、経済学者相手に議論されている。だからAIに仕事を奪われるかどうか、という受け身な発想になるのかな。それに対して、60億以上いる世界人口があって知能があるのに、更に頭脳を増やして意味あるの...
対談本だが、AIを語るほど工学に精通しておらず、あくまで抽象論として文系目線で、哲学者や棋士、経済学者相手に議論されている。だからAIに仕事を奪われるかどうか、という受け身な発想になるのかな。それに対して、60億以上いる世界人口があって知能があるのに、更に頭脳を増やして意味あるの?と養老先生。お得意の持論は良いのだが、相手が養老先生に気を使い過ぎて議論にならない。衝突を避けながら、養老先生に合わせる形で探り探り主張している。それが次第に面白くなってくる。 例えば、正規分布や偏差値を批判的に議論する箇所で、高血圧といった外れた存在を標準化させる事が必要なら、東大生のような偏差値の高い存在も補正して馬鹿にしないといけないだろう。それを聞いて羽生さんは笑うが、先生は別に冗談を言っている訳ではない。頭脳と肉体の目標基準が異なるのはダブルスタンダードではないと思うのだが、議論は発展しない。 それと本対談には、トロッコ問題やサピエンス全史、アルファ碁の話がよく出てくる。AIの壁、つまり限界領域は、このように心を探る問題と、無機質なゲームルールの中で最上の成績をもたらす分野とで区分されるのかも知れない。そういう意味では、壁の内側にいる対談本である。その象徴的な編集を無自覚的にしている様が面白かったのだ。
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最近、養老さんにはまる。 養老節で巷にあふれるAI論を退けるのが痛快。 将棋で人とAIと戦わせてどうする。徒競走とバイクの勝負のようなもの。 この色づく秋、都会の公園でも変化する。 画面の中の変化とは違う空間を感じる世界。 AIよりも5Gとその先、VRによるメタバースが木々...
最近、養老さんにはまる。 養老節で巷にあふれるAI論を退けるのが痛快。 将棋で人とAIと戦わせてどうする。徒競走とバイクの勝負のようなもの。 この色づく秋、都会の公園でも変化する。 画面の中の変化とは違う空間を感じる世界。 AIよりも5Gとその先、VRによるメタバースが木々のゆらめく空気感を再現できるのか、気になる。 テクノロジーにより、空間内に全ての感覚情報再現できたとき、人は何を感じるのだろう。
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80代とは思えない、未来を考えている内容でした。羽生善治さん、井上智洋さん、岡本裕一郎さん、そして新井紀子さんの対談ですが、高度成長時期からたくさんのテクノロジーに囲まれて生活していると、人間は知らない間にAIのように無駄のない整理された人間を望みはじめているのが、最も危険な社会...
80代とは思えない、未来を考えている内容でした。羽生善治さん、井上智洋さん、岡本裕一郎さん、そして新井紀子さんの対談ですが、高度成長時期からたくさんのテクノロジーに囲まれて生活していると、人間は知らない間にAIのように無駄のない整理された人間を望みはじめているのが、最も危険な社会ではないかと感じているようでした。若者のスマホに対する人間の在り方だけでなく、60〜80代の高齢者だって他人事ではなく、まだ20年くらい生きてしまう今日では、特に高齢者に読んでほしいと思いました。わたしも五感をフルに活用しながら生きたいと思います。ありがとうございました。
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壁シリーズなので迷わず購入。 AIによって人間が人間らしい生き方を できるように開発を進めていくことを願う。 やはり自然の中で五感を働かせて 生きていくことが生物である人間には 必要なのだと再認識した。 リモートワークが広まったコロナ禍では そもそもリモートワークができる人と で...
壁シリーズなので迷わず購入。 AIによって人間が人間らしい生き方を できるように開発を進めていくことを願う。 やはり自然の中で五感を働かせて 生きていくことが生物である人間には 必要なのだと再認識した。 リモートワークが広まったコロナ禍では そもそもリモートワークができる人と できない人とで格差が開いてしまうから AIの進化によってさらに 格差が開いてしまうのなら 井上智洋の言っていたBI(ベーシックインカム)の 併用が必要になってくるはずだ。 車の自動運転で事故が起きた場合に 誰の責任になるのかというのは 技術の完成前に議論をしていく必要がある。 わからないから面白いと言う感覚は 忘れないようにしたい。
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A.I.に限らず新しく便利なモノに飛びつく前に、本当に必要かどうかを考えようっていう話。 羽生善治さんとの対談がとても面白かった。
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人工知能(AI)技術の飛躍的発展により、近年「AIが人間の知能を超える」と喧伝されるようになった。しかし、そもそもAIとは何なのか、AIと人間の知性の違いはどこにあるのか―解剖学者養老孟司が、4名の知性と語り合う。AIの発展がめざましい棋界に身を置く棋士・羽生善治、経済学者であり...
人工知能(AI)技術の飛躍的発展により、近年「AIが人間の知能を超える」と喧伝されるようになった。しかし、そもそもAIとは何なのか、AIと人間の知性の違いはどこにあるのか―解剖学者養老孟司が、4名の知性と語り合う。AIの発展がめざましい棋界に身を置く棋士・羽生善治、経済学者でありAI技術にも精通する井上智洋、著書でテクノロジーと人間のあり方を考察してきた哲学者・岡本裕一朗、人工頭脳プロジェクト「ロボットは東大に入れるか。」を進めてきた数学者・新井紀子。AIの限界と日本の未来を語り合う、知的興奮に溢れる4つの議論。
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羽生善治(棋士)、井上智洋(経済学者)、岡本裕一郎(哲学者)、新井紀子(数学者)との対談形式でAIと未来を議論する。それぞれの切り口でのAI感も興味深く読みましたが、養老猛司先生の持論である五感をフルに使って自然と触れ合うというところに帰結したのは予定調和な印象かな。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
新井先生との対談は非常に読みやすくて納得。 答えはないのだから、その不確実性を楽しむ遊びが欲しいですね じゃないと人間脳退化してしまう アメリカ文化への辛辣なインサイトも面白かった!
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