着物の国のはてな の商品レビュー
「着物の国」と聞けば、お~コワ、近寄るまい近寄るまいと後ずさるのは私だけではないと思う。やたらいろいろルールがあって、間違えると怒られそうだし、着物から帯から小物から、厳しく値踏みされて「フフン!」と鼻で笑われそうだし。ウン十年前結婚するとき親が無理してあれこれ持たせてくれたけど...
「着物の国」と聞けば、お~コワ、近寄るまい近寄るまいと後ずさるのは私だけではないと思う。やたらいろいろルールがあって、間違えると怒られそうだし、着物から帯から小物から、厳しく値踏みされて「フフン!」と鼻で笑われそうだし。ウン十年前結婚するとき親が無理してあれこれ持たせてくれたけど(お父さんお母さんありがとうね)、さて何回着たやら。普段に着ようなどと思ったこともなかった。 著者は50代を迎えて、着物をワードローブに加えたら楽しいのではないかと思い立ち、果敢にその世界に飛び込んでいく。納得のいかないことは自分で調べたり、詳しい人に尋ねたりして、よくわからない謎ルールに縛られた着物の国を覆うモヤモヤをどんどん晴らしていく。さすがの行動力で、実に痛快。たかだかここ何十年かの間に「そういうこと」になったものを、「伝統」という美名でパッケージングして高く売りつけるギョーカイってどう考えてもおかしいよ。 老けた感じに見えない似合う着物の選び方に始まり、半襟の付け方(あれ、めんどくさいよね!)、補整は必要か、着付け教室の仕組み、着物の「格」って何?「着物警察」の撃退法などなど、アンティーク着物とかリサイクル着物を自分でも着てみようかと思う人にとっては、実用的でとても役立つ内容にもなっていると思う。 裏表紙の著者近影は、愛犬マドと共にビールジョッキを掲げる着物姿。黒い縦縞に巨大なアネモネ柄のこの着物、夫の高野秀行さんは「スゲー柄!そんな着物どこに売ってるんだ?カッコイイじゃん」とおっしゃったそうだが、いやほんと、実にカッコイイ。片野さん、ご自分に似合うものをよくわかってらっしゃる。
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