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自閉症は津軽弁を話さない の商品レビュー

3.6

29件のお客様レビュー

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2024/08/25

津軽地域で乳幼児検診にかかわる著者の奥さんの「(お母さんはバリバリの津軽弁なのに)自閉症のお子さんは標準語でしか喋らない」」との噂話に「じゃあちゃんと調べてやる」と宣言し、「自閉症と方言」について研究を行う。自閉症と方言は発音の問題(先行研究多数)と断じていたが、その結果は著者を...

津軽地域で乳幼児検診にかかわる著者の奥さんの「(お母さんはバリバリの津軽弁なのに)自閉症のお子さんは標準語でしか喋らない」」との噂話に「じゃあちゃんと調べてやる」と宣言し、「自閉症と方言」について研究を行う。自閉症と方言は発音の問題(先行研究多数)と断じていたが、その結果は著者を驚かせるのに十分すぎるものだった。  まず、津軽地域での研究では、自閉症(以下ASD)児は方言を発する頻度が目立ったが、著者はそれを「ASDの発話にみられる独特のアクセントやイントネーションは、方言を多用される社会では方言を使わないという印象として捉えられるのか。それは現場感覚なものだろう。妻の言うことも一理あるかも」と、率直な感想を抱いた。  だが、著者は「津軽弁(方言)を話さない=自閉症」という誤った図式が定着してしまわないよう、丁寧に研究を進めている。  津軽(青森県から全にわたって研究を行うのであった。方言について、ASD児が方言を獲得する過程についても丁寧な研究が行われており、当事者や当事者家族のみならず、TD(定型発達)の方々にも一読してほしいと思った。有名な「サリーとアン」の実験も出てきます。心理的または社会的な障害とする論もあり、非常に興味深く拝読させていただいた。  本書のデータも内容も大変興味深いものだった。噂を噂で終わらせまいとする著者の熱意に痺れる。読むのに少し時間がかかったが、読み応えがあった。続編も出ているとの情報を得たが、直ぐには私のお粗末な脳髄で情報整理ができそうにないため、間を開けて取り組もうと思った。 難解な専門用語が出てくる(角川ソフィア文庫あるある)けれども、大体気合い(著者の)と文章力(著者の)でなんとかなります! 私自身、ASDの傾向もあると主治医に口頭で言われたことがある。また詳しく訊いてみようと思った。場合によってはnoteに書きます!

Posted byブクログ

2024/08/11

本の雑誌の研究者本の特集を読んで、面白そうだったので。 角川ソフィア文庫なんて(失礼)ほとんど読んだことがないかも。 内容も興味深くて面白かった。 たしかに私も方言地方出身だが、思い返すと皆方言を話していなかった。 どこから言語を習得しているのか、そういうことだったのか…

Posted byブクログ

2024/08/10

自閉症の子供は津軽弁を話さないという夫婦の何気ない話題を、しっかりと地に足のついた調査に発展させていて興味深い。 まず調査したこととしては、本当に津軽弁話さないのか?ということ。臨床心理士の妻の言葉を否定するため?の調査であったが、調べてみると津軽弁どころか、方言そのものを話さ...

自閉症の子供は津軽弁を話さないという夫婦の何気ない話題を、しっかりと地に足のついた調査に発展させていて興味深い。 まず調査したこととしては、本当に津軽弁話さないのか?ということ。臨床心理士の妻の言葉を否定するため?の調査であったが、調べてみると津軽弁どころか、方言そのものを話さない傾向が見えてくる。 ではなぜ方言を話さないのか? なぜ共通語で話すのか? そうした小さな疑問に仮説を作りながら、筆者なりの解答を得ていく、そのプロセスが丁寧に語られる。 すこし回りくどく感じる人もいるかも知れないが、地に足のついた答えに辿り着くためには、このくらい地道に答えを積み上げていくことが大切なのだと思う。 研究の方法も理解できるため、なかなか面白い。 自閉症者が苦手とすることも、この調査で少し見えてきた。 方言の役割、言葉の習得にまで話は及び、言語学の面白さだけではなく、発達についても考えさせられる。 それにしても、メディアが言葉の発達に一躍買っているとすれば、昔の自閉症者はどのように言語を学んでいたのだろう。 昔は今ほど自閉症者がいなかったのだろうか。 この本を読んで、気になることも増えた。

Posted byブクログ

2024/06/23

ASDの子供が津軽弁を話さない、という噂から調査研究した内容が纏められている著書 当初はASDの発話特徴として平坦さがあるために津軽弁と認識されにくいのではないか?との仮説で調べるが、方言の単語も使われない傾向が確認される そこから言語習得の過程から特徴があるのではないかと、研究...

ASDの子供が津軽弁を話さない、という噂から調査研究した内容が纏められている著書 当初はASDの発話特徴として平坦さがあるために津軽弁と認識されにくいのではないか?との仮説で調べるが、方言の単語も使われない傾向が確認される そこから言語習得の過程から特徴があるのではないかと、研究の進んでいく様は興味深く読めた 研究結果としては津軽弁に限らずASDは方言を話さない傾向がある その要因としてはASDの特徴である意図理解の弱さが挙げられている 会話などの自然言語は意味だけで成り立ってはおらず、関係性を含む使用状況から汲み取れる意図が重要となる 方言の使用は地域コミュニティの関係性を意味するところもあるがASDの方は対人的・社会的コミュニケーションに障害を有しており、それも一因となり方言を使わない傾向があるとのこと では標準語圏だと如何なのか?という疑問もあるだろうが、これは発話内容は一緒でも意図にギャップを有していることに変わりはない ウィトゲンシュタインの言語ゲームに通じる部分もありおもしろい

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2024/05/03

図書館で借りた。 タイトルを見て興味を引いて、借りてみた。著者が大学教授も勤めたセンセイで、その奥さんも教育現場に勤めている人で、奥さんが「自閉症の子って津軽弁を話さないよねぇ」と雑談でぽろっと言った一言がセンセイの研究テーマになり、深く調査していく…というストーリー。教授センセ...

図書館で借りた。 タイトルを見て興味を引いて、借りてみた。著者が大学教授も勤めたセンセイで、その奥さんも教育現場に勤めている人で、奥さんが「自閉症の子って津軽弁を話さないよねぇ」と雑談でぽろっと言った一言がセンセイの研究テーマになり、深く調査していく…というストーリー。教授センセイの本なだけあって、アンケート調査結果や、方言とはそもそも…など綺麗に整理されているが、かと言ってお固く難しい文章でもない。読みやすいので、気軽に読めて、かつ深く学べる本だ。 私自身は身近に自閉症の人は居ないが、東北出身ということで方言を覚えるあたりの話は気になったところ。 具体的な「かず君の場合」は非常に興味を引いた。家族の話には興味を持たないがアニメなどの話で語彙を覚えていく感じは、(子育ても経験していない私だからか、)非常に新鮮に見えた。

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2024/05/02

ASD者は社会性のある交流に難があり、地元での交流という用途の方言が獲得できないってのは腑に落ちたかな。 ただ逆に、一般動詞として共通語の語彙は獲得できるのも不思議に思った。 一部の共通語にない語彙すら習得できないってのは不思議だなあ。

Posted byブクログ

2024/01/21

途中から少し方向性に迷いを感じたが、さまざまな調査の方法は勉強になった。方言を話すというコミュニケーションが困難なのだと思う。言語習得は自然言語と学習言語のふた通りある。

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2023/04/08

「パターン・シーカー」にあるように自閉症のシステム化マインドも人類にとって大事なものだったわけだが、一方で共感性や社会性を苦手とする為に彼らは方言を話さない 大なり小なり誰にでも自閉症マインドはあるのかも スペクトラムなんだし 面白かった!

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2023/02/09

書店で最初の"発端"を読んでその文のおもしろさに惹かれ、購入して読み終わったあともいい本に出会ったなぁとしみじみ感じました。 自閉症の子どもがどうして方言を使用しない(覚えない?)のかという疑問を、地元の身近なところからもっと広い範囲へ、内容へと突き詰めていく...

書店で最初の"発端"を読んでその文のおもしろさに惹かれ、購入して読み終わったあともいい本に出会ったなぁとしみじみ感じました。 自閉症の子どもがどうして方言を使用しない(覚えない?)のかという疑問を、地元の身近なところからもっと広い範囲へ、内容へと突き詰めていく過程がとてもおもしろかったです。 また要所要所で出てくるたとえ話が的確でわかりやすいのもよかった。 何気なく使っている日常の言葉にもいろいろなルールや特色があること、コミュニケーションをとる上で細やかな気遣いや心の機微で言葉が成り立ってることがよくわかる一冊でした。

Posted byブクログ

2022/03/09

内容としてはとても勉強になり、なるほど〜と思うことも多かった。しかし、重複する文章が多くてちょっと斜め読みしてしまった…

Posted byブクログ