歌集 滑走路 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
遅ればせながら読みました。 読んで感じたことを最初全く言語化できなかったけれど、解説を読んでようやく少し言語化できるようになった気がします。 特に又吉さんの読み解きの深さに救われました。 ようやく、自分が感じていたものの正体や、それでいて自分の読み解きの浅さが浮き彫りになったから。 詠み手の優しさ、彼の目を通して見た世界を今こうして追体験出来る奇跡。 口語の短歌なので、すぐそばで語り掛けてくれているようであり、励ましの歌にこんな情勢だからこそより救われている。 自らの翼で滑走路から飛び立った彼の心が今も自由で優しく美しくあれと願ってやみません。 この境地に自分は到底たどり着けませんが、少しでも近づけるよう何度も読み込もうと思う一冊です。
Posted by
映画から入る。 それはそれ。 仕事の辛さ、先の見えない生活、届かない想い、、、辛い歌たち。一方で色んなものに向ける優しいまなざしも感じられる歌たち。 短歌で飛び立ちたかった彼が、飛び立つことが決まった直後に命を絶つほど辛いことがあったのかと思うと胸が締め付けられる。
Posted by
【解説:又吉直樹】 われを待つひとが未来にいることを願ってともすひとりの部屋を 「歌という鳥」 たとえば、その「われを待つ人」は私でもある。萩原さんが短歌で作った滑走路は彼だけのものではない。萩原さんが「ぼくたち」と言ってくれる限り、それは万人に開かれている。萩原さんは苦しい夜...
【解説:又吉直樹】 われを待つひとが未来にいることを願ってともすひとりの部屋を 「歌という鳥」 たとえば、その「われを待つ人」は私でもある。萩原さんが短歌で作った滑走路は彼だけのものではない。萩原さんが「ぼくたち」と言ってくれる限り、それは万人に開かれている。萩原さんは苦しい夜を何度も何度もくぐり抜けた。この歌集はその格闘のしるしでもある。私はどうしようもない夜にこの歌集をひらくだろう。その夜を乗り越える方法を萩原さんの短歌が教えてくれる。 (p.167)
Posted by