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今昔百鬼拾遺 月 文庫版 の商品レビュー

3.9

17件のお客様レビュー

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2024/09/07

『絡新婦の理』で事件に翻弄された美由紀と、京極堂の妹で雑誌記者の敦子が探偵役となる3篇。京極堂とその悪友(?)3人は登場しないけれど、百鬼夜行シリーズでお馴染みの面々が登場してきて、雰囲気は随分賑やかである。 ある意味普通を地で行き、十代ならではの素直な感覚をいかんなく発揮する美...

『絡新婦の理』で事件に翻弄された美由紀と、京極堂の妹で雑誌記者の敦子が探偵役となる3篇。京極堂とその悪友(?)3人は登場しないけれど、百鬼夜行シリーズでお馴染みの面々が登場してきて、雰囲気は随分賑やかである。 ある意味普通を地で行き、十代ならではの素直な感覚をいかんなく発揮する美由紀と、理性的であろうとすることが信条の敦子は、互いに足りないところを補い合える良いコンビだった。密会場所となるのが、駄菓子屋というのも楽しい。『天狗』に登場する(いつぞやかの榎木津に結婚式を滅茶苦茶にされた)美弥子も含めて、京極先生の描く女性というのはどことなく清々しいのは何故だろうか。3篇とも人死にが出ていて物騒極まりないのだが、周辺の要素がそんな感じなので、軽やかに読み切ってしまう。 一番気持ちが良いのは、事件終盤の美由紀の啖呵のシーン。普通の女子高生……なはずだけど、楽観的を通り越してものすごくメンタルが強い。精神の強靭さがずば抜けている。 シリーズの若い男性陣からほんのり好意を寄せられる敦子だが、第三者視点で描かれる人物像と、本人の思索思考とに差があるのも興味深かった。あと、3篇のタイトルが『鬼』『河童』『天狗』といつになく抽象的だったのは、京極堂自身が登場しないからか。美由紀と敦子の認識範囲の中で設定可能なキーワードのような。 なにはともあれ、テンポよくスカッと感じられる一冊だった。分厚くて重いのが難点だけど、またいつか読もうと思う。

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2024/09/04

鵺の文庫版が出るから 手首を鍛えておきました 京極の妹 敦子を主人公にした物語です 残念ながら、いつもの面子は出てきません それでも面白いんですけどね

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2024/08/10

「理解するための努力もしないし、理解して貰おうともしない。考え直すことも一切しない。」 私の嫌う人の特徴をうまく簡潔に説明できる言葉だなと思ったので今後嫌いな人について聞かれたらこの言葉をパクらせてもらおうと思った。

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2024/01/15

よ、読み切りましたー! 何という達成感! 収録作が3編とは思えない読み応えたっぷりのボリュームといつもと違う事件の幕引きのやり方に大満足。 実は鵼の碑が発売される前に百鬼夜行シリーズを全部読破しておいて、発売と同時に鵼を読もう!とかざっくりとしたスケジュールを立てていたのですが...

よ、読み切りましたー! 何という達成感! 収録作が3編とは思えない読み応えたっぷりのボリュームといつもと違う事件の幕引きのやり方に大満足。 実は鵼の碑が発売される前に百鬼夜行シリーズを全部読破しておいて、発売と同時に鵼を読もう!とかざっくりとしたスケジュールを立てていたのですがまぁ予定通りに進まず遂には年が明けてしまいましたがやっとここまで辿り着きました。 この話は百鬼夜行シリーズではありながら本編のメインとなる登場人物がほぼほぼ出てこないという少し異質なお話だと思います。 京極堂の代わりに事件に挑むのは敦子と「絡新婦の理」に出てきていた美由紀ちゃんの2人。 いやーここで美由紀ちゃんにまた会えたのが個人的にとても嬉しかったです、美由紀ちゃんの性格をとても好ましく思っていたしまた会えたらいいなぁと思っていたので。 こういう思いがけない再会が出来るのが百鬼夜行シリーズのいい所だと思います、逆に「この人は誰だ?」となって読みたい本がどんどん増えていくとも言えるのだけれど……。 で、この2人が身近に起こる様々な事件に関わったり巻き込まれたりしながら解決を目指すのですが……。 解決編に限っては何かこう、京極堂って凄いんだなぁということを思い知らされるというか。 あれだけずっと語って、しかも最初何の話をしているんだ?と思うくらい突拍子もないことを語り出したりするのに自然と京極堂が話し出すとスラスラと頭に入ってくる感じがある。 その点敦子の語りはまぁ流石妹というべきか理路整然としてる感はあるんだけれど、でもやっぱりどこか拙い。 語りだけで相手を説き伏せる所まではいけないんですね。 だからこそ美由紀ちゃんが配置されてるんだと思うんだけど……彼女はどちらかと言うと榎木津タイプなのでしょうか。 彼女は全てが明らかになった後に暴れ出すのだけど、言うことが至極ごもっともな上に敦子の語りだけでは納得出来なかったモヤモヤを昇華してくれるんですよね。 毎回「よく言った!」と手を叩きたくようなまぁ見事な暴れっぷりで。 敦子だけでも駄目だし美由紀ちゃんだけでも駄目というこの絶妙なバランスがとてもいいんだよなぁ。 というかね、美弥子さん! 私の大好きな美弥子さんも登場するんですよ! 「美弥子さん誰?」って人は薔薇十字社の鳴釜事件を読んでくれ、本当にかっこいい女性なんだ美弥子さんは! 正直あれだけキャラが立っていたのにほんの少ししか登場シーンがなかったの勿体なくない?と思っていたのだけどここで出てきてくれるなんて!最高! もうこの3人で色んな事件をバッサバッサ解決していく痛快ものをもう少し読みたいと願ってしまうくらい。 本当にいい人なんだよなぁ美弥子さん、もう少しどっかで出てきてくれると嬉しいなぁ。 ともあれこれで刊行されていた百鬼夜行シリーズは全て読破出来たということで。 いよいよこれで鵼の世界に入れます!

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2023/12/08

鬼、河童、天狗のそれぞれの単行本の出版社の、どれとも違う京極堂シリーズと同じ版元から出版された月。 ここらへん出版社の垣根を超えたシリーズ刊行できるあたり京極夏彦のすごさなんでしょうか。 バラバラの時の挿絵(モデルさんがお面つけて立ってるやつ)も雰囲気あって好きだったけど、今回の...

鬼、河童、天狗のそれぞれの単行本の出版社の、どれとも違う京極堂シリーズと同じ版元から出版された月。 ここらへん出版社の垣根を超えたシリーズ刊行できるあたり京極夏彦のすごさなんでしょうか。 バラバラの時の挿絵(モデルさんがお面つけて立ってるやつ)も雰囲気あって好きだったけど、今回の装丁はいつもの京極堂シリーズでその重み(物理)と相まってしっっっくりきた。 最後の天狗の話が一番好きやなぁ。女性の考えをはっきり口にしてくれて爽快。こんなふうにズバッと物言いできないです。

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2023/09/07

【2023年108冊目】 百鬼夜行シリーズでお馴染み、京極堂こと中禅寺秋彦の妹である敦子と、「絡新婦の理」で初出した女子高生、呉美由紀を中心とした3つのお話。合わせて文庫本で1000頁超えなので、それぞれのお話が短編集とは言えません。本体もサイコロみたいに分厚い。 鬼、河童、天...

【2023年108冊目】 百鬼夜行シリーズでお馴染み、京極堂こと中禅寺秋彦の妹である敦子と、「絡新婦の理」で初出した女子高生、呉美由紀を中心とした3つのお話。合わせて文庫本で1000頁超えなので、それぞれのお話が短編集とは言えません。本体もサイコロみたいに分厚い。 鬼、河童、天狗をモチーフにした怪異譚。多々良先生なんかも出てくるので、なかなかに豪華。敦子さんの、「ああ、京極堂の妹だなぁ」と思わせる語り口と、美由紀ちゃんの読者を代弁するような説教が胸に刺さります。 特に「天狗」の話は男尊女卑をテーマにもしているのですが、なかなかに読んでて辛かった。いや、どのお話に出てくる人も、殺されるべき理由なんでないんですけどね。

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2023/08/25

面白かった。続編も書いて欲しい… エモーショナルに叱りつける呉さんの痛快さがお約束化されている。敦子の情報整理→解きほぐしにそのお説教が加わって、それで京極堂の「憑き物落とし」に近い効果になる。 「河童」「天狗」はお馴染みのキャラクターが小出しに登場する楽しさもあり、地理院地図...

面白かった。続編も書いて欲しい… エモーショナルに叱りつける呉さんの痛快さがお約束化されている。敦子の情報整理→解きほぐしにそのお説教が加わって、それで京極堂の「憑き物落とし」に近い効果になる。 「河童」「天狗」はお馴染みのキャラクターが小出しに登場する楽しさもあり、地理院地図で夷隅川や高尾山の地形図を見ながら読み進めると旅気分で楽しかったりした。 『絡新婦の理』ではフェミニズムもテーマのひとつだったが、その中心にある人物が「これを語っている人が犯人かもしれないと読者が疑いつつ読ませる」構成でもあったため、どう受け止めれば良いものか悩んだりもした。本作は自らを「属性」で語られることの違和感を対話篇的に議論するパート(とくに「天狗」)が多く、そういう意味では読みやすかった。

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2023/07/30

ストーリーが女子高生と敦子の視点で進むからなのか、狙ってる?と思うほどに読み難い。 京極堂の説明って言ってること難しいけど、整然としててわかりやすかったな、と実感したわ…...。

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2023/07/29

 3つの作品が1つになった作品。百鬼夜行シリーズの探偵役の妹が主人公の小説で、本編のスピンオフ的な作品であると理解。  鬼、河童、天狗という文字にひかれて初めて買った、京極夏彦の作品。普通に面白いものの、過去の事件や本編を知らないとイメージしづらい登場人物が出てきたため、この作品...

 3つの作品が1つになった作品。百鬼夜行シリーズの探偵役の妹が主人公の小説で、本編のスピンオフ的な作品であると理解。  鬼、河童、天狗という文字にひかれて初めて買った、京極夏彦の作品。普通に面白いものの、過去の事件や本編を知らないとイメージしづらい登場人物が出てきたため、この作品を読見終えた次の日、姑獲鳥の夏と魍魎の匣を購入。  物語として普通に面白く、同時に色々な伝承の話等も知れる一冊。

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2022/12/24

千頁越えは京極食堂での並盛。三編合わせてだから小皿三品ってところか。定食(本編)好きな常連には満腹感に欠けるものの、味付けがらしくてそれなりに美味い。サブキャラを上手く使っているのは『河童』。饒舌で脱線してユーモアを加えてる。『鬼』鬼の副長との結び付けをもっと期待してしまった。『...

千頁越えは京極食堂での並盛。三編合わせてだから小皿三品ってところか。定食(本編)好きな常連には満腹感に欠けるものの、味付けがらしくてそれなりに美味い。サブキャラを上手く使っているのは『河童』。饒舌で脱線してユーモアを加えてる。『鬼』鬼の副長との結び付けをもっと期待してしまった。『天狗』美由紀と美弥子の掛け合いはいいけど、ここでジェンダー論やらんでも。次は何を食べようか。

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