たちどまって考える の商品レビュー
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『テルマエ・ロマエ』の作家さんでメディア等に露出もあるので強めの印象があります。 コロナ禍で今までの価値観が揺らぐ中、ヤマザキさんの力強い言葉が胸に刺さります。 【人はどうも信じることを美徳とし、疑いは良くないこととして解釈する傾向がある。たしかに信じるほうが、疑いを抱くよりは楽だし、裏切られた場合もその責任を信じた相手に負わせればいい。疑いという想像力には、それなりのエネルギーを要します。怠惰な人にとっては「信用」のほうがはるかに気楽でしょう。しかし、この「疑念」こそが社会の質を高め、栄養素の多い社会環境をつくり上げていくきっかけとなるのではないかと感じます。】 【「難しい問題を前にすると思考停止に陥る」というのも日本でよく聞く話です。でもこれだけ西洋の影響を受け、日常にもそれが浸透してしまった今は、もうそんなことを言っている場合ではないと思います。メディアの誰かの発信する言葉に「そうそう、これが自分の言いたかったこと!」とうなずくのではなく、自分の頭で考える訓練をしていかなければ、かつての世界大戦前のように、誰かの思想や思念に洗脳されてしまいかねません。】
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イタリアに家族がいて、日本人とはなんなのか、よく存じ上げているヤマザキマリさんの、パンデミックで立ち止まってしまったなか、日本人とはなんなのか、考察をしている。 たしかに、日本には、明治維新後に入り込んできた、西洋式の民主主義が、まだ馴染んでないのかもしれない。 良い悪いは別にし...
イタリアに家族がいて、日本人とはなんなのか、よく存じ上げているヤマザキマリさんの、パンデミックで立ち止まってしまったなか、日本人とはなんなのか、考察をしている。 たしかに、日本には、明治維新後に入り込んできた、西洋式の民主主義が、まだ馴染んでないのかもしれない。 良い悪いは別にして、日本人の考え方や精神性をよく理解し、世界のなかの日本として振る舞う必要があるだろう。
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パンデミックを前に世の中が動きを止めた頃、ヤマザキマリさんがどんな思いで過ごしたのか。 負を生にする。ペストからルネサンスが開花したように、コロナが逆に何か大きなエネルギーを生むかもしれない。そんな思いが伝わってくる。 ヤマザキマリさんが日本とイタリアで暮らし、たくさんの旅をして...
パンデミックを前に世の中が動きを止めた頃、ヤマザキマリさんがどんな思いで過ごしたのか。 負を生にする。ペストからルネサンスが開花したように、コロナが逆に何か大きなエネルギーを生むかもしれない。そんな思いが伝わってくる。 ヤマザキマリさんが日本とイタリアで暮らし、たくさんの旅をしてきて、アウェイを味わってからこそ、俯瞰して日本が見える。対応の遅さは責任をとりたくない、周りの状況を確かめてから判断したいという日本人らしさがよく出ている。小さい頃から、先生の前で自分が学習したことを語るイタリアの教育。議論好きで民主主義が定着しているイタリアとの違いに歯痒くなる。自分自身を含めて。 ヤマザキマリさんは、ひとりひとりが、「想像力をもち、あらゆる人の言葉を受け入れて咀嚼し、自分の判断と考えをもつという必要性に迫られている」と語る。 パンデミックの副作用として、群れになりたがる欲求、生き延びようと思う強い意志に加えて、排除したいと欲する衝動が心に発芽しやすいとの指摘も、腑に落ちる。 ヤマザキマリさんは、画廊「ガレリア・ウプパ」でもまれ、無知を自覚し、読書によって知と思考力を鍛えていった。不確かな情報に翻弄されないようにするためにも、読書して鍛えていかないと。
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「命さえあれば復興はできる。歴史もそれを証明している」敬虔なクリスチャン思想のあるイタリアの考え方と、世間体ベースの日本の考え方。パンデミックの始まりと、その後のことを考えると海外での大都市ロックダウンの様子は報道されてもその背景にある宗教に根付く思想の影響などは言及されていなか...
「命さえあれば復興はできる。歴史もそれを証明している」敬虔なクリスチャン思想のあるイタリアの考え方と、世間体ベースの日本の考え方。パンデミックの始まりと、その後のことを考えると海外での大都市ロックダウンの様子は報道されてもその背景にある宗教に根付く思想の影響などは言及されていなかった。日常的に海外文化と日本文化の混ざる生活をしている筆者ならではの、民族思想的な考察が面白かった。
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人生は思い通りにならないもの、どんなことでも起こり得るもの ヤマザキマリさんの考え方すごいと思いました。
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コロナ禍始まってまもなくの行動がままならない時のヤマザキさんの視点がすごい。 俯瞰して状況をみていて、毎日ただ感染者の増加データに日々震え、感染者の増減に一喜一憂していた自分とは大きな違いを感じた。 ヤマザキさんは日伊両方での生活をしているのもあり、イタリアで感染が爆発的に増えた...
コロナ禍始まってまもなくの行動がままならない時のヤマザキさんの視点がすごい。 俯瞰して状況をみていて、毎日ただ感染者の増加データに日々震え、感染者の増減に一喜一憂していた自分とは大きな違いを感じた。 ヤマザキさんは日伊両方での生活をしているのもあり、イタリアで感染が爆発的に増えた一方で、日本の感染が抑えられていたことの背景に文化的慣習や過去の歴史に照らし合わせているところが納得できた。 空気を読む民族と読まないで、とことん自分の意見をぶつけ合い納得するまで話し合う民族。相反するような民族性の違いについて語られる点が興味深く心に刺さった。 色々と国の歴史や文化、風習なども織り交ぜヤマザキさんは分析されている。 空気を読むというこの日本独特の言い回しの風習は美徳とも捉えていたが、それが今の日本では様々なひずみや弊害を生んでいるような気がする。 政府の曖昧な自己責任回避、色んなことを曖昧にぼかしてしまっていることにも、それを「仕方ない」で諦めたりする自分を含めた国民にも危機感を覚えた。 実はコロナウイルスのパンデミックでは色んなお国事情や考え方が垣間見えたはずなのだ。 ニュースを見たり新聞も読んでいたが、与えられる情報をただ飲み込むだけで、考えたり疑問を持ったりしていなかった自分に気付かされた。
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●「弁証力」というヨーロッパの教養 ●言葉の力は「熟考」がもたらす →日本人には演説が得意なリーダーが少ない。それは、西洋式の民主主義が日本に根付いていない、かつ根付きにくいことに原因があるのではないか。そもそも「和」「空気を読む」ことを重視してきた日本社会においては、言葉を通じて人を動かす必要性も習慣もない。各々が社会の中で学んで、集団を形成してきた経緯もあるため、なかなかリーダーが言葉で示し、煽動していくという形が作りづらい文化なのではないか。 ●ローマ帝国を滅ぼした疫病の記憶 ●古代ローマ史並みの、家族のドラマ →イタリアでは感染症の歴史を教育の中で学んでいくが、日本は「形で見える崩壊でなければ史実として残らない」ため、地震や災害と違いパンデミックについて学ぶ機会はあまりない。歴史の中で生き残ってきた経験や、史実をしっかりと学んできた賢者たちは「またか」というスタンスで乗り越えていくことができる。 ●「弁証」と「謙虚」の理想像 ●弁証力を育む学びのシステム →民主主義を成立させるためには、参加する国民一人一人が自ら考え、それを言語化する必要がある。利他的で謙虚な人でも、自分の考えを言語化することを求められる。「自らが発した言葉をしっかり反芻し、時には反感や顰蹙を買っても、それを客観的に省みるゆとりをもつ。」 ●「自家発電」のススメ ●なぜ日本人の内なる"広辞苑"は薄いのか →読書や映画鑑賞によって言論のキャパシティを広くし、言語力を豊かにしていかなければ、流言飛語や第三者の言葉にたやすく右往左往させられてしまう。戦時下の日本やナチズム、ファシズムがそうであったように、自分の頭で物事を考えられない国民が構成する社会の行末は、破滅であろう。 ●人生は思い通りにならない →どんな思いがけない展開も、人生を豊かにしてくれる。 ●西洋化の歪み ●SNS上に見る凶暴な言葉の刃 ●異質な人を排除する脆弱性 ●「失敗したくない」という病 ●戒律としての世間体 →明治維新、文明開化後に急速に西洋化が進んでしまった結果、「誰でも自由に思ったことを発言するのがデモクラシー」という西洋式の習慣が推奨されるようになってしまった。しかし、日本人の根本にある精神性は変わらない。西洋式民主主義は、果たして日本人に根付くのだろうか。 ●日本を見る、日本人を知る ●「いないように生きていきたい」 →「日本はもしかすると、成熟すること自体に興味がない国なのかもしれない」「無邪気で天真爛漫で、時々背伸びを楽しみたいだけの国なのかもしれない」「しかし、主張したり、反論されたり、疑念を抱いたり、といった様々な仕様のコミュニケーションを重ねていかなければ、人として、社会として、また民主主義として成熟はしていかない」 新型コロナウイルスの蔓延により、あらゆる価値観や体制が変化した。この停滞期を機に様々なことに思いを馳せ、タイトルの通り「たちどまって考える」ことが、この不確実な時代を生き抜いていく上で大切なのかもしれない。
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大好きなヤマザキマリさん♡ カッコいい! ますます好きになりました。 紹介されていた映画や本、ヤマザキさんの視点を踏まえて、もう一度観たり読んだりしてみようと思います。
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ヤマザキマリは、漫画家でテルマエ・ロマエを書いた。17歳から単身イタリアで留学し画家修行など経てシングルマザーとなり、イタリア人夫と結婚してアメリカ滞在などあり、現在はイタリア在住。 そんな彼女が、コロナ禍パンデミックに仕事の関係で、イタリアの家族と日本で離れ、一人、部屋に足留...
ヤマザキマリは、漫画家でテルマエ・ロマエを書いた。17歳から単身イタリアで留学し画家修行など経てシングルマザーとなり、イタリア人夫と結婚してアメリカ滞在などあり、現在はイタリア在住。 そんな彼女が、コロナ禍パンデミックに仕事の関係で、イタリアの家族と日本で離れ、一人、部屋に足留めされた期間に書いたエッセイ。 永い海外生活を振り返ったり、各国のコロナ対策の思うところ批判など、日本人の特徴をざっくばらんに解説してくれて、痛いとこつくなーっと身に染みた。
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ヤマザキマリ1967年東京生まれ。本を何冊も出している売れっ子の漫画家であり文筆家である。 著作を読んだことがなかったので、たまたま目についた本書を読んでみた。 コロナ禍に書かれて出版された本で主に日本とイタリアを比較した内容に思う。 イタリア人のコロナに対しての考え方のあたりま...
ヤマザキマリ1967年東京生まれ。本を何冊も出している売れっ子の漫画家であり文筆家である。 著作を読んだことがなかったので、たまたま目についた本書を読んでみた。 コロナ禍に書かれて出版された本で主に日本とイタリアを比較した内容に思う。 イタリア人のコロナに対しての考え方のあたりまでは興味深く読めた。ヨーロッパでの対応など。 段々と読むのがきつくなってきたのは、やはり海外ぐらしが長い筆者の物言いが、何だか偉そうに感じられたから。日本にだっていいとこあるよ! コロナ禍でイタリアに帰れなくて、ストレスがたまってたんだな〜なんて思ってしまった。
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