娘を呑んだ道 の商品レビュー
スェーデン北部の村で起こった失踪事件。娘を失った父親が執念の捜索を続ける。森や湖の美しい描写、人間心理への深い探究と、残酷な犯罪、、、スェーデンミステリーの読み応えある一冊。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
あらすじ スウェーデン北部。湖と森がある田舎町。3年前17歳のリナは行方不明になる。バス停まで送った高校教師父親レレは未だに探し続けながら、荒れた生活を送っている。 十代の少女メイヤは男から男へと渡り歩く母親が、新しい男性と住むためこの地にやってきた。そのうち、カールヨハンという恋人の実家に住む。この一家は独特の考えをもっていた。スマートフォンは持たず、世界を滅ぼすという考えた。そのため家には武器やシェルターがあった。 自然の描写が美しい。スウェーデンミステリーの中でも、北部を舞台にしたものは珍しいそうだ。森や湖畔、ボロボロでも山小屋のような家は読んでるだけでうっとりする。どこまでも続く国道95号線、シルヴァーロードも雰囲気がある。ミステリー自体も面白く、途中までは、打ちのめされた父親レレと、メイヤが特に接点もなく描かれる。第2部から話がバチっとはまってきて、さすが「ガラスの鍵」賞受賞作品だなーと楽しんだ。
Posted by
犯人に意外性がなかったような気はしたが、全体を通して読みやすく楽しめた。 北欧の作品らしい森の描写が良かった。
Posted by
悲劇的な結末には違いない。しかし、ここで思ったのは「再生」の道は人それぞれだ、ということだ。積極的に新たな道を歩みだすことで悲しみから立ち直ろうとする者、永遠に続くかと思われる程、果てしなく苦しむ者、笑顔で日常を続けながら奥底に葛藤を秘める者、悲しみ苦しむ者を時に遠くに、時に叱咤...
悲劇的な結末には違いない。しかし、ここで思ったのは「再生」の道は人それぞれだ、ということだ。積極的に新たな道を歩みだすことで悲しみから立ち直ろうとする者、永遠に続くかと思われる程、果てしなく苦しむ者、笑顔で日常を続けながら奥底に葛藤を秘める者、悲しみ苦しむ者を時に遠くに、時に叱咤して見守り導く者、、、。それぞれのペースでそれぞれの方法で再び生きる力を取り戻せば、それはそれでいいのだと、力を取り戻す事に正解の方法や時間はないのだと思う。。個人的に北欧の作家と作品が好きだ。癒しの自然ではなく、人を寄せ付けない厳しさがあり、同時にその美しさを描きながら、それが登場人物の心情に重なり重厚さがありながらも透明感を持つからだ。特にそれは「孤独」を描く時に顕著になると思う。悲壮感よりも、一貫して厳しく美しく、それでいて透き通るような孤独の表現に共感を覚えるのが、北欧の作品の好きなところだ。この作品にもそれが現れていて印象的だった。
Posted by
そんなことじゃないかと思いましたよ。サクサク読めましたが、北欧ものにしてはちょーーっとストーリーが浅めかなあ。メイヤがクレバーで印象的でした。親や住む環境がどうでも、まっすぐ伸びる子は伸びるんですね。
Posted by
原題は「銀の道」と言うらしいが、原題の方がしっくりきた。兎に角暗くて寒々しく、始めは読み進める事が罰みたいな気分だったが、主人公レレの狂気に近い娘への想いや居場所のないメイヤの気持ちが手に取る様に描かれていて切なかった。
Posted by
三年前に行方不明になった娘を探す父親レレと自分の居場所を見つけようとする少女メイヤ。毎日娘がいなくなった場所に訪れること、そういうひとつひとつが積み重なって喪失感がどんどん増していく。メイヤは恋によって周りが見えなくなる。そこから動き出していくのだけれど、心理描写の濃密さと自然の...
三年前に行方不明になった娘を探す父親レレと自分の居場所を見つけようとする少女メイヤ。毎日娘がいなくなった場所に訪れること、そういうひとつひとつが積み重なって喪失感がどんどん増していく。メイヤは恋によって周りが見えなくなる。そこから動き出していくのだけれど、心理描写の濃密さと自然の、風景の描写がとても美しくて印象に残る。次作もとても楽しみな作家さんがまた登場したことが嬉しい。
Posted by
冬の夜に読むのは辛いだろう。 スウェーデンの北の深い森の中を進むのだ。 原題は、 Silvervägen 銀の道という。 国道95号線、銀の採掘のためにつくられた道だが、採掘場が閉鎖されるとともに、放置された悪路となってしまった。 それでも、住民のための生活路ではある。 バス...
冬の夜に読むのは辛いだろう。 スウェーデンの北の深い森の中を進むのだ。 原題は、 Silvervägen 銀の道という。 国道95号線、銀の採掘のためにつくられた道だが、採掘場が閉鎖されるとともに、放置された悪路となってしまった。 それでも、住民のための生活路ではある。 バスも通る。 そのバスの待合所で、3年前、娘が消えた。 誰も見た者はいない。 なにかを聞いた人もいない。 知る人もいない。よって、 『娘を呑んだ道』 レレ(レナート)は、以来、狂ったように娘を探している。 まともな生活――飲食、睡眠、洗顔などもおぼつかない。 会う人すべて、目にしたこと、耳にした噂、なにもかもすべて疑わしい。 リナ、リナ、リナ! 娘を探し出すことしか頭にない。 そして、メイア。 母と二人で、この北の土地にやってきた少女である。 母はまっとうな生活をするには不向きな質で、今までの生活も普通ではなかった。 初めてやってきたこの土地でも、先の見通しの予想はつく。 レレと、メイア。 二人の様子が交互に描かれるのだが、とにかく、明るさがない。 話のはじまりは、実は初夏なのだ。 夏至のあたりの、一日中昼のように明るい時季のことである。 しかし、レレもメイアも暗澹たる世界にいて、読んでいるこちらも次第に重く沈んでいくしかない。 冬の夜に読むのはすすめない。 けれども、共に沈んでいくには、いっそおすすめかもしれない。 電車で読むのは薦めない。 きっと、乗り過ごすだろうから。
Posted by
家族の失踪なんて、辛い事この上無いのに、更に子供であったら、苦しい事は、計り知れない! 多数の不明者が、出ている世の中に、あってこのストーリーは、身近とも言える! 最後に、娘のような存在が、在ることに、少しだけほっとした!
Posted by
- 1