夜の声を聴く の商品レビュー
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この作品も善悪で単純に語れない人間の複雑な内面の襞に胸が震える。 心に苦しみを抱えた隆太は入学した定時制高校で気さくで明るい人柄の大吾に出会い、彼が住み込みで働くリサイクルショップ「月世界」に出入りすることに…。外からの刺激に少しづつ動いていく隆太の気持ち。すっかり定時制高校の青春小説のノリの前半が、後半は過去の一家殺人事件の解決に迫っていくミステリーに一転して「月世界」を通じて広がった人々の関係性がスルスルと繋がっていく様が素晴らしい。 長いトンネルの旅が終わって静かにそれぞれの居場所に散る余韻もよかった。
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発売当初から気にはなっていたんだけど、年末のランキング発表の中でもいろいろ目にして、やっぱり入手することに。読み始めの印象のみ、表紙のごとくホラー風味も感じられるんだけど、基本的には普通のミステリ。これはもちろん、出来が普通、という意味ではない。最初のうち、日常の謎系の部分には正...
発売当初から気にはなっていたんだけど、年末のランキング発表の中でもいろいろ目にして、やっぱり入手することに。読み始めの印象のみ、表紙のごとくホラー風味も感じられるんだけど、基本的には普通のミステリ。これはもちろん、出来が普通、という意味ではない。最初のうち、日常の謎系の部分には正直あまり惹かれなかったんだけど、それは後半の本当の謎に至るまでの前フリ。核心に迫る展開はさすがのクォリティで、順次明かされていく各キャラの真相に、いちいち感銘を受けました。
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便利屋「月世界」に依頼された数々の難題。 一見何の関係性もない出来事が徐々に繋がっていく。 バラバラに散らばったパズルのピースが次々に揃い、スッキリした爽快感を味わった。 世の中に絶望し引きこもりとなった青年が、入学した定時制高校で出逢った貴重な経験はその後の彼の道標となる。 人と人との縁…楽しいことも辛く悲しいことも、全てひっくるめて糧にして前進することの素晴らしさ。 膝を抱えもがき苦しんだ夜の底から見事に這い上がった姿が眩しく清々しい。 宇佐美さん初読み。 噂と違いそんなに怖くなくてほっとした。
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手首を切った女性の出会いから始まり、それに導かれるように定時制の高校へ。そこで大吾と出会い、彼がアルバイトする何でも屋「月世界」と出会う。最初はとりとめなく、どこか中二病的に展開する感じが馴染めなかったけれど、大吾が一家殺人事件の生き残りであり、月世界の主人が被害者と疑われ自殺し...
手首を切った女性の出会いから始まり、それに導かれるように定時制の高校へ。そこで大吾と出会い、彼がアルバイトする何でも屋「月世界」と出会う。最初はとりとめなく、どこか中二病的に展開する感じが馴染めなかったけれど、大吾が一家殺人事件の生き残りであり、月世界の主人が被害者と疑われ自殺した男の母であることがわかってからは、すべてのエピソードが一気に絡み合い、ひとつひとつ腑に落ちていく凄まじい展開。面白かったです!
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死に対するオーラがハンパない。登場人物を詳細に描く割に、犯人が意外なとこから判明したりと、書き込む比率がチグハグな感じ。やたらに長く思ったのは冗長な部分が多かったのか。作者特有の似た様な作品。
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登場する人物たちがいい意味で想像することができて、 だんだん身近に感じるようになっていった。 しかし主人公の「親友」とリサイクルショップのお婆さんの関係が、どうしてもそこまでショックなものに思えず… 主人公が悩めば悩むほど冷めてしまった。 でもいろいろな相談を解決する過程は楽...
登場する人物たちがいい意味で想像することができて、 だんだん身近に感じるようになっていった。 しかし主人公の「親友」とリサイクルショップのお婆さんの関係が、どうしてもそこまでショックなものに思えず… 主人公が悩めば悩むほど冷めてしまった。 でもいろいろな相談を解決する過程は楽しくて、 もっといろいろな話を読みたいな、とは思った。
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いろんな要素がぽつぽつ出てきて、 それが一つずつ繋がって、 最後に落ち着きました。 様々な生死感があって、 同じものを共有することの難しさを感じました。 ただ、誰もが死を想像することで、 生きることができるんだなと思いました。
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学校に馴染めず中2で引きこもりとなった隆太は、公園で目の前で手首を切った女性に引き寄せられるように、彼女が通う定時制高校に入学した。隆太が所属する「浅見クラス」にいたのは、様々な事情を抱えた同級生たちだった。やがて、同級生の大吾が住み込みで働くリサイクルショップ兼便利屋「月世界」...
学校に馴染めず中2で引きこもりとなった隆太は、公園で目の前で手首を切った女性に引き寄せられるように、彼女が通う定時制高校に入学した。隆太が所属する「浅見クラス」にいたのは、様々な事情を抱えた同級生たちだった。やがて、同級生の大吾が住み込みで働くリサイクルショップ兼便利屋「月世界」を手伝うことになった隆太は、店に持ち込まれる厄介な相談事を解決していく。 些細な不思議と疑問に端を発して、いつしか11年前に起こった一家殺人事件へと踏み込んでいく。それは、隆太の人生をも変える道だった・・・・・・。 「月世界」に持ち込まれる奇妙な相談事を生き物の習性に着目して解決する前半は、さながら「探偵ガリレオ」のようで、これならなにも長編じゃなくても連作短編の方がすっきりするのになぁ~などと思いながら読み進める。 だけど、謎が次の謎に連なり、隆太が、大吾が、ショップの社長・タカエが抱える闇が明らかになるにつれ、長編でしか語れない壮大な物語が見えてくる。 全ての要素が収まる所に収まり、殺人事件の真相も明らかになり、隆太と大吾をはじめとする浅見クラスの生徒たちの今が描かれるラストは、爽やかでじんわりと涙も・・・。 ミステリでもあり、少年たちの成長物語でもあり、社会派の要素もありとさすが宇佐美さんといえる充実の物語でした。 文庫本書き下ろしっていうから、失礼ながら期待してなかったのですが、読んでよかった! でもなんで、いきなり文庫本なのかな~モッタイナイ
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カバーを隠してどんな内容の本か先入観持たずに読み始めた。 最初は自殺願望のある者同士のライトノベルかと思い、なかなか読み進まなかったのだが、途中から、あれ?これは少年探偵団の推理ものか?と。 しかし色々な伏線が明らかになるにつれ、物語はそれはそれはもう壮絶なものに。 『罪の声...
カバーを隠してどんな内容の本か先入観持たずに読み始めた。 最初は自殺願望のある者同士のライトノベルかと思い、なかなか読み進まなかったのだが、途中から、あれ?これは少年探偵団の推理ものか?と。 しかし色々な伏線が明らかになるにつれ、物語はそれはそれはもう壮絶なものに。 『罪の声』を思わす壮絶さに。 でもあれとは違い救いがありよかった。
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「愚者の毒」と同じ作者だったので。 もともと、できる限り事前の情報が無い状態で本を読みはじめる。 読み始めるように、している。 電車の中の煽るような広告や、 口の上手い落語家の書評に痛い目にあったせいもあるし、 シリーズものを愛する反動なのかもしれない。 とくにこの作者は、 ミステリーなのか、ホラーなのか、ファンタジーなのか、 どこに進むのかわからないピンボールを見守るどきどきがある。 今回は、突き落とされたり、穴に落ちたり感はなかった。 リストカッターの女性に出逢ったことで、 ひきこもりから定時制高校生になった主人公。 同級生が住み込んでいるリサイクルショップにも通うようになる。 飛び降り事故の謎、狸の謎、リサイクルショップの謎。 謎が解けた時、親友となっていた同級生は旅立った。 人が成長していく過程は美しい。 つぼみが開いて、花開くごとく。 読み終わって、映画の「Stand by Me」を思い浮かべたのは 私だけではないはず。 いつもより、優しくて甘い「お話」だった。
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