一億円のさようなら の商品レビュー
長い小説だった… 描写はとても丁寧で頭に浮かぶが、果たして必要なものがどれほどあったのか。 46億円とはいったいなんだったのか、男の生き様とは、邪悪な人間とはなんだったのか、、、 もっと伏線回収があってもよかったかも。 金沢に住んでたことのある自分は個人的に楽しめたが。
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ミステリーかと思って読み始めたら違いました。約700ページもある大作ですが、最後まで読めました。 印象に残ったところ。夏代との夫婦関係は、二人の子供を育て上げた時点で役割を果たし切っていた。子育てを終えた夫婦が死別のときまで共に暮らす理由には、もちろん慣れ親...
ミステリーかと思って読み始めたら違いました。約700ページもある大作ですが、最後まで読めました。 印象に残ったところ。夏代との夫婦関係は、二人の子供を育て上げた時点で役割を果たし切っていた。子育てを終えた夫婦が死別のときまで共に暮らす理由には、もちろん慣れ親しんだ繋がりを失いたくないという願いも強く作用されるだろうが、片方で、経済的な事情や敢えて別れるまでもないという〝面倒くささ 〟も大いに関与していると思われる。 自分たち夫婦の場合は、夫の側に新天地で始めた順調な事業があり、妻の側には娘や息子との深い絆と莫大な財産がある。 そうとなれば「子どもたちの独立」という明確な区切りをもって互いが別々の人生へと乗り出していくのは、考えてみるに決して不自然でも不合理でもないのではなかろうか? フィナーレが映画の1シーンのようでした。
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以前聞いた、出版社の編集者の話によると 少年マンガの主人公は「こんなヤツになりたい!」 読者が見上げるような立ち位置のキャラが多かったそうだ 青年マンガの主人公は「こいつは、俺だ」 読者に共感を覚えさせるような親近感のあるキャラ その喩えでいうと、この小説の主人公は 「中年男性...
以前聞いた、出版社の編集者の話によると 少年マンガの主人公は「こんなヤツになりたい!」 読者が見上げるような立ち位置のキャラが多かったそうだ 青年マンガの主人公は「こいつは、俺だ」 読者に共感を覚えさせるような親近感のあるキャラ その喩えでいうと、この小説の主人公は 「中年男性の憧れと親近感を一手に引き受けるキャラ」に設定されてる気がする ブースターや燃料タンクを切り離して成層圏を飛び出した宇宙ロケットみたいに、家族や仕事から離脱出来たらどんな人生が開けるのだろうか という、ある種のファンタジーを満足させるような、そんなお話 あと個人的な感想として、食べ物の描写がやたら美味そうな小説でした。石川県行ってみたくなります。
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作者の気合が帯に現れていたけれど、ほんとうに面白い。ストーリーも設定もたぶんかなり細かく設定されていて、ふとした伏線が後半にあ、という感じで出てきたりして、もう一度読み返したくなる。 インフルエンザ罹患を感じたある日、主人公鉄平の人生は一変する。 妻、夏代の大きな秘密と、それを...
作者の気合が帯に現れていたけれど、ほんとうに面白い。ストーリーも設定もたぶんかなり細かく設定されていて、ふとした伏線が後半にあ、という感じで出てきたりして、もう一度読み返したくなる。 インフルエンザ罹患を感じたある日、主人公鉄平の人生は一変する。 妻、夏代の大きな秘密と、それを自分が20年以上も隠されていたという事実に鉄平は怒り、そしてそれをきっかけに子供たち、会社にも暗雲が立ち込める。芋づる式に明かされる事実に愕然としつつ対処しながら、冷静な自分の一面にも改めて触れ、逃げるように家を出るが… リアルな描写で主人公の行動や心情に共感しやすくい。登場人物が少しずつダークさや弱さを抱えているのを、削ぎ落とされた文章とエピソードで語られるので、そこも読みどころだと思う。削ぎ落とされすぎていて、掴みづらい部分は他の方のレビューにもあるとおりだが、何度か読み返してもやはり面白いのは、緻密な文章構成の為せる技かなと思った。
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家族としての自分の人生、会社員としての自分の人生、そして自分自身の人生を考える話でした。 信用は愛情よりもきっと大切で、だからといって自分を幸せにするのは自分という根底は大事だなぁと。 家族を持って、自分も幸せに、家族も幸せにというのは本当に困難な事なんだと思う。
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悪人についての表現に冴えが見られた。さまざまな人間をみてきて、悪人というかワルというかには、常々考えさせられてきたから。
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ドリフのコントに『もしも…◯◯な××があったなら…』のコントがあった。これを本書に置き換えれば、『もしも長年連れ添った妻が莫大な隠し資産を持ってたなら…』になる。 常に現実的な小説を紡ぐ白石一文が描く〈大金が転がり込んでくるユーモア小説〉?…と勘繰るも、ですよね…、んな訳なく、...
ドリフのコントに『もしも…◯◯な××があったなら…』のコントがあった。これを本書に置き換えれば、『もしも長年連れ添った妻が莫大な隠し資産を持ってたなら…』になる。 常に現実的な小説を紡ぐ白石一文が描く〈大金が転がり込んでくるユーモア小説〉?…と勘繰るも、ですよね…、んな訳なく、やはりいたって現実的な状況下に起こる起伏激しいスリリングな展開ゆえ、先の予測が見えないままに600ページ超を一気読み。 ◉さわり… 主人公 加能鉄平(53歳)は福岡市にある祖父が創業した化学製品メーカーの営業本部長。本部長とはいえ、名ばかりの閑職。同族企業にありがちな親族に疎まれ、役員になり損ね閑職に。最初に務めた会社でも、理不尽なリストラの憂き目に遭い、今やその現状を粛々と受け入れ、サラリーマン人生を歩む毎日。ふたりの子どもは他県に進学し、現在はパート勤めの4歳下の妻とのふたり暮らし。妻との関係も良好。このまま定年まで平穏で平凡な毎日が続くと思われたある日、たまたま在宅していた際、弁護士事務所から1本の電話…。 30年前、伯母から莫大な遺産を相続し、手付かずでそのまま銀行にあることを知らされる。その遺産の一部は投資にも回され運用益を含め総額は何と48億円!その衝撃の事実に驚愕すると同時に抑え難い怒りが湧き起こる。 結婚して20年余り、その間には、親の入院費用・子どもふたりの学費・自身のリストラ時の危機…まとまった金が必要だった時は何度もあった。側にいて妻はその苦しい現状を熟知しておきながら、なぜ捻出しようとしなかったのか、そもそも夫である自分になぜ隠し続けたのか…。 衝撃の電話受けて以来、悶々とする日々。日常が静かに狂い始める。ある日、妻に問いただすと意外なことを口にする。それ以降、妻への強い不信感が募る一方。方や子どもたちも学業そっちのけで勝手気ままに謳歌している…。もう誰も信じられない。鉄平はある決断を下す。 ◉短評… さわりだけで判断すれば、シニア夫婦を取り巻く家庭小説。ただそれなら、これほどの大部な小説にはならない。 自分ではなく身内ではあるが、〈突然大金が手に入ったら?〉誰しもが一度や二度妄想をしたことが現実となった五十男。はたしてどう生きていくのか?信頼を無くした妻への愛情は?子どもに対する役目は?揺れ動く主人公の心中を著者は炙り出し、折々に呟く吐露は身につまされる。『夫婦は恋人同士とは違うんだ。愛情で関係を支え合うだけじゃなく、信頼で支え合わなくちゃいけない。そうでなきゃ何十年も一緒にいられない。夫婦は愛し合う以上に信じ合う必要があると僕は思う』。 本書には様々な人物が登場する。それぞれの物語を持ち寄り、それらが複合的に絡み合って発熱し、新しい価値を提供してくれる極めて濃い内容ゆえ、その話だけでも1編の小説が書けるほどの『総合小説』の威容をたたえている。 家族小説・企業小説・起業小説・シニア小説に加え、博多・金沢の観光&グルメガイドにも使える情報がふんだんに盛り込まれており、細部に至るまでの情景描写と著者のサービス精神にニンマリしてしまった。 『老後2,000万円問題』がひところ話題になった。老後30年間には年金の他に2,000万円が必要説。そんなことも頭をよぎりつつ読み終えた。 はたして、タイトルの『1億円のさようなら』とは何を意味しているのか?読み始める前にまずストーリー展開を想像をされてから、読まれるのをオススメします。秋の夜長のノンストップ読書必至の一冊。
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700ページ近い長編 だけど最初から最後まで夏代は夏代らしいと思った あまりにも巨額過ぎてもしも自分なら…と想像すら出来ないけれど、 だからこそ夏代はお金に振り回されたりしないように 頑なに自分のお金ではないからと黙っていることを決めたのかな? 少し頑固で真っ直ぐで、 鉄平を...
700ページ近い長編 だけど最初から最後まで夏代は夏代らしいと思った あまりにも巨額過ぎてもしも自分なら…と想像すら出来ないけれど、 だからこそ夏代はお金に振り回されたりしないように 頑なに自分のお金ではないからと黙っていることを決めたのかな? 少し頑固で真っ直ぐで、 鉄平をずっと信じて鉄平のために… ドラマも観たのでちょっと、ごちゃ混ぜになってしまっているけれど 夏代がとても可愛らしいと思った 反面、強く家庭において妻としてすごく理想的だと思った 私的に、すごく夏代が印象的なお話でした
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分厚い本だけど、次から次に色々な事が起こり飽きずに夢中で読んだ! お金で人生は変わる。確実に。 良いようにも悪いようにも。 でもやっぱり宝くじを買ってしまう。
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なにやら複雑な人間模様が描かれているに違いないと思わせる表紙に惹かれて。 人生で誰もが避けて通れない、家族、仕事の人間関係と悩み。 そこに一億円が加わることで、今まで蓋をしていた心の奥の引っかかりがどんどん大きくなっていく。 「人間同士もたれ合って生きているといつのまにか必...
なにやら複雑な人間模様が描かれているに違いないと思わせる表紙に惹かれて。 人生で誰もが避けて通れない、家族、仕事の人間関係と悩み。 そこに一億円が加わることで、今まで蓋をしていた心の奥の引っかかりがどんどん大きくなっていく。 「人間同士もたれ合って生きているといつのまにか必要以上に臆病になってしまう」 「"一人では生きられない"という生物としての致命的な不完全さが、人間に無用な恐怖を植え付け、不要な闘争へと駆り立てる」 お金で得られる幸せと、得られない幸せ。 主人公を自分に置き換えながら読み進めると、いろいろと考えさせられる良作。
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