獄中シェイクスピア劇団 の商品レビュー
シェークスピア「テンペスト」、名前は知ってたが今まであまり内容を知らなかった。本書は見事にプロットを利用して、ぐんぐん読ませる。 現在のカナダが舞台だが、ユーモア、シニカル、言葉遊び多く英国文学っぽい。 演技指導中の罵詈雑言は、劇中で出てくる言葉しか使えないと言われた獄中の生徒...
シェークスピア「テンペスト」、名前は知ってたが今まであまり内容を知らなかった。本書は見事にプロットを利用して、ぐんぐん読ませる。 現在のカナダが舞台だが、ユーモア、シニカル、言葉遊び多く英国文学っぽい。 演技指導中の罵詈雑言は、劇中で出てくる言葉しか使えないと言われた獄中の生徒が生き生きと使い倒す。特に「ててなし級にフルボッコ」や「赤死病でくたばれ」「毒吐くならず者」、今これ言われたら古風ですてきだ。 後半の獄中生徒による登場人物解読が秀逸。 ああー、面白かった!登場人物すべて人間味があってヨカッタ。特にアン=マリー・グリーンランドがいい仕事してたな!
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元々テンペストは本で、活字で読むものでなく劇でみるべきだよな、、(リア王とかは本でも面白いけど) それが急に長くなって現代版しかも舞台は刑務所、、正直、あまり面白みを感じられなかった。(そこまでシェイクスピアファンでないからかもしれません、、)
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『テンペスト』を土台に、刑務所での演劇クラスの様子をユーモラスに描きながら、かつて劇団で部下に追い落とされた主人公が復讐を果たす物語。 ストーリーそのものは楽しくトントンと運ぶんだけど、かつて妻と娘を病気で亡くし、部下の陰謀で仕事も失った主人公フェリックスの心のトラウマは、単に...
『テンペスト』を土台に、刑務所での演劇クラスの様子をユーモラスに描きながら、かつて劇団で部下に追い落とされた主人公が復讐を果たす物語。 ストーリーそのものは楽しくトントンと運ぶんだけど、かつて妻と娘を病気で亡くし、部下の陰謀で仕事も失った主人公フェリックスの心のトラウマは、単に復讐を果たしただけで消えるものではなく、そのあと生徒(囚人)たちと、劇の解釈を語り合うことによって、少しずつほぐれていき、復讐とともに赦しが果たされるところがいいなと思った。
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『侍女の物語』でアトウッドの作品を知った。他のアトウッド作品と比べるとコメディの色合いが大きい本作だが、読み終えてみると、重厚な仕掛けに嘆息する。二重三重に重なった「テンペスト」がストーリーを作り上げている。原作でプロスペローが観客に乞うた自由を、本作は最後にプロスペローがミラン...
『侍女の物語』でアトウッドの作品を知った。他のアトウッド作品と比べるとコメディの色合いが大きい本作だが、読み終えてみると、重厚な仕掛けに嘆息する。二重三重に重なった「テンペスト」がストーリーを作り上げている。原作でプロスペローが観客に乞うた自由を、本作は最後にプロスペローがミランダを与えている。このラストもよい。
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〈テンペスト〉を演じる人物たちを描きながら、物語自体も〈テンペスト〉をなぞっている、という二重構造で、その仕掛け自体が面白くもあり難しくもあった。3歳で亡くなった娘を主人公の空想の中で成長させていたり、人格が役に引っ張られる感覚を主観的に描いているところもユニークだ。 個人的には、それぞれの心理描写をもう少しわかりやすく描いてくれたら...とも思ったが、終演後に役者たちが語り合う場面でやっと劇を客観的に見られるような感覚も得られて、目が覚めるような思いがした。 なんだかわけがわからないうちにハッピーエンディングへ。 まさに演劇、ミュージカル。むずかしく、面白かった。 ただやっぱり私にはわからないところもあったので評価は☆3で(笑) それもこれもアトウッドの手のひらの上なのかも。
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シェイクスピアの最後の作品である「テンペスト」を下敷きにした「語りなおしシェイクスピアシリーズ」.その第一弾の作者はマーガレット・アトウッド.これが面白くないはずがない. 実務を任せていた右腕に裏切られて全てを失った舞台演出家が復讐を果たす話なのだが,12年の雌伏の時を経て果たされる復讐はまさにテンペストのストーリーそのもの.刑務所で半ばボランティアのような形で開講される「文学を通じてリテラシーを」という講義に演劇を取り入れ,受刑者たちの人気を得,彼らの国語力の向上に関しても成果を上げつつあった頃に,偶然にも仇敵が訪問してくることになる.周到な準備を経て果たされる復讐劇・・・と,肩の力を抜いて楽しめるエンターテイメントで,主人公と受刑者の間で交わされるテンペストの解釈についての問答はテンペストの解説にもなっていて,なかなかお得な内容です.
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面白かった!テンペスト、読んでないし映像も観てないけど、古典て現代訳で読んだ方がわかりやすいな。古い言葉だとなんでその言葉?って思うことよくあるから。役者志望でもないのに他人の人生演じるのってどんなもんなんだろ。自分で考える、考えたことを否定されないって大事なことなのね。最後、復...
面白かった!テンペスト、読んでないし映像も観てないけど、古典て現代訳で読んだ方がわかりやすいな。古い言葉だとなんでその言葉?って思うことよくあるから。役者志望でもないのに他人の人生演じるのってどんなもんなんだろ。自分で考える、考えたことを否定されないって大事なことなのね。最後、復讐はやりすぎないし、次世代を育てようとするし、縛り付けた娘は解放するし、前向きでこれはとても素敵な終わり方。みんな幸せになるといいな。
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今まで読んだアトウッド作品の中では、1番、明るい話。ストーリー展開がポジティブなので、安心して楽しめる。原語で読めたら、きっともっと面白いんだろうなあと思いつつ、言葉遊び満載の翻訳し難いこの作品をこんなにも面白く仕上げてくれた鴻巣さんに感謝!!
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最愛の娘ミランダを失ったうえ、策略により名声も地位も奪われて、今やみすぼらしい小屋に暮らしながら刑務所内劇団に手ほどきをしている、まさにプロスペローのごときシェイクスピア演出家が、個性的な面々を率いて、刑務所に視察にやってくる憎き仇敵に復讐を仕掛ける。復讐と解放のドラマ『テンペス...
最愛の娘ミランダを失ったうえ、策略により名声も地位も奪われて、今やみすぼらしい小屋に暮らしながら刑務所内劇団に手ほどきをしている、まさにプロスペローのごときシェイクスピア演出家が、個性的な面々を率いて、刑務所に視察にやってくる憎き仇敵に復讐を仕掛ける。復讐と解放のドラマ『テンペスト』を二重に語りながら、複数の意味が折り重なるシェイクスピア作品の魅力をとっくりと説き明かしていく。まことに風格高き堂々とした「語り直し」だ。 おそらくは文学講師としてのアトウッドの経験がふんだんに反映されているのだろう。現代の人々の生活感覚からは遥かに隔たった古典を、受講生ひとりひとりの血肉に沿わせていく主人公=語り手の技法がすごい。『テンペスト』における複数の「牢獄」を発見させていったり(主人公自身も自らのつくりあげた牢獄を最後に解放することになる)、女性的な解釈がなされるエアリアルのキャラクターに別の側面を発見させていったり。しかも最終試験は、個々のキャラクターの分析にもとづいて「その後」を創作させるときた。みんなの回答もまたふるっている。アトウッド先生の文学講義が受けたくなってしまう読解教室のような創作なのだ。
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一番の魅力は、デューク先生(主人公フェリックス)の『シェイクスピア現代解釈講座』! 劇の「言葉遊び」や「セリフの現代解釈」はまるでラップのノリで、自然に頭の中でリズムが刻まれていた。 デューク先生の作品解説では「シェイクスピアにとって自身の戯曲が古典とは全く思っていない」とし...
一番の魅力は、デューク先生(主人公フェリックス)の『シェイクスピア現代解釈講座』! 劇の「言葉遊び」や「セリフの現代解釈」はまるでラップのノリで、自然に頭の中でリズムが刻まれていた。 デューク先生の作品解説では「シェイクスピアにとって自身の戯曲が古典とは全く思っていない」として、自由な発想のもとで演者自身の能力を引き上げている。 特に、講演後の最終課題で「演じた人物のその後」を発表し合う場面は、三か月の総仕上げとして演者自身の心に深く刻まれたに違いない(と、読者が感じてしまうことがすごい)。 もちろん、娘ミランダの幻影とともに生きるとも死ぬともされない主人公のフェリックスが、劇中の主人公プロスペローと同様に「復讐心」を力に「許し」を与えながらも、知らず知らずに自身の「再生」の道を手繰り寄せるくだりは、何だかほっとする場面である。 『テンペスト』はシェイクスピア最後の単独作で、終盤のプロスペローの「今日限りこの魔法の力を捨てよう」というセリフや「(エアリエルを)解き放つ」場面は、これまで「娯楽の奴隷」となって数多くの戯曲を書いたシェイクスピア自身の絶筆宣言ともいわれている。 すでに高名を得ているアトウッドが、そう意図していないことを願う。
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