獄中シェイクスピア劇団 の商品レビュー
『テンペスト』の演出に心血を注いでいた舞台芸術監督フェリックスは、ある日突然、部下トニーの裏切りにより職を奪われた。失意のどん底で復讐を誓った彼は、刑務所の更生プログラムの講師となり、服役中の個性的なメンバーに、シェイクスピア劇を指導することに。 12年後、ついに好機が到来する。...
『テンペスト』の演出に心血を注いでいた舞台芸術監督フェリックスは、ある日突然、部下トニーの裏切りにより職を奪われた。失意のどん底で復讐を誓った彼は、刑務所の更生プログラムの講師となり、服役中の個性的なメンバーに、シェイクスピア劇を指導することに。 12年後、ついに好機が到来する。大臣にまで出世したトニーら一行が、視察に来るというのだ。披露する演目はもちろん『テンペスト』。 シェイクスピアの『テンペスト』を現代風にアレンジした小説。映画も舞台も見たことも読んだこともないですが楽しめました。ベテラン演出家が契約を打ち切られ無職なって人生迷子になってしまう。そんなとき刑務所で更生プログラムとして演劇を教えることに。『天使にラブソングを』の刑務所版みたいな話だなぁと思いました。
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人生にはテンペスト(嵐)はつきもの。嵐でたどり着いた島という牢獄から脱出するには、「set me free」…観客のみなさんの助けが必要… 演じる囚人たちが役についての解釈をするのが、何ともすばらしい。海外の作家がシェイクスピアの作品を焼き直すという企画らしいのだが、日本人作家は...
人生にはテンペスト(嵐)はつきもの。嵐でたどり着いた島という牢獄から脱出するには、「set me free」…観客のみなさんの助けが必要… 演じる囚人たちが役についての解釈をするのが、何ともすばらしい。海外の作家がシェイクスピアの作品を焼き直すという企画らしいのだが、日本人作家は書かないんだろうか?
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妻も娘も亡くし、仕事も奪われた男が辿り着いたのは…獄中劇団!そこで復讐心に燃えながら、テンペストを公演する。主人公の境遇に同情しながらも、私は途中から獄中劇団に魅せられ、本番では手に汗握り、ドキドキし。復讐のことなど忘れていた。 どうしても難しいイメージのあるシェイクスピア。それ...
妻も娘も亡くし、仕事も奪われた男が辿り着いたのは…獄中劇団!そこで復讐心に燃えながら、テンペストを公演する。主人公の境遇に同情しながらも、私は途中から獄中劇団に魅せられ、本番では手に汗握り、ドキドキし。復讐のことなど忘れていた。 どうしても難しいイメージのあるシェイクスピア。それをこう読んでもいいとは!とっても……じゃなかった。 クッソ天才かよ!どちゃくそ最高!
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”Let your indulgence set me free."で終わる、『テンペスト』を読んだのは、学生の時でした。 プロスペローの魔法の放棄と赦しと、自由。ずっと、消化不良(理解できなかったまま、そのことも忘れていたけど)でしたが、「閉じ込められること」からの解放がちょっとだけわかるような気がした。主人公だけでなく、それぞれが解放されていくことに、解放されない人が残ることも。 ただ、忘れてはいけない。私の考える”自由”とシェイクスピアの語る”自由”は必ずしも同じ意味ではないこと、を。――何はともあれ、本棚に眠っているハズの、『テンペスト』を探してみよう。 「あとがき」にもあったけど、キャラクターの「その後の人生」は、考えさせられる。特に、キャラクターを細かく読み込んでレビューしている姿は、解説書。『テンペスト』の読み方講座ここにあり、かな? 最後に、娘のミランダが解放されて、ホッとしました。 できれば、もっと早く発刊されていれば、学生の時に読みたかった。
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シェイクスピアのすごいところは、設定を様々な解釈により大胆に換えても、その面白さを損なわないこと。しかし、古典の語りなおしを文章として表し、さらにそれを翻訳している、そして面白いというのはすごいこと。シェイクスピアは注釈が多くてそれが原因で難解になりがちなのだけれど、そこがとても...
シェイクスピアのすごいところは、設定を様々な解釈により大胆に換えても、その面白さを損なわないこと。しかし、古典の語りなおしを文章として表し、さらにそれを翻訳している、そして面白いというのはすごいこと。シェイクスピアは注釈が多くてそれが原因で難解になりがちなのだけれど、そこがとても上手くカバーされていた。ラスト、とても良かった。
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最初に思ったのは、主人公への同情。妻と娘を亡くして、仕事も部下に取られる。これ以上ないほどの絶望。その後精神を病んで、復讐に燃えるのも、仮想の娘と暮らすのも仕方ないと思う。だけど、主人公がちょっと変わってて、評判が落ちてたことも事実だったのかもしれない。ただ部下がやり手だっただけ。そう思うと復讐の仕方は間違ってるかなと思わなくもない。でも、それによって矯正所でシェイクスピアを作ることになるから、良かったのかなとも思う。矯正所で指導するときは、相手の意見もしっかり聞いて主人公自身も自制できるようになってたのを見て、彼自身も矯正されてるんだろうなって思った。あとはラストのチームごとで解釈を言い合うのが本当に面白い。芸術作品に答えなんてないし、本だって映画だって人それぞれの解釈がある。それを聞けるのが本当に楽しかった。大学の授業でもやりたい。
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もっと「アトウッドらしさ」を期待していたので、ちょっと肩すかしで物足りなかった。囚人達の演劇プログラムの監督として呼ばれた主人公。妻娘を亡くして病んでる、と言われている。病まない方がおかしいんだって。 まあ、読みやすく楽しい。普通の人が書いたらもっと退屈な題材になっていたと思う。...
もっと「アトウッドらしさ」を期待していたので、ちょっと肩すかしで物足りなかった。囚人達の演劇プログラムの監督として呼ばれた主人公。妻娘を亡くして病んでる、と言われている。病まない方がおかしいんだって。 まあ、読みやすく楽しい。普通の人が書いたらもっと退屈な題材になっていたと思う。が、特に思い入れは起きなかった。
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世界のベストセラー作家がシェイクスピアの名作をテーマとして語り直しシリーズの第1作。 『侍女の物語』、『請願』で生殖機能が国家によって管理されるディストピア世界を描いたマーガレット・アトウッドが選んだのは『テンペスト』である。しかし、この語り直しの世界が凄い。新たな『テンペスト...
世界のベストセラー作家がシェイクスピアの名作をテーマとして語り直しシリーズの第1作。 『侍女の物語』、『請願』で生殖機能が国家によって管理されるディストピア世界を描いたマーガレット・アトウッドが選んだのは『テンペスト』である。しかし、この語り直しの世界が凄い。新たな『テンペスト』は刑務所、つまり獄中の中で囚人たちによって演じられるのである。 政治闘争に負けて落ちぶれたベテランの演劇演出家を主人公、彼がある刑務所で行われている矯正プログラムの一貫としての演劇をプロデュースし、その演目として『テンペスト』を選ぶところから物語はスタートする。この矯正プログラムが注目を浴び、自身を陥れた政敵が刑務所を訪れて観劇することを知った主人公は、『テンペスト』の上演を通じて彼らに決死の復讐を挑む・・・という筋書きである。 演劇に参加するメンバーは窃盗、詐欺、会計不正など極めて多岐に渡っており、一癖も二癖もある人間ばかり。彼らをうまくリードしながら次第に『テンペスト』という演劇が完成していく過程は非常に楽しい。セリフもラップ風に韻を踏んだものになるなど、随所に面白おかしさが溢れている。 かつ、教育効果を高める一貫として、終演後のメンバーに対して、彼らが演じた登場人物の事後談を考えさせてレポートを出させるなど、『テンペスト』という古典を考え直すヒントもふんだんに描かれている。古典作品をテーマとした創作のお手本とも言えるような傑作。
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2020.11.29市立図書館 このところなにかと話題のマーガレット・アトウッド、私にとっての出会いの一冊はシェイクスピア語りなおしシリーズのこれになった。 刑務所の更生プログラムの一環としてシェイクスピアを上演するという物語の中に「テンペスト」がまるごと何重にも織り込まれた快作...
2020.11.29市立図書館 このところなにかと話題のマーガレット・アトウッド、私にとっての出会いの一冊はシェイクスピア語りなおしシリーズのこれになった。 刑務所の更生プログラムの一環としてシェイクスピアを上演するという物語の中に「テンペスト」がまるごと何重にも織り込まれた快作。主人公の人生を経糸に、演劇界や刑務所の裏話などを横糸、スパイスとして現代を写すアトウッド版「テンペスト」は演出家と役者・スタッフによる台本分析・研究から配役を決め稽古して上演に至るまで伴走し、さらに上演後の「登場人物その後」レポート発表会で参加者たちの得たものを共有できる趣向なので、演劇オタクでもそうじゃなくても、この芝居ひいてはシェイクスピアがよくわかるようになっておもしろい。さらに、この芝居が作られた当時も多分そうであったはずの現実世界への批評もしっかりもりこまれていて、シェイクスピア劇を見ながら両極化し分断が深まる「いま」をかんがえることができる。この入れ子のような牢獄から解放される日はくるのだろうか。このままシェイクスピア沼そしてアドウッド沼に引きずりこまれそう。 脳内上演が最善なのだろうけれど、いつか「天保十二年のシェイクスピア」(井上ひさし)のように実際に上演される日が来てほしいと期待している。今年であった双璧のシェイクスピアへのオマージュとして記憶に残ると思う。
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妻と幼い娘を亡くし深い悲しみの中にいた劇場の舞台監督フェリックス。その隙に、信頼していた部下トニーに監督の座を奪われ劇場を追われてしまう。復讐を胸に、刑務所の囚人へのプログラムの一環としてのシェイクスピア劇団で監督を務めて約10年が経った時、大臣となっていたトニーが刑務所の視察に...
妻と幼い娘を亡くし深い悲しみの中にいた劇場の舞台監督フェリックス。その隙に、信頼していた部下トニーに監督の座を奪われ劇場を追われてしまう。復讐を胸に、刑務所の囚人へのプログラムの一環としてのシェイクスピア劇団で監督を務めて約10年が経った時、大臣となっていたトニーが刑務所の視察に来ることに。フェリックスの復讐が始まった。囚人と共に立派に「テンペスト」を上演し、トニーの鼻を明かすのかと思ったら違って、フェリックスの策略により、もう1つのテンペストが繰り広げられる。でも、これって犯罪なんじゃ…?
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