環境を批評する の商品レビュー
都会の喧噪を離れ,少しでも静かなところへと旅に出る。雪道をトレッキングしてみると,動物の足跡や崩れかかった奇岩が目に入る。夜のうちに降った雪が,午前中の日光に照らされ,チラチラと輝きながら溶け落ちてくる。たまに聞こえる鳥の鳴き声に春の訪れを感じる。尾根から伸びる脇道は,中世の古道...
都会の喧噪を離れ,少しでも静かなところへと旅に出る。雪道をトレッキングしてみると,動物の足跡や崩れかかった奇岩が目に入る。夜のうちに降った雪が,午前中の日光に照らされ,チラチラと輝きながら溶け落ちてくる。たまに聞こえる鳥の鳴き声に春の訪れを感じる。尾根から伸びる脇道は,中世の古道で,狩猟採集に使用していたらしい。有名な俳人に詠まれた景色の良い池を過ぎると,小川が流れている。ブナ林が蓄えた栄養豊富なこの水が,大きな川となって集落の酒造りや海の恵みを支えていると思うと,水を通して自分と土地が繋がっていくような高揚感を覚えた。美しいと思った。 旅行に行くとき,五感で風景を感じ,その歴史的・地理的背景に想いを巡らせる経験をしたことはないでしょうか。このような「美的経験/批評」のメカニズムを,英米系環境美学の思想を読み解くことで解明したのがこの一冊です。本書では,環境美学者たちの思想を丁寧に振り返った上で,批評のメカニズムを説明するための問いとして,「鑑賞対象の選択」と「美的判断の規範性(客観性)」に焦点を当てて議論しています。つまり,「何を見るのか&どのようにして見るのか」,「それは他者にも共感可能なのか」をテーマに,「人がものを見て,快を感じるとはどういうことか?」という大きな問いを解明する試みといえるのです。 何気ない思考のはたらきがどのように起こるのか,自分は何に惹きつけられ,何を感じてきたのか,考え直すきっかけにしてみませんか。 (ラーニング・アドバイザー/人文 MASU) ▼筑波大学附属図書館の所蔵情報はこちら https://www.tulips.tsukuba.ac.jp/opac/volume/4092592
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