TOOls and WEAPONs の商品レビュー
本書は、マイクロソフト社でコンプライアンスを担当するブラッド・スミス氏と、同社で広報を担当するキャロル・アン・ブラウン氏による本です。技術は中立であって、それを良い目的に使うか悪しき目的に使うかは人間しだいなのですが、AIやSNSなどのデジタル技術についても同様で、利器(ツール)...
本書は、マイクロソフト社でコンプライアンスを担当するブラッド・スミス氏と、同社で広報を担当するキャロル・アン・ブラウン氏による本です。技術は中立であって、それを良い目的に使うか悪しき目的に使うかは人間しだいなのですが、AIやSNSなどのデジタル技術についても同様で、利器(ツール)になるか、武器(ウェポン)になるかは我々人間の取り組み次第だ、という話です。これだけなら当たり前ではあるのですが、本書ではマイクロソフト社が実際に体験した、あるいは巻き込まれた事案がかなり生々しく描かれているため、その点だけでも読む価値はあります。つまりマイクロソフトの作っている技術が「武器」として使われてしまった際の対処、あるいは「武器」として使われそうになった場面などが事例として紹介されています。 本書で著者が繰り返し述べていますが、マイクロソフトはかつて独禁法訴訟など世界の政府とやりあった経験がある。そしてそこから学んだ教訓は、デジタル技術が「適切に」規制されるよう、テクノロジー企業も積極的に関与すべきだということです。本書では19世紀の鉄道を例に挙げていますが、もともと(米国)州政府が規制していた鉄道事業が全米に展開するにつれて、ついに連邦政府が規制主体として権限を持つに至った。ITについてはこれまで国ごとに規制が行われていますが、今後はEUなどのように複数国家をまたがる機関、あるいは国際会議を通じて規制されるべきだということです。ただし政府の規制の在り方については鉄道時代とは異なる。具体的には、ソフトウェア業界のMVP(ミニマム・バイアブル・プロダクト)方式のように、最低限のプロダクツ(規制)をとにかく早く導入し、その後それを改善していくべきだという主張は興味深かったです。本書の著者が、テクノロジー企業の老舗であるマイクロソフトでコンプライアンスを担当している役員であること、またこれまでIT技術が利器にも武器にもなってしまった状況を現実に体験している人だということで、説得力と含蓄、そしてバランス感覚を本書から読み取りました。面白かったです。
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GAFAに対する風当たりや規制が強まる中で、どのような変遷をしているのか?が大枠で見ることができました。 海外はこの辺に対してかなり先を読みつつ対策をしている印象でした。
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- ネタバレ
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マイクロソフト役員であり、弁護士の著者。 前半は巨大であるがゆえにいろんな所からチャチャ(?)入れられるIT企業の 切った張った! のスピード感あるドキュメンタリー。 よくぞここまでオープンに出来たと思うほど、実名&社名が出てきます。課題解決の為に競合と連盟組んだり、歴史上の出来事に解決の糸口を見出したり。現代版ゲーム・オブ・スローンズ。 後半は、ホットなテクノロジーと社会との付き合い方を漏れなく無駄なく紹介&提案してます。 全般を通して、とてもポジティブで推進力のある内容です。どんなに大変でも絶対に悲観一辺倒にならない。 こういう方がいないと、AI監獄ウイグル みたいな世界になりかねない。ある意味社会のガーディアンです。
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MSで四半世紀という著者は法務の専門。プライバシーへの姿勢、オープンソース、オープンデータへの取り組みからAIと向き合うこれからのことなど、テクノロジーについて多様な角度から経験や見解が述べられていて読み応え満点でした。 未来を予測する事は難しく、変化から学び適応して行くことが、...
MSで四半世紀という著者は法務の専門。プライバシーへの姿勢、オープンソース、オープンデータへの取り組みからAIと向き合うこれからのことなど、テクノロジーについて多様な角度から経験や見解が述べられていて読み応え満点でした。 未来を予測する事は難しく、変化から学び適応して行くことが、どんな職業職種であれ、求められています。
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マイクロソフトの主観カメラではなく、IT業界全体における出来事が(なかなかドラマチックに)描かれていて、その中でマイクロソフトはどのように巻き込まれて、どう動いたか、という目線で展開される。テーマは、プライバシー、サイバーセキュリティ、雇用問題、AI倫理、等々。法律や政治が関わる...
マイクロソフトの主観カメラではなく、IT業界全体における出来事が(なかなかドラマチックに)描かれていて、その中でマイクロソフトはどのように巻き込まれて、どう動いたか、という目線で展開される。テーマは、プライバシー、サイバーセキュリティ、雇用問題、AI倫理、等々。法律や政治が関わるエピソードが多い。オバマやトランプに始まり、FBI、NSAなどの公的機関が頻繁に関与している辺り、企業の影響力の大きさを感じる。期待していたより、かなり面白かった。(Microsoft CEOサティアが企業文化改革について書いた『HIT REFRESH』より断然面白い) 第1章 - 米国NSAによる国民監視(PRISM)を暴露したスノーデンに関するエピソード。 第2章 - プライバシーの観点から、テロリストのメールは捜査機関に開示してよいのか?MSとして情報開示請求に対するプロセスを制定。 第3章 - CLOUD法成立。 第4章 - 北朝鮮によるWannaCryによる攻撃。そこで使われていたWindows XPの脆弱性をついた攻撃ツールははNSAによって開発されていた。ロシアによるNotPetyaも同じツールが使われていた。 第5章 - ロシアの情報機関GRUによる、米国選挙への関与。MS DCU(Digital Crime Unit/犯罪対策部門)による対応。 第6章 - ソーシャルメディアの影響。ロシア企業がソーシャルメディアを使ってハッキングを行い、米国大統領選挙でプロパガンダを流していた。 第7章 - デジタル版ジュネーブ諸条約の制定に向けて。 (ジュネーブ諸条約は戦時における文民の保護などが規定されている) 第8章 - GDPRとカルフォルニア州消費者プライバシー法 第9章 - デジタルデバイド問題 (田舎にブロードバンドが行き渡っていない) 第10章 - 人材。移民問題とIT教育問題と住宅問題 (シアトルを始め、テック企業が多い地域は地価が上がりすぎて、高給の人しか住めなくなる。Amazonの姿勢を批判する一面もあったり) 第11章 - AIが暴走することよりも現実的に懸念すべきことが倫理問題。特に顔認識AIと人種差別の繋がり。 第12章 - ICE (移民・関税執行局)へAI技術提供の是非。 第13章 - 馬が自動車に置き換わったように、AIによって失われる職もあるだろうけど多くの人にとっては有益だし、新たな雇用も生まれる。 第14章 - 米中の2台IT大国。中国ではうまくいったAIボットもアメリカ版は人種差別発言をしてしまった(悪意あるユーザーが覚えさせた) 第15章 - 多くのデータを持っているほどAIは強化される。データは最も再生可能な資源だ。オープンソース同様オープンデータを推進する。トランプは2016年選挙でデータ共有方式を活用した。オープンデータイニシアティブにつながる。
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著者のブラッド・スミスさんは、超大手IT企業・マイクロソフトの法務部門に入社した後は、ビル・ゲイツさんの片腕として独禁法訴訟やプライバシー保護、サイバーセキュリティ等、多くの問題について合衆国政府や他国政府、ライバル企業との交渉に尽力された方です。この本では著者が長年IT業界の一...
著者のブラッド・スミスさんは、超大手IT企業・マイクロソフトの法務部門に入社した後は、ビル・ゲイツさんの片腕として独禁法訴訟やプライバシー保護、サイバーセキュリティ等、多くの問題について合衆国政府や他国政府、ライバル企業との交渉に尽力された方です。この本では著者が長年IT業界の一線で活躍された経験とテクノロジーの持つ可能性と驚異について書かれた本です。多くの方の個人情報を把握している所有しており、その情報で顧客を幸せにする事も不幸にする事も出来るパワーを持った企業の法務責任者として、合衆国政府が求める危険人物情報の提供に対し、プライバシー保護との葛藤は大変なものがあったと容易に想像出来ます。どちらも人々の安心安全と利益を考えての行動なので何方が良い・悪いは簡単にいえないですよね。。。
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