忘却についての一般論 の商品レビュー
とっっっても良かった。ポルトガル統治下のアンゴラが政情不安に陥り身の危険に晒されたときに、マンション11階の自宅の一画を防壁で埋めてその内側とテラスで30年も自給自足の隠遁生活をしてた女性の話。 鳩のお腹からダイヤが出てくるエピソードと壁を壊した向こうで現在の住人が普通に生活して...
とっっっても良かった。ポルトガル統治下のアンゴラが政情不安に陥り身の危険に晒されたときに、マンション11階の自宅の一画を防壁で埋めてその内側とテラスで30年も自給自足の隠遁生活をしてた女性の話。 鳩のお腹からダイヤが出てくるエピソードと壁を壊した向こうで現在の住人が普通に生活してるところに遭遇するシーンが良い。 新潮社のクレストと白水社のリブリスは間違いないなあ
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アンゴラ独立の騒ぎに怯え、内戦終結後もマンション最上階に身を潜め続けたルドヴィカ。外界を恐れる彼女の物語と、混乱のアンゴラ下でそれぞれ波乱の人生を生きる登場人物たちの物語が終盤一気に収斂していき、圧巻。一気に読了。 不勉強でアンゴラの宗主国がポルトガルだったことも知らなかったけれ...
アンゴラ独立の騒ぎに怯え、内戦終結後もマンション最上階に身を潜め続けたルドヴィカ。外界を恐れる彼女の物語と、混乱のアンゴラ下でそれぞれ波乱の人生を生きる登場人物たちの物語が終盤一気に収斂していき、圧巻。一気に読了。 不勉強でアンゴラの宗主国がポルトガルだったことも知らなかったけれど、アンゴラという国の印象がぐっと具体的になった。30年という年月、国が様変わりしていく「時代」の移ろいは、個人にとってはリアルな時間・現実の積み重ねなんだなと、ずっしり実感させられた作品。
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アンゴラのポルトガルからの独立と長く続いた内戦の時代が舞台なので、そういう時に起こる出来事がこれでもかというくらい出てくる。虐殺、犯罪、強盗、恐喝、投獄、拷問、逃亡、裏切り、リンチ‥。それなのに、読後に落ち着いた気持ちになれるのは、ユーモアと詩的な表現に溢れた文章と、作者アグアル...
アンゴラのポルトガルからの独立と長く続いた内戦の時代が舞台なので、そういう時に起こる出来事がこれでもかというくらい出てくる。虐殺、犯罪、強盗、恐喝、投獄、拷問、逃亡、裏切り、リンチ‥。それなのに、読後に落ち着いた気持ちになれるのは、ユーモアと詩的な表現に溢れた文章と、作者アグアルーザの人間に対する想いのおかげだろう。人間の持つ一筋縄ではいかない面を書くのが上手い。 革命とか組織とか、何かしらの理屈のついた残忍な行為 VS 身近な人や動物への愛情 瞬く間に惨たらしく死んでしまう命の儚さ VS 意識していない時にふと現れる滑稽さ・強かさ 主人公ルドを含めたたくさんの登場人物の運命的な繋がりが、ドミノ倒しのように明らかになっていく終盤は読み応えあり。そして、この本の不思議なタイトルに納得。
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姉の結婚を機にアンゴラの首都ルアンダに移住したルド。しかし同居しているルドの姉たちはある日外出したまま帰ってこなくなった。 外出を恐れるルドはマンションのテラスで作物を育て、飛んでくるハトを捕まえ食べ、自給自足の生活を続ける。 内戦で敵対し合う人たち。様々な人たちの様々な行動が繋...
姉の結婚を機にアンゴラの首都ルアンダに移住したルド。しかし同居しているルドの姉たちはある日外出したまま帰ってこなくなった。 外出を恐れるルドはマンションのテラスで作物を育て、飛んでくるハトを捕まえ食べ、自給自足の生活を続ける。 内戦で敵対し合う人たち。様々な人たちの様々な行動が繋がっていきます。 細かな繋がりが多く、それがこの本の醍醐味でもあるのですが、私には登場人物が多く名前が覚えられず本を読み切るだけで精一杯でした。 ルドが綴る日記の言葉が美しく、胸に刺さります。 外に出ることの精神的な恐ろしさ。飢えの恐ろしさ。そして内戦の中で生きていく逞しさとキラッと光る人の優しさ。 世界が平和でありますようにと願うばかりです。
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長い年月引きこもり他者と交流を絶ち、社会情勢や発展からは隔絶され置いていかれ忘れられ、その当人も自分の過去を忘れていく。 完全に自他共に存在も記憶も消滅されそうな時に、思ってもなかったところから繋がりがうまれたり、人生のおもしろさを描いてる…から、いろんな登場人物がでてくるのだろ...
長い年月引きこもり他者と交流を絶ち、社会情勢や発展からは隔絶され置いていかれ忘れられ、その当人も自分の過去を忘れていく。 完全に自他共に存在も記憶も消滅されそうな時に、思ってもなかったところから繋がりがうまれたり、人生のおもしろさを描いてる…から、いろんな登場人物がでてくるのだろうけど、テンポはいいが読みにくかった。急に話が飛ぶし、この人は誰なのかどんな繋がりなのか過去なにした人だっけ?…に労力が必要。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
アンゴラの事情を軽く予習したものの、背景となる社会の動きと雰囲気がつかめなかった。多数登場する人物たちのドラマの交差と時代の急速な流れも相まって、ますますややこしい。 わからないなりに、作者の人間への優しい眼差しと愛情は感じられた。
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文学ラジオ空飛び猫たち第32回紹介本。 1970年代のアンゴラの首都ルワンダ。革命の最中、主人公はマンションの自室に30年近くひきこもり…という設定ながら、魅力的な登場人物たちの物語が錯綜する、にぎやかな小説です。 「忘却についての一般論」はタイトルの固さからイメージがつかないよ...
文学ラジオ空飛び猫たち第32回紹介本。 1970年代のアンゴラの首都ルワンダ。革命の最中、主人公はマンションの自室に30年近くひきこもり…という設定ながら、魅力的な登場人物たちの物語が錯綜する、にぎやかな小説です。 「忘却についての一般論」はタイトルの固さからイメージがつかないような、ユーモア溢れるストーリー展開と爽やかさがあり、重い部分もありますが、読了後はポップな印象が残ります。 ラジオはこちらから→https://anchor.fm/lajv6cf1ikg/episodes/32-eqmb8f
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ルドは30年もアンゴラの元姉の家で過ごす。 現実から遠いようで、荒れているようで、なんだか美しいのはなぜなんだろう。 3回目のチャレンジでやっと読めた。装丁も絵画のよう。
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『ルドヴィカ・フェルナンデス・マノは二〇一〇年十月五日未明にアンゴラの首都、ルアンダのサグラダ・エスペランサ診療所で永眠した。享年八十五歳。サバル・エステヴァン・カピタンゴは、ルドが孤立して暮らした二十八年間の最初の数年に書いた十冊の日記のコピーを私に渡してくれた』―『まえがき』...
『ルドヴィカ・フェルナンデス・マノは二〇一〇年十月五日未明にアンゴラの首都、ルアンダのサグラダ・エスペランサ診療所で永眠した。享年八十五歳。サバル・エステヴァン・カピタンゴは、ルドが孤立して暮らした二十八年間の最初の数年に書いた十冊の日記のコピーを私に渡してくれた』―『まえがき』 アンゴラという地球の裏側にある国で石油開発をやっている会社があるというのを聞いて(その会社とは後々色々と係わりを持つことになったのだが、それは置いておいて)、入社したての自分はこの業界の守備範囲の広さを改めて感じたものだった。もちろん、ポルトガル支配下の植民地だった時代から独立前後の混乱に至る長く曲がりくねった道程のことなど知ることもなく、その響きに冒険心のようなものをくすぐられる思いがしたのだ。それをナイーヴと呼べばそれまでだけれど、その気分の元を照らしてみれば、コロンブス以降繰り広げられた西欧諸国による帝国主義的植民地競争を正当化する理屈を白々と語ることと同根の高揚感である、と意識すべきと自戒する。その国の作家が書いた小説ということで少し身の引き締まる思いを感じながら読む。 忘却とは、意識的な記憶の抹消なのか、それとも徐々に進行する記憶の劣化なのか。幾つもの物語が錯綜するこの小説の中で、記憶は物語に登場する人々に、良くも悪くも、思いがけない形で蘇る。それを人間の記憶に関して一般的に起こることと認めるなら、忘却とは完全な記憶の消滅を意味するのではなくて、顧みられることなく潜在する記憶の在り様を呼ぶものであると判断するしかない。もちろんこの結論は次の新たな疑問へ変換されるだけの仮初の結論だ。顧みられることを意識的に疎んじたのか、あるいはただ単に切っ掛けを失っただけなのか。だがそうすることで初めて気づくこともある。その違いを明らかにすることとは、主人公のルドにとって、歴史のもたらした厄介事に白黒をつけることのようなものだ、と。もっとも主人公は、その歴史から切り離されてしまっていたのだけれど。 無と有が対称する状態を指す概念であるのなら、それは地と図の関係のようにどちらかのみが自律的に存在する状態を指すことは出来ない。忘却もまた、忘れ去られる記憶が「存在」しなければ忘却するという行為はなく、忘却した後は忘却という行為を含めて全てが無かったことになってしまう。忌まわしい気持ちを封じ込める為の忘却が、その原因となった事実を含めて全て無かったことにしてしまうことの善し悪しをどう考えるか。それは報復の応酬のジレンマと同様の行ったり来たりを繰り返す思考へと落ち込んでいく。自分の存在を周囲から切り離し誰にも見つからないようにしたいと願いつつ、その状況を誰に宛ててでもなく膨大な量の文字として書き残すというルドの行為は、まさにそんなジレンマそのものと見える。その意味で、本書は確かに「忘却」に関する一般的な思考を物語風に記したものと言えるだろう。 訳者あとがきを見ると、著者のジョゼ・エドゥアルド・アグアルーザは本書以外にも魅力的な著書を世に出しているらしい。是非とも、未邦訳の書も翻訳されて欲しい作家と思う。
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[出典] BOOKMARK Vol.18 (2021 SUMMER) 20210625, 紀伊国屋書店@新宿 P.14
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