ゴッホの手紙 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
重い、辛い、苦しい事が多く、なかなか読み進められなかった。 それでも絵を描くことがあってよかったのかどうかわからない。それしか救いがなかったとしても。 後世の評価からすると絵を描いてた方が良かったのだろうけども、評価されずいつも金はなく、発作に怯え…救いのない魂のありようが伝わる。 昔、新関 公子『ゴッホ契約の兄弟: フィンセントとテオ・ファン・ゴッホ』も読んだけど、その時ともまたゴッホの印象が変わった。
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アルル滞在中に読んだが、また理解を深めるために読み直したい。 日本人がゴッホに対してこれほどまで理解しようとしてくれていてゴッホは喜んでいるであろう。
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後半はほぼゴッホの手紙の引用になっており、批評というより、ゴッホの人生の紹介?のようになっていて、いつか小林秀雄が透明になってゴッホになっている。批評は必要ないということかも。 ゴッホは何かに取り憑かれたように絵画に奮闘する。その何かは、狂気ともいえるし、自分自身の強すぎる個性と...
後半はほぼゴッホの手紙の引用になっており、批評というより、ゴッホの人生の紹介?のようになっていて、いつか小林秀雄が透明になってゴッホになっている。批評は必要ないということかも。 ゴッホは何かに取り憑かれたように絵画に奮闘する。その何かは、狂気ともいえるし、自分自身の強すぎる個性ともいえるし、神様のようなものかも知れず、とにかく自分でもなんだかわからない情熱に小突き回されるような感じで、本人も大変そうだし、弟はじめ周りの人は苦労する。 羨ましいような気もするし、これが才能やら天才ということなのであれば、辞退したいような気もする。
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小林秀雄のドフトエスキー、モーツアルトに次ぐゴッホの芸術家人生探究の評論である。ゴッホの弟テオに宛てた手紙を繙くことで彼の人生に並走し、作品に込めた思いと課題を書簡の文面に沿って抽出していく。かつて牧師を目指した倫理と知性の画家は貧窮に喘ぎながら作画を続け、究極を求める創作への焦...
小林秀雄のドフトエスキー、モーツアルトに次ぐゴッホの芸術家人生探究の評論である。ゴッホの弟テオに宛てた手紙を繙くことで彼の人生に並走し、作品に込めた思いと課題を書簡の文面に沿って抽出していく。かつて牧師を目指した倫理と知性の画家は貧窮に喘ぎながら作画を続け、究極を求める創作への焦燥に次第に神経を病む。テオや家族への手紙の言葉が絵のことを語ると同時に心の窮迫も伝える。ドラクロアやミレーに影響され、土と百姓・労働の視点から描き、似た境遇のゴーガンとの短い共同生活を経て、モネに触発され印象派を代表する作品を数多く残す。大胆な構図で色彩に満ちた強烈な絵であることが伝わってくる。小林が言う「愕然として巨きな眼に見据えられ動けずにいた黒い鳥の群がる麦畑の絵」を描いた時には、ゴッホは既に自らの死をその絵に暗示していた。 この評論の後半部分、ゴッホが発作を繰り返しながら描き続ける切迫したくだりは、彼の心の軌跡に小林が同調し没入する感情の昂ぶりを滲ませる。小林の透徹した分析のなかで異色の盛り上がりを呈する場面である、まるでゴッホに憑依したかのようだ。 ゴッホはピストル自殺を図りガッシュに看取られ瞑目する、一年後にテオも発狂してこの世を去る。 読み終わって、ゴッホの苦悩からの解放に心底安堵するとともに、小林の評論の凄みに今更ながら感服させられる。
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小林秀雄氏の著書についてはいくつか読んできたが、この著書については難解すぎて挫折。 前提知識が必要なのか、文筆の抽象度の高さについていけていないのか、もしくは単に記載が不親切なのかは正直わからない。
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小林秀雄に圧倒される。単に心の底から一枚の絵に魅了されたというだけでは、これは書けない。どこからこんなエネルギーが湧き出てくるのか。エネルギーという考え方が間違っているのかもしれない、そんな思案が初めて頭によぎった。少なくとも、エネルギーは高いところから低いところに落ちるというエ...
小林秀雄に圧倒される。単に心の底から一枚の絵に魅了されたというだけでは、これは書けない。どこからこんなエネルギーが湧き出てくるのか。エネルギーという考え方が間違っているのかもしれない、そんな思案が初めて頭によぎった。少なくとも、エネルギーは高いところから低いところに落ちるというエネルギー(エントロピー)の法則だけでは、なぜ他ではないのか、絵画であり音楽であり、芸術であり批評なのかというところが説明できない。それが個性なのか。個性という言葉で取り敢えず表しておくしかないのか。 ところでまだエネルギーの連想で考えてしまうが、個性または精神は、ひょっとしてエネルギーの法則に逆らうものなのか、と思えて恐ろしい。逆らうまでいかなくとも、エネルギーの消費ではなく、化石燃料の精錬のような形態を彷彿させる。どうしたらそんなことが可能なのだろう。
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ゴッホファンとして読んだもの。作者のゴッホの作品への思いをひしひしと感じる、ゴッホファンとしては必読の書だった。 作品を観て心打たれるような感動がなければ、美術をただ眺めて知ったようなことを言うのは無駄、というのも美術ファンとして同感だし、「ゴッホが思いどおりの黄色を出せないい...
ゴッホファンとして読んだもの。作者のゴッホの作品への思いをひしひしと感じる、ゴッホファンとしては必読の書だった。 作品を観て心打たれるような感動がなければ、美術をただ眺めて知ったようなことを言うのは無駄、というのも美術ファンとして同感だし、「ゴッホが思いどおりの黄色を出せないいまいましさに比べたら、ゴッホの本物を観ることができないいまいましさなんて取るに足りない」という言葉は、はっとしたし、このご時世なかなか思いどおり美術館に行けない不満にも効く。 ゴッホの絵が唯一無二なのは、例え何気ない風景を描いたものでも、彼の個性である唯一無二な精神性の表現そのものだから。そんなことを嫌になるほど感じた。そんな作品を生み出した人間ゴッホに正面から向き合い、その人間性の奥の奥まで理解し、明らかにしようとする情熱がほとばしっていて、この著作に心打たれずにいられななかった。
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大学受験の時に読んだというより読まされた小林秀雄はちんぷんかんぷんだったが、時を経て、少しは読めるようになってきたのかもしれない。でもまあ、この「直覚」を磨くのは並大抵ではないんじゃないかな。 でも全集、読んでみたいと思う。
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ゴッホの絵を眺めゴッホの手紙を読み進めることで、恐ろしいほどに作者がゴッホに呼応してゆく。ゴッホの弱り切った精神の純粋さゆえか。読み進めれば進めるほど、ゴッホ作品の力強さと儚さを益々愛おしく思う。
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