宇宙へ(上) の商品レビュー
ソ連よりも先に米国が人工衛星を(複数)上げている世界での1952年、巨大隕石が突如、ワシントンD.C.近海に落下し、衝撃波と津波によりアメリカ東海岸は壊滅。 そしてエルマ博士の計算により、隕石で加速された温暖化の影響で(一時的な隕石の冬のあと)温暖化が飛躍的に加速し、人類が地球上...
ソ連よりも先に米国が人工衛星を(複数)上げている世界での1952年、巨大隕石が突如、ワシントンD.C.近海に落下し、衝撃波と津波によりアメリカ東海岸は壊滅。 そしてエルマ博士の計算により、隕石で加速された温暖化の影響で(一時的な隕石の冬のあと)温暖化が飛躍的に加速し、人類が地球上で生存できなくなることが判明し、1950年代前半から本気で人類が宇宙開発にいそしむ(ただし、隕石の冬の影響でソビエトはその間に崩壊しているw)というロシア抜きの宇宙開発モノ。と言うか、これこそ、誤訳でなく正しい意味での「女性計算者達の宇宙開発」なのだが、ここまで(奇跡的に?)順調に来ていたロケットの打ち上げが失敗したところで上巻終わり。
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「もし」の世界観で進行するストーリーで描かれるのは単なるフィクションでなく、置き換えられた設定の中で浮き彫りになった現実の問題、差別。 SFながら、主人公が闘う相手は異星の知性でも、過酷な天変地異でもなく(舞台設定は大きな天変地異ですが)、女性として、人間としての生きづらさであ...
「もし」の世界観で進行するストーリーで描かれるのは単なるフィクションでなく、置き換えられた設定の中で浮き彫りになった現実の問題、差別。 SFながら、主人公が闘う相手は異星の知性でも、過酷な天変地異でもなく(舞台設定は大きな天変地異ですが)、女性として、人間としての生きづらさであり、その困難に立ち向かう冒険。男性としては気がつかない(あるいは無視していた)事実に胸が苦しくなる。
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スチームパンク風[パンチカードパンクと言うらしい]の歴史改変SF 地球の危機の中、公民権運動・ウーマンリブが好ましい形で展開する物語が楽しく嬉しい
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巨大隕石が落ちて、地球が暑くなりそうだから、宇宙へ旅立つ。いいじゃないですか。どこまで行くの?火星?土星の衛星まで行っちゃう? 意外と、まだ月にもいけない段階で上巻は終わる。隕石落ちたのは現実との大きな分岐点ではあるのだが、ぶっ飛んだ未来を描く事はなく、かなり現実路線の「過去のI...
巨大隕石が落ちて、地球が暑くなりそうだから、宇宙へ旅立つ。いいじゃないですか。どこまで行くの?火星?土星の衛星まで行っちゃう? 意外と、まだ月にもいけない段階で上巻は終わる。隕石落ちたのは現実との大きな分岐点ではあるのだが、ぶっ飛んだ未来を描く事はなく、かなり現実路線の「過去のIf」を描いている感じ。面白いんだけど、もうちょっとぶっ飛んだ感じが下巻に出て来るといいな。
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帯に色々章を取ったと書かれていたので購入。面白かった!隕石ってミーティアライトっていうのか~ 知らなかったな。 1950年代(だったかな)に隕石が落ちたという設定も面白い。第二次世界大戦が終わって、アポロが月に降りる前辺りのNASAが盛り上がっていた頃に、人類が宇宙に進出する必要...
帯に色々章を取ったと書かれていたので購入。面白かった!隕石ってミーティアライトっていうのか~ 知らなかったな。 1950年代(だったかな)に隕石が落ちたという設定も面白い。第二次世界大戦が終わって、アポロが月に降りる前辺りのNASAが盛り上がっていた頃に、人類が宇宙に進出する必要性がある、と持ってくるのは上手いなぁと思いました。 今でこそ男女対等などと言われていますが(今も言われているということは実際対等ではないという事の証左だと思いますけど)50年代のアメリカでも女性の扱いというのはこんな感じだったのかな~と思いながら読みました。日本は今でも医大の入試に男子学生にゲタ履かせるなんてやってるんだからなぁ…昔はもっと悲惨な状況だったんだろうな。
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歴史改変もののSF。 もし1950年代に巨大隕石が地球に落下し、アメリカの東海岸が全滅したら・・・というお話。 1950年代というと、米ソが宇宙競争をしている状況であるが、本書ではまだアポロ計画にのっとった月への到達がなさ得れていないという状況である。 本書では、元女性パイロ...
歴史改変もののSF。 もし1950年代に巨大隕石が地球に落下し、アメリカの東海岸が全滅したら・・・というお話。 1950年代というと、米ソが宇宙競争をしている状況であるが、本書ではまだアポロ計画にのっとった月への到達がなさ得れていないという状況である。 本書では、元女性パイロットの天才数学者の女性が主人公であり、コンピューターが未だ発達していない状況で、「計算者」として、それこそ「人間コンピューター」として働く物語である。 話はSFであるが、1950年代当時のアメリカをリアルに映し出し、黒人差別、女性蔑視等が激しい時代の状況を克明に反映させている。 巨大隕石による気候変動のため、地球からの脱出を計画する人類。やっとロケット打ち上げは軌道に乗り始めたが・・・。 下巻が楽しみ。
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舞台は1950年代のアメリカ。地球に大型隕石が衝突したことにより将来的に大幅な気候変動が起こることが分かり、第二次大戦に従軍した元パイロットであり天才的な数学者でもある女性・エルマとその夫であるナサニエルは人類の生き残りをかけた宇宙開発に奮闘する…という歴史改変SF。 性差別や...
舞台は1950年代のアメリカ。地球に大型隕石が衝突したことにより将来的に大幅な気候変動が起こることが分かり、第二次大戦に従軍した元パイロットであり天才的な数学者でもある女性・エルマとその夫であるナサニエルは人類の生き残りをかけた宇宙開発に奮闘する…という歴史改変SF。 性差別や人種差別が顕著だった時代背景、強さと弱さを併せ持つ主人公など、一筋縄ではいかないストーリー展開はページを繰る手を止めさせない。SFを読み慣れてない人でもサクサクと読めるはず。
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シンプルで素朴なSFだからこそ面白くて、考えさせる事も多い。 隕石の衝突と人類滅亡という、オールドファッションな題材を、1950年代というオールドファッションドな舞台で語られる。 科学は未だ素朴であって、大量生産・大量消費というway of life の時代。 科学はまだ手...
シンプルで素朴なSFだからこそ面白くて、考えさせる事も多い。 隕石の衝突と人類滅亡という、オールドファッションな題材を、1950年代というオールドファッションドな舞台で語られる。 科学は未だ素朴であって、大量生産・大量消費というway of life の時代。 科学はまだ手の届く範囲にあって、最新技術がIBM(パンチカード式計算機)だった時代だ。 科学者は皆、暗算か筆算で計算するのが主だった。 軌道計算も手計算がメインで計算機はサブに過ぎない。 思えば実際の歴史でもよくこんな時代に宇宙開発なんてものに手を出したなぁという驚愕と共に、科学と科学者たちの苦労、アイデアがいまの時代につながっているんだなぁなんて改めて感慨深くもなる。 使い古された題材に、リアルな記憶が残る時代背景。しかし、この物語は決してノスタルジーものではない。断じて。 昨今の科学技術は素人というか多くの人にとって距離が離れてしまった。 便利に使っているスマホの中身など知らないし、ましてやプログラムも高度で複雑だ。 車のエンジンも家電製品も気密性(機密性)が高まっているからおいそれといじれない。 技術や科学から人の存在を感じにくく、科学や技術と人との距離がどんどん広がっている気分になる。 しかし、1950年代はというと、技術や科学は手が届く範囲にあって、テレビや雑誌で科学特集も多かっただろうし、車の調子が悪ければ近所の詳しいおじさんに話せばちゃちゃっとエンジンいじってくれたりもあっただろう。 この物語の主人公は女性だ。 当時の米国もというと公民権運動、黒人差別、女性蔑視と必ずしもユートピアではなかった。 しかし、まだ科学や技術は手の届く範囲で、だからこそこの物語では、ロケットや軌道の説明セリフもシンプルで素朴だ。 女性蔑視や人種差別という葛藤も、多数派(差別側)も被差別側も描かれ方はわかりやすい。 さらに、隕石の衝突によって生じる気候変動も、シンプルに劇的で空恐ろしい。 この物語で描かれている葛藤や問題は現在進行形の問題でもある。しかしそれらは複雑すぎて“手に負えない”という無力感・無関心、諦念を我々に引き起こしているのかもしれない。 素朴でシンプルな時代が舞台である分、人種差別や女性蔑視、気候変動も未解決のままむしろ今は悪化しているのではないかということに気づかせる。 これらは米国だけではなくて、日本だって同じなのだ。 50年代については親さえ生まれてないから実際のことは知らない。 しかし、少なくともテレビは芸人が叫んでいるバックに笑い声を被せているだけで中身のない番組ばっかりじゃなくて、ジャーナリズムや文化芸術、議論は機能していて、近所の車に詳しいおじさんは実は戦争中に戦車とか戦闘機に乗ってたり整備したり工場に動員されてたりしていたんだろう。 決して当時はユートピアではない。しかし、少なくとも現在のようなディストピアではなかったのだろう。 それはそれとして、物語としてこの本は面白い。SFにありがちなオタクっぽさは皆無。 シンプルで素朴なSFだからこそ面白くて、考えさせる事も多い物語だ。
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