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ボーン・クロックス の商品レビュー

4.5

4件のお客様レビュー

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2022/08/07

素晴らしくエキサイティングで楽しい冒険譚だった。「時間超越者」のコンセプト自体は目新しいものではないが、何世代にも亘る壮大な歴史と、ディテールの濃密な何人ものミクロな視点を通じて浮かび上がらせるホリーの一生の噛み合い方が素晴らしい。面白かった。

Posted byブクログ

2021/12/30

文学ラジオ空飛び猫たち第20、21回紹介本。 ラジオはこちらから→https://anchor.fm/lajv6cf1ikg/episodes/20--6-em63gs ダイチ 約650ページの長編で、主人公ホリー・サイクスを中心としたダイナミックな物語が味わえます。全6章の時...

文学ラジオ空飛び猫たち第20、21回紹介本。 ラジオはこちらから→https://anchor.fm/lajv6cf1ikg/episodes/20--6-em63gs ダイチ 約650ページの長編で、主人公ホリー・サイクスを中心としたダイナミックな物語が味わえます。全6章の時代は異なりますが、細かいエピソードやいろいろな要素がつながっていて、どの章も読み進めるとどんどんおもしろくなっていきます。また第5章で時計学者(ホロロジスト)〉と〈隠者(アンコライト)〉の壮大なバトルシーンがあって決着がつくのですが、その後に第6章で終末の未来を描いているのもおもしろくて、同作者の『クラウド・アトラス』に通じるものがあります。漫画だと15巻分くらいのボリュームだと思います。個人的には第4章に出てくる作家クリスピン・ハーシーが人間味に溢れていて好きなキャラでした。 年に1冊読み応えのある長編です。ただファンタジー色も強くて、現実社会の話の中で不意打ちでファンタジーが入ってくるので、苦手な人は合わないかもしれないです。 ミエ 重厚で読み応えのある小説です。現実社会とファンタジーの2つの世界が存在しているのですが、現実社会がすごく綿密に、けっこう世界情勢や人間関係も絡めて重く描かれているので、ファンタジーの世界をよりシビアに読むことができます。突然ファンタジーが来たときの緊張感がたまらないです。また現実社会で重要でない人物(例えばアル中の世捨て人がファンタジー世界では一つのキーパーソンになっていたり)がファンタジーの世界では重要だったりするので、それもおもしろい点でした。この小説のハイライトでもある第5章はファンタジー一色で描かれるので好き嫌いがわかれるかもしれないですが、個人的にはすごく好きで最高におもしろかったです。ラジオでは多少のネタバレをしつつ話していますが、それ以上に情報量が多い小説なので、ある程度の内容を知っていてもおもしろく読めると思います。再読しても新鮮に読める小説です。 単純なファンタジー小説ではなく、現実社会やSF要素も絡んでいて複合的なおもしろがあります。重厚な小説を読みたい人にはぴったりな一冊だと思います。

Posted byブクログ

2021/04/04
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※このレビューにはネタバレを含みます

いやー、長かった。読んでない日は1日もなかったのに、読了までにかかった日数12日は去年読んだ「エンジェルメイカー」を超えてるんじゃないかなぁ。 単行本で上下2段組の640Pというだけでボリューミーさを感じるが、話の密度も濃くて、1時間読んでも30ページしか進まないとか…。決して退屈な本ではないのだが、さすがに中盤あたりでは本の重さと残りページ数に絶望を感じた。 ホリー・サイクスというアイルランド人女性の数奇な生涯を本人や関わった人々の目線から描いた小説。骨子はたったこれだけなんだが、その数奇ってのがこの本の…いや作者ディビッド・ミッチェルすべての小説群の…の核心テーマである。 そのテーマが「ホロロジスト(時計学者)」と「アンコライト(隠者)」という人類史上の裏勢力者2派の逃走劇。マイケル・ムアコックでいう法(ロー)VS混沌(カオス)とか、キングのダークタワーとか、永井豪のデビルマンサーガとか、手塚治虫の火の鳥サーガとか、その手の作者ライフワークにつながるテーマなのである。 核心テーマだけでなく、各章ごとに独立した中編小説としても読ませ、その中には人類史、宗教史、ジェンダー問題、ヨーロッパ人権問題から、ポップカルチャー、文明破滅前夜のディストピアなど、この本だけで十分以上に詰め込まれているのだが、他の作品も読まないとこの小説の本質が見えてこないかも知れない。 やっかいな本を読んでしまったなぁ…と思うと同時に、新しいサーガに出会えてワクワクしてる気持ちも大いにある。いやぁ困った。 とりあえず、12日分かかりきりだった結果、返却日限が迫っている図書館の未読本山を切り崩していかねば!

Posted byブクログ

2020/09/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

いやあ、読んだ読んだ。古典作品からの引用や、映画や音楽などポップカルチャーも随所にはめ込まれ、お腹いっぱいで面白かった。 比喩もこの人独特で冴えてるなあ。訳者あとがきが親切丁寧でわかりやすく、それを読んでようやくナルホドーと思ったところも。 そして始まりが "1984年" であること、ラストで月がふたつ…ということで、もしかしたらこれもまた村上春樹『1Q84』へのオマージュがあるのかもしれないね。

Posted byブクログ