十五の夏(下) の商品レビュー
旅行記の後編 ソビエトを中心に記載があり、いかに社会主義国を旅することが難しいか、その中での人々の生活観はどのように旅行客に対して影響していくのかなどが描かれていて、旅の途中で会う日本人とのやりとりなども面白い。
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冷戦というのが所与の枠組みだった時代の青春。現代なら東欧とロシアでこんなに苦労するはないのだろう。旅行のハードル的にはインドか南米くらいか? 佐藤優の十五の夏休みをに触れていろいろな思いが湧いてくるのだが、旅行自体は自分ごとではなく、5歳の息子を重ねてしまうのが、自分の歳を感じて...
冷戦というのが所与の枠組みだった時代の青春。現代なら東欧とロシアでこんなに苦労するはないのだろう。旅行のハードル的にはインドか南米くらいか? 佐藤優の十五の夏休みをに触れていろいろな思いが湧いてくるのだが、旅行自体は自分ごとではなく、5歳の息子を重ねてしまうのが、自分の歳を感じて辛い。あと10年で彼がこういう経験を望むようになるだろうか。もちろんその時代には、1975年当時ほどの異世界感はないかもしれないし、そもそもリアルに国境を越える必要すら怪しいものだが。 なるべくしてなったのだなと思う一方で、本当に好きなことで食べていけない人はいない、という言葉はとても、重い。
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何気なく手に取ってみたが、そのボリュームに圧倒されつつも、一気に読み切った。 高一でこんなこと考えてたの?とか、詳細に記録してたのかさもなくば創作?とか、食べ物の描写がリアル?とかいうこと以外に感じた事。 漫然と観光するのではなく、一つの経験から得られた知識を抽象化して解釈し血肉...
何気なく手に取ってみたが、そのボリュームに圧倒されつつも、一気に読み切った。 高一でこんなこと考えてたの?とか、詳細に記録してたのかさもなくば創作?とか、食べ物の描写がリアル?とかいうこと以外に感じた事。 漫然と観光するのではなく、一つの経験から得られた知識を抽象化して解釈し血肉とする力を感じた。また、他人の意見に惑わされることもあるが、自身の考えを持ち主張したり行動している場面が印象に残った。多少後付けもあるかもしれないが、それでも15歳の時にこれだけのことを感じたら、後の人生が変わってくるだろう。
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【上下の感想】古書店で購入したのは1年ほど前で、ぼちぼち読んでいたら、ロシアとウクライナの戦争が始まった。 まだ読み終わってないけど武田百合子の『犬が星見た』もロシアの話で、でも、多分20年くらい差があるので、だいぶ環境が異なっている。ただ同じなのはロシア人が中国をとても嫌ってい...
【上下の感想】古書店で購入したのは1年ほど前で、ぼちぼち読んでいたら、ロシアとウクライナの戦争が始まった。 まだ読み終わってないけど武田百合子の『犬が星見た』もロシアの話で、でも、多分20年くらい差があるので、だいぶ環境が異なっている。ただ同じなのはロシア人が中国をとても嫌っていること。今はどうなんだろうか。 モスクワで、エスカレーターの上を人が歩いているのを見て驚く場面があり「日本人はそんなことはしない」と書かれている。1970年代は日本ではエスカレーターの上を歩く人はいなかったのか。『モモ』みたいに時間泥棒に席巻されてしまったということか。 作者は関わる大人から多くの助言をもらっている。それは単に恵まれていたからか。おそらくそうではなく、高校時代の作者の真摯さに皆がうたれて、それで力になったのだと思う。そして皆が彼の将来をそれぞれ予言しているのが面白い。 東欧の共産国とロシアは、この本が書かれた段階でもだいぶ違う。もちろん東欧の国の間でも異なる。外国人に優しく、比較的自由にやりとりできる国とそうではない国。この時代、ロシア(ソ連)では外国人とロシア人は個人的な交際は一切出来ない。文通も無理。 情報は日本語のモスクワ放送から発信される。僕の子供の頃は、ソ連、中国、北朝鮮の日本語放送が電波が強くて困ったものだ。 真面目で頭の良い、将来について真剣に考える若者の共産圏旅行記、とても面白かった。
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「外務省のラスプーチン」こと佐藤優が高校1年生の夏休みに40日間をかけて東欧とソ連をたった1人で旅した手記.上巻ではカイロ経由でチェコ,ポーランド,ハンガリー,ルーマニアという東欧諸国を経てキエフに至るまで,下巻ではソ連入国後のモスクワ,ブハラ,サマルカンド,ハバロフスク,ナホト...
「外務省のラスプーチン」こと佐藤優が高校1年生の夏休みに40日間をかけて東欧とソ連をたった1人で旅した手記.上巻ではカイロ経由でチェコ,ポーランド,ハンガリー,ルーマニアという東欧諸国を経てキエフに至るまで,下巻ではソ連入国後のモスクワ,ブハラ,サマルカンド,ハバロフスク,ナホトカから横浜港を経て大宮の自宅に帰るまでと,その後,が描かれている. 実は旅はソ連に入国してから失速気味だ.それは観光客に自由が許されず,事前にインツーリストという国営会社を通じてホテル,航空便や列車の予約が必須で,観光,送迎に常にガイドがついてくるからだ.また十五歳の佐藤君は観光にあまり興味がなく,彼の希望,旅の目的が現地の人々の暮らしを見ることにあるため,ソ連入国以降の受動的な旅には興が乗っていない.従って逆にペンフレンドの家に滞在するブダペストその他の東欧諸国では,ゆきずりの人たちとも色んな交流をし,その様子がイキイキと描かれている. 下巻のp.222のドイツ人ビジネスマンとのこんなやりとりが印象的だ. 「それは,ソ連がヨーロッパではないからだと思う」とドイツ人は言った. 「どういうことでしょうか.僕には,ドイツ人もポーランド人も,ロシア人も特に大きな違いはないように思えます」 「確かに見た目は,そう大きく違わない.しかし,ドイツ人とポーランド人,チェコ人,ハンガリー人はそんなに違和感を覚えずに話をすることができるが,ロシア人の場合はそうではない.むしろ,中東の人たちとロシア人は近い感じがする」 「中東の人たちですか」 「そうだ.イラン人やトルコ人とロシア人は似たところがある.」 また当時ハンガリーでは「小林研一郎」が有名だったようだ.世界のコバケン! 「第十章 その後」では,帰国翌日から同志社大学神学部に進学するまで,および,高校時代の友や,この旅で出会った人たちとの現在までの交流等が描かれているが,実際は「文庫版あとがき」までが一体と考えた方が良い.立ち読みで先に「あとがき」を読まないようにしてください. 恩師や友人との交流のくだりでは,何度も涙が出そうになってしまった.十五歳の佐藤優は驚くほど冷静で大人なのだが,さらにその後の佐藤優の人生に大きな影響を与えたであろう,この先生たちに出会えたことがとても羨ましい.
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40年以上も前のことをこれほど鮮明に覚えているものだろうか。メモを基に再構成したのだとしても、出会った人々との生き生きとした会話や、特に食事に関する克明な記述には感嘆する。
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上巻が、ポーランドやハンガリー等の当時の共産圏の現地の人々との交流に関して多く紙幅を割いていた一方で、下巻では日ソ友の会やバイカル号での様子など、旅に関係する日本人との交流を多く描いていた(外国人との交流を強く制限している地域だということも影響していると思う)。 特定のトピック...
上巻が、ポーランドやハンガリー等の当時の共産圏の現地の人々との交流に関して多く紙幅を割いていた一方で、下巻では日ソ友の会やバイカル号での様子など、旅に関係する日本人との交流を多く描いていた(外国人との交流を強く制限している地域だということも影響していると思う)。 特定のトピックへの関心が強いと、中等教育での勉学が疎かになるということを周りに指摘され、自分でも意識しながら生活をしていったというのはかなり貴重な経験だと思う。 一部に脚色を加えているとしても、青学の職員と険悪な雰囲気になった際に、なるべく偏見を抱かないように努力をしなければならないと感じたことは事実であると思うし、異文化に触れる際に最も重要な心構えだと思うな、と個人的にも再確認できた。
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長くかけて読んだ。出来事を叙述しただけの自伝的小説のように見えて、読後にはずっしりとした重い感じがある。ソ連の長旅、その後の同志社大学神学部への進学………。人の人生を追体験する意味を感じる。
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15歳という若さでまだ旅行の環境が整ってはいなかったであろう、共産圏の国々を訪れていく行動力に脱帽する。まだ私はロシアに行ったことはないが、本書の上下巻を読み終えてみて次に海外出張に行けるようになったらロシアを選びたい。
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作家で元外交官の佐藤優氏は15歳の夏、高校合格のご褒美にソ連・東欧を一人旅した記録。 知的好奇心が旺盛で、15歳とは思えない行動力、意志の強さに驚かされる。旅先での出会いやペンフレンドとの交流は心温まり、国や文化・言語は違えど、人間は同じなんだと感じる。若い世代の人に是非とも読ん...
作家で元外交官の佐藤優氏は15歳の夏、高校合格のご褒美にソ連・東欧を一人旅した記録。 知的好奇心が旺盛で、15歳とは思えない行動力、意志の強さに驚かされる。旅先での出会いやペンフレンドとの交流は心温まり、国や文化・言語は違えど、人間は同じなんだと感じる。若い世代の人に是非とも読んでほしい。 可愛い子には旅をさせろと言うけれど、自分は、佐藤氏のご両親のような決断が出来るほどの器が備わっていないと痛感した。
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