歪んだ正義 の商品レビュー
過激化は誰しもに起こりうる。普通の人がテロリストになるまでのプロセスと対処法を解説。得た教訓としては、普通の人を過激化させる「過激思考」(相手を100%悪、自分を100%善と決めつける等)は、間違ったストレス対処法として手をだしやすく、依存性も高い。また、人間の習性として収集する...
過激化は誰しもに起こりうる。普通の人がテロリストになるまでのプロセスと対処法を解説。得た教訓としては、普通の人を過激化させる「過激思考」(相手を100%悪、自分を100%善と決めつける等)は、間違ったストレス対処法として手をだしやすく、依存性も高い。また、人間の習性として収集するリソース(資源)の中でも、不適応なリソースとしても「過激思考」も含まれ、手を出してしまう可能性がある事が学べた。本書はテロリストにまで話が広がっているが、日常的に他者との関わり合いの中で生かせる知見も得る事ができる一冊。ちょっとムズい。
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なぜ、テロリストになる人とそうでない人がいるのか、というシンプルな問いに、真正面から挑んだ本書。 私の問題意識とも重なる部分も多く、頁を繰る手が止まらなかった。
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今年読んだなかでもっとも印象的で刺激的。 イスラム過激派の研究を通して「いかに普通の人が過激化していくのか」を解き明かしていく。 これは遠い異国の硝煙にまみれた戦場の話ではない。「一般人」を自認する我々全てが過激化する可能性を秘めている。 アメリカの大統領選からジェンダー...
今年読んだなかでもっとも印象的で刺激的。 イスラム過激派の研究を通して「いかに普通の人が過激化していくのか」を解き明かしていく。 これは遠い異国の硝煙にまみれた戦場の話ではない。「一般人」を自認する我々全てが過激化する可能性を秘めている。 アメリカの大統領選からジェンダー間の軋轢、果ては「お箸の持ち方」まで、現代は正義と正義のぶつかり合い。味方か敵かの二元論ばかり。Twitter初期には落語の長屋のような関係だったTLは、今や肥大し辻斬り御免のスターリングラードに。 最近のこの世相はなかなかしんどくて、世の中は「白黒ハッキリバッサリ切るひと」が威勢がよい。 “外的なストレスを受けると、ひとは衝動的に世界を内側と外側に分ける。つまり敵と味方” “そして味方を称賛し敵を蔑める物語(ナラディブ)を語る” 本文中でも言及されているが、これはヘイトスピーチへ繋がり、そして歴史を自分に都合の良い神話として利用しようとするプロセスそのものだ。 最も秀悦な点は過激化のプロセスを「バランスシート」で表していること。 人はストレスを受けると、その負債を補うために資産を利用する。通常、その資産は家族愛、コミュニティの関係であったりするが、これらのリソースが枯渇している場合、人は負債を補うために負の資産を消費する。それはドラックであったり暴力であったり、また神話として作られた物語であったり。それらをドーピングのように使って自尊心をブーストするのだ。 今の社会のこうした息苦しさを感じているひと、孤独を感じているひと、家族が悩んでいるひとは是非本書を読んで欲しい。 繰り返しけどこれはエキセントリックな思想を持った少数の例外の物語ではない。我々すべてに当てはまる写し鏡であり、そして今の世界は急速に過激化の方向に閉じつつある。 その隙間から久しぶりに空を見たような読後感。
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近頃活躍中の「自粛警察」の人たちの心理状態を知りたい、と思い帯を見て図書館にて借受。 コロナ禍における自粛警察にももちろん触れてはいますがメインは、ISをはじめとしたテロリストを生む要因ときっかけ(トリガー)についての解析でした。日本人として生まれ日本でしか暮らしたことのない人...
近頃活躍中の「自粛警察」の人たちの心理状態を知りたい、と思い帯を見て図書館にて借受。 コロナ禍における自粛警察にももちろん触れてはいますがメインは、ISをはじめとしたテロリストを生む要因ときっかけ(トリガー)についての解析でした。日本人として生まれ日本でしか暮らしたことのない人間にとっては頭で理解はできても、おそらくそれも現実にはほど遠い程度であろうと思い知らされるような内容でした。 それでも何故「自爆テロ」に子供が利用されることが多いのか、他国の若い青年たちがテロに魅了され取り込まれていくのかということが本書を読むとそこから遠くにいる自分のような日本人にもわかります。 被害者意識は物の見方を変えそれにより復讐の意思がより強く認識されるとモラルの抵抗感がなくなる、というのは大変分かりやすい解説でした。 また、自分の愛着を抱いているものの一部でも攻撃を受けたなら、それが何であってもどんな事柄であっても自分のアイデンティティーが侵害されたと人々は感じるものだというのも、普通に暮らしていても日常的に人間関係の中ではそのくらいのことは起きますからよく理解できます。 最後のほうの章にストレス対処のための自分のメカニズムを意識するための質問表があるのですが、これが結構役立ちそうです。 今企業ではストレスチェックなどを行っているところも増えつつありますが、実際はチェックするだけでどのように対処したらいいのかまで個人としての対処法を具体的には教えてくれないことが多いように感じます。(企業の相談窓口やカウンセラーの紹介などそれまで関わっていない人との関わりで行う対処がメイン)そういうところに出向くこと自体が重い人もいるだろうに、と思っているので本書にあるような「BASIC ph」の質問表は自分で自分を客観視するいいきっかけにできるのでは、と感じました。 知りたかったこととは実はちょっと違う内容でしたし誰にでも必要と言う本でもないですが、普段意識しない視点に気づかされる一冊でした。
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テロに誘う物語へ、物語で対抗するという辺りで「セサミストリート」を思い出した。 日本ではプリキュアやけものフレンズ、ゲゲゲの鬼太郎なども社会的テーマを扱っている。 また、相手に小さなストレスを与える行為、マイクロアグレッションへの対抗として、傍観者効果の低下の試みがある。 社...
テロに誘う物語へ、物語で対抗するという辺りで「セサミストリート」を思い出した。 日本ではプリキュアやけものフレンズ、ゲゲゲの鬼太郎なども社会的テーマを扱っている。 また、相手に小さなストレスを与える行為、マイクロアグレッションへの対抗として、傍観者効果の低下の試みがある。 社会的にも個人的にも、悪魔の代弁者システム(それは本当に正しいか?間違っていないかと問い続ける存在)が有効。
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色々と思い当たる節が多かった。 社会心理学ってこういうことか… 「アカデミ・ジャーナリズム」すごいなあと思った
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