砂漠が街に入りこんだ日 の商品レビュー
特定のどこかであって、どこでもないような街に関する作品集、というかんじ。それぞれの場が、砂漠や水といったモチーフと結びついて語られる。そんな抽象性の高い場所が、最後の一編で具体性を獲得しているような気がした。
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そっけなくツンとした印象の文章だが、どの話でも孤独をこっそり共有されているような、淡い温かさを感じた。
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今いる場所に居場所がなくはみ出てしまった人、または自らはみ出た人達がたどり着いた場所での自由と孤独が淡々とした文章で描かれている短編集。どれも経験したことはないのに知っているような感覚になる。特に『真夏日』がヒリヒリと良かった。
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さらさら読めるんだけど、後書きにある通り周縁にいる孤独感が淡々と綺麗(?)に、反発するでも受容するでもなく、ただそこに在る感じが「砂漠が街に入り込む」と表現される所以だなと思った。 原作はフランスに住む韓国出身の著者(ある種アウトサイダー)による仏語とのことで、また年内に原作を読...
さらさら読めるんだけど、後書きにある通り周縁にいる孤独感が淡々と綺麗(?)に、反発するでも受容するでもなく、ただそこに在る感じが「砂漠が街に入り込む」と表現される所以だなと思った。 原作はフランスに住む韓国出身の著者(ある種アウトサイダー)による仏語とのことで、また年内に原作を読みたい。
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面白い、と言っていい作品なのだろう。 どこの国とも、どこの都市とも特定できない、でもどこにでもありあそうな「街」、誰とも特定できそうでできない「私」が語る物語が、無機質ともいえる筆致で綴られる。 前情報として、韓国人の著者が移住先のフランスで、わずか数年(7年?)の滞在期間を経て、フランス語で、要は母国語ではない言葉で書いた小説、ということは知って読んだ。なので、なるほど、それにしては、つまり母国語じゃないにしては、違和感なく書けているなと思いながら読んだ。 「満員のメトロに乗り、乗客の群れに囲まれても、私は透明になって世界にただひとり存在している気分だった。」 ― 「聴覚」 「この街は幽霊都市で、ここで暮らしているうちに私自身幽霊になってしまうのではないかと、独りごちた。そしてすぐさま、実はもしかしたら既に幽霊なのかもしれないと思った。」 ― 「一度」 こうした所在投げな自身の存在感も、異国で暮らす不安や、どこにも属していないかのような根無し草のような感覚が生み出しているのだろうなと思う。そのあたりが、今の「個」の世界観、世相と相まっているのかと思ったりもする。 また、虚無感というか、都市の無機質な感じは、不自由な言語を使っているからでこその効用なのかなと。 ただそれを、韓国人が書いたフランス語を、日本人の訳者が日本語にしたものに、どこまでその幼稚さというか、隔靴掻痒とした思いが表現されているのだろうか?というのは少し疑問に思いながら読んだのも事実。 時折登場する、いわゆる「こなれた」表現を見ると、これ、フランス語でもそんなレベル感の単語、表現を使ったの?と思わんでもない。 例えば、上記に引いた「一度」の中に出てきた 「独りごちた」。 これなんかは、単に、「ひとり言を言った」程度の表現だったのでは?と思ったし、他にも、何度か登場する「重くのしかかる」(「雪」「真珠」)もそう。 親戚に韓国人の女性がいる。日本で暮らすようになって数年で、非常にこなれた日本語を駆使して、日常会話ではまったく違和感なく会話できるが、きっと「重くのしかかる」は彼女は言わないと思うし、「沈黙が立ち込める」「もぬけのから」(「一度」)も使わないんじゃないかなあ。 二度ほど出てくる「耳を聾さんばかりの」(「家出」「真夏日」)などは、もっと簡素な言葉、要は初歩的なフランス語で綴られていたのではないだろうかと、ちょっと訝しげに読んだりもした。余計なお世話なのかもしれないけど。 また、男女の性別が主語だけで明確に規定できないフランス語ゆえのノンバイナリーな空気も今の時代にウケている要因か?と深読みもしたり。これはフランスで、ということではなく日本で、という意味だ。なにしろ、著者の母国で韓国語訳されるより先に、邦訳が出ているのだから(著者は母国語には訳さないとも言ってるみたいだけど)。 ただ、これも、日本語に訳してしまうと性別が分かったりするところもある。 「友人から、目を赤く腫らさないようにしたければ、水を張った洗面台に頭を沈めて泣くのよと教わった。」 ここ、「泣くのよ」、って女性言葉に訳す必要あったかな~。 いずれにせよ、随所にみられる著者ならではの表現、比喩が実にみずみずしく、良い意味で初々しいと思いながら読んだが、それが馴れない母国語以外の言語であるが故のことだとしたら、今後、フランス語がこなれていくに従って、その感性が濁ってきたりするのではなかろうか。そうならなれば良いなと、いらぬお節介もしたくなる、それくらい危うく脆い印象のある作品だった。 どうか話題性だけでなく、今後も感性豊かな作品を出してくれたらと思う。
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短編からなるが、全てがつながっているようなつながっていないような不思議な感覚 余白が多く、いろんな視点から読むことを求められる上質な小説 役者後書きを見ると少しスッキリするが、この本を一回読んだだけでは筆者の本心を掴むことはなかなか難しいかもしれない。 読んでいく途中で、耳が聞こえないんだ。男なのか女なのか。などなど謎が勝手に生まれていくことが心地よい
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どの短編もとても印象的。著者は母国語ではない言葉を使用して物語を語ることで、あえて言葉が溢れすぎないようにしようとする意図があったのか…。限られた言葉を慎重に組み立てたからこそくっきりと浮かび上がってくるものがあるのかなぁ…等々、いろいろと考えさせられた。
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『砂漠が街に入りこんだ日』グカ・ハン 韓国生まれの作者が、渡仏し、母語ではないフランス語で書いた短編集。の日本語訳。 日本語訳を読んでいるのでその本当の妙味はわからないけれど、とてもきれいで、でも淡々としたリアルな描写だった。 母語ではない言語で書くことにより、個人的な感情...
『砂漠が街に入りこんだ日』グカ・ハン 韓国生まれの作者が、渡仏し、母語ではないフランス語で書いた短編集。の日本語訳。 日本語訳を読んでいるのでその本当の妙味はわからないけれど、とてもきれいで、でも淡々としたリアルな描写だった。 母語ではない言語で書くことにより、個人的な感情から切り離せる。物語を書くことは個人的な感情無しにはできないと思い込んでいたので、そうでない人もいるのだという発見だった。 不自由な言語で綴るつたなさ、あやうさ、素直さのようなもの。 「真夏日」がとてもよくて。 とてもリアルな描写にドキドキした。
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『私は考えなしに写真を指でタップする。「…」点が三つ。テキストはそれだけ。十六人がこの写真にいいね!をして、十二人がコメントをつけている。私はあるコメントを読み、もうひとつ別のコメントを読んで、突然、彼女が死んだことを知る』―『雪』 グカ・ハンの文章は散文詩のように曖昧で、思春...
『私は考えなしに写真を指でタップする。「…」点が三つ。テキストはそれだけ。十六人がこの写真にいいね!をして、十二人がコメントをつけている。私はあるコメントを読み、もうひとつ別のコメントを読んで、突然、彼女が死んだことを知る』―『雪』 グカ・ハンの文章は散文詩のように曖昧で、思春期の子供のように手の内を見せまいとする。描かれる背景はすべてもやに包まれ輪郭がぼやけている。時にそれは砂塵であり、雪であり、驟雨であり、湿気でありはするけれど、何かが覆い隠されていることに違いはない。 一切の熱を排したように淡々語る主人公(たち)は、余りに見慣れた世界との繋がりを拒絶するかのように、浮遊しながら生きている。名前を逆に綴るだけで、近しい街が見慣れぬ異郷に感じられてしまうのと同質の違和感が、語られずとも、その生に漂う。 訳者あとがきの中で紹介される作家の言葉。そこにこれらの短篇の印象の核となるものがあるように思う。 『私の語り手たちが表明する苦悩はまず、彼らが威嚇的な世界の中で奮闘している にもかかわらず、その世界は彼らにいかなる手がかりも与えてくれないという事実 に由来しています。その世界には彼らのための居場所はないのです』―『訳者あとがき』 母国を離れて母語ではない言葉でグカ・ハンが紡ぎ出す世界は、どこかしらシモン・ストーレンハーグの描き出す世界に繋がる。それは自分の居る場所に対する手応えの無さ。それは常に奇妙な既視感を惹起する空想の世界。頭の中で、フィリップ・グラスの音楽が静かに鳴り続ける。
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そういえば韓国の小説って読んだことないな たまたま手にした本が 韓国人作家の フランス語による小説を 日本語訳っていう え?なんでよ?wな変化球だったので 買ってみた こういう なんかよくわかんね… って話は好み 何を言いたいのよ?って話 なんかのオマージュ? でも全く知識ない...
そういえば韓国の小説って読んだことないな たまたま手にした本が 韓国人作家の フランス語による小説を 日本語訳っていう え?なんでよ?wな変化球だったので 買ってみた こういう なんかよくわかんね… って話は好み 何を言いたいのよ?って話 なんかのオマージュ? でも全く知識ないからわからん! ってモッキモキするのが好き 買った本屋では 1回も売れなかった本らしい まぁそうかもなって感じの本 そういう本が好きとか 読書を学問にしてる人にはオススメ はっきりくっきりストーリーがないと つまんない認定する方にはオススメできない 星は3つ 文学っちいとこが好みだから
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