百年泥 の商品レビュー
著者の南インドでの日本語教師としての実体験をベースに空想を織り交ぜた小説ですが、全体を通してのテーマがよく分からず、物語に入り込めませんでした。残念。
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◼️石井遊佳「百年泥」 芥川賞。成り行きは分かりやすい、が、この現実、飛翔通勤とか長年泥に埋まってた人が、とかどこかおかしいぞ?笑 1つ前に読んだ芥川賞作家の作品が衒学的でいかにも最近の純文学、ってテイストで、意味分かんないとこはひたすら文を追うことだけに終始したのに対し、こ...
◼️石井遊佳「百年泥」 芥川賞。成り行きは分かりやすい、が、この現実、飛翔通勤とか長年泥に埋まってた人が、とかどこかおかしいぞ?笑 1つ前に読んだ芥川賞作家の作品が衒学的でいかにも最近の純文学、ってテイストで、意味分かんないとこはひたすら文を追うことだけに終始したのに対し、こちらは分かりやすい文体と事情。メインの設定への展開は早い。 悪い男にひっかかり多重債務者となったわたし。返済のため、元夫のあっせんでインド南東部のチェンナイへ渡り、日本企業と取引の多い一流のIT企業でエリート新入社員相手に日本語を教えている。もちろん資格などない。ある日雨季の大雨であたりは大洪水となり、数日後、わたしが会社へ向かうために渡る大きな橋の両側には大量の泥が。住民はそこから人を掘り出して「七年間もどこほっつき歩いてたんだよ」「なんだよ、こんなところで寝てたのか」などと言って生きてる相手と再会を喜んでいるー。そして、わたしと、生徒のリーダー格、デーヴァラージの過去がー。 お読みの通り、どこかおかしなところがあって、特権階級にのみ翼をつけて飛翔通行することが認められており、とはいえ法律違反の暴翔族もいて衝突事故が起きたりする。 途中からファンタジーを現実の目線で見る形に移行する?コミカルで軽いテンポに真逆の、シビアな環境、過去の事情が入る。そのギャップもバランスが良い。そしてなにより、不思議で、いいかげんで、能天気なインドの大衆、人口も多く優秀な若者をたくさん抱える彼の国の神秘さ、深さをも感じさせる。 著者は東大でインド哲学仏教学を専攻し博士課程まで行っている。またネパールやインドで日本語教師もしていたとのこと。自分のベースを活用して描いた物語のようだ。大阪・枚方市出身。 「日本でマクドナルドは<マクド>といいます、はいみなさん大きい声で<マクド>」 もちろん「ク」にアクセントがあるんだろう。言うまでもないが<マクド>は関西特有の短縮系で関東や私の出身の福岡では<マック>と言うはずだ。思わず苦笑、おいおい、まっいっか知らんけど。 まあ最初ちょっと丁寧でない流れかな、回収もないしという気がしたが、展開の速さは好ましいし、全体の雰囲気とテンポを作るもとにはなってるかなと。あとでじっくりと振り返るし。楽しめる純文学でした。
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2017年芥川賞(下半期①) インドでの百年に一度の洪水を元にした話 とにかく忙しく、忙しなく場面が変わる インドでも聞き慣れない南インド、チェンナイ 知らない文化の中にチョイチョイ放り込まれる嘘 飛翔、招き猫とガネーシャの交換 真面目の嘘(法螺)…信じちゃう… 話は橋を渡る間...
2017年芥川賞(下半期①) インドでの百年に一度の洪水を元にした話 とにかく忙しく、忙しなく場面が変わる インドでも聞き慣れない南インド、チェンナイ 知らない文化の中にチョイチョイ放り込まれる嘘 飛翔、招き猫とガネーシャの交換 真面目の嘘(法螺)…信じちゃう… 話は橋を渡る間に百年泥から引っ張り出されるモノを元に話が展開されていく
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うーん、私はあんまり好きな種類じゃなかったな。 ちょっと話も文体もごちゃごちゃし過ぎてるな。 私は結構、簡潔でハードボイルドな文章が好きだからねえ。 最後ふいに哲学っぽくなってアレ?ってなったんだけど、作者がインド哲学仏教学だもの…ってなるかんじ
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
⚫︎感想 設定が大変おもしろかった。著者も主人公も日本語教師ということで、マジックリアリズムに、リアリズムがより濃く感じられた。なんでもありのインドならこんなこともありそうだ…というインド、チェンナイで大洪水のあと、川底にあった百年積もり積もった泥。泥の中から引きずり出される人、物、自らの人生、様々な人々の人生の記憶。本作は橋の片側から片側へ渡る間に主人公が現在過去未来に様々な物や人を通して輪廻を感じるが重たいそれではなく、「どうやら私たちの人生は、どこをどう掘り返そうがもはや不特定多数の人生の貼り合わせ継ぎ合わせ、万障繰り合わせの上かろうじてなりたつものとしか考えられず…」という諦観の軽やかさが通底している。なんでもあり、だけど現実的なところもあるこの小説、私は好きだった。 ⚫︎本概要より転載 豪雨が続いて百年に一度の洪水がもたらしたものは、圧倒的な“泥"だった。南インド、チェンナイで若い IT 技術者達に日本語を教える「私」は、川の向こうの会社を目指し、見物人をかきわけ、橋を渡り始める。百年の泥はありとあらゆるものを呑み込んでいた。ウイスキーボトル、人魚のミイラ、大阪万博記念コイン、そして哀しみさえも……。新潮新人賞、芥川賞の二冠に輝いた話題沸騰の問題作。
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第158回芥川賞受賞作。百年に一度の洪水で泥の山となった橋を会社を目指して渡り始めると物語は次第に現実から不条理な世界へと入って行く。インドという未だ日本人にはどこかな捉えどころのない異国情緒も相まって不思議な作品。
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ファンタジーなのか、と前情報なく読んでいたのでリアルとその境界線が絶妙に構築されていてなるほど、と思った。 構成力と設定の素晴らしさ。 その想像力と点と点とを結んでいく感じ。 唯一無二の作品であると思った。
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この本に出てくる主人公と場所は違えど同じ職業をしている身として、彼女の日本語を教える教室での心労が手に取るようにわかるのだけど、この本の本筋はそこにはなく、インドという国とそこの考えに全く馴染みのない自分でも、そこにある宗教的というか土着的というか、そういう世界観の深さを垣間見る...
この本に出てくる主人公と場所は違えど同じ職業をしている身として、彼女の日本語を教える教室での心労が手に取るようにわかるのだけど、この本の本筋はそこにはなく、インドという国とそこの考えに全く馴染みのない自分でも、そこにある宗教的というか土着的というか、そういう世界観の深さを垣間見ることができる話だった。 百年泥から湧き上がってくる記憶とも過去ともつかない幻想的な物事の中で、主人公と主人公を悩ませる生徒の過去が一際色鮮やかに語られて、そこに何があるという訳もなく、ただ彼らが今どうして彼らであるのかがわかっていく話。橋を渡り始めてから渡り終わるまでに、主人公と学生がこの企業の一教室で出会ったことの不思議というものを体感させらる。 この本の中で一番好きだったフレーズは、『世界はただ受け、おしみなく返事をする』だった。砂浜を歩く主人公の母親が感じた安心、生きているという感触を、こよ一文からひしひしと感じた。
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南インドのチェンマイで若きIT技術者たちに日本語を教えている「私」。 ある日、豪雨が続き百年に一度の洪水が町を襲い、もたらしたものは圧倒的な”泥”だった。 「私」は会社を目指して橋を渡り始めるが、百年の泥はありとあらゆるものを吞み込んでいた。ウイスキーボトル、人魚のミイラ、そして...
南インドのチェンマイで若きIT技術者たちに日本語を教えている「私」。 ある日、豪雨が続き百年に一度の洪水が町を襲い、もたらしたものは圧倒的な”泥”だった。 「私」は会社を目指して橋を渡り始めるが、百年の泥はありとあらゆるものを吞み込んでいた。ウイスキーボトル、人魚のミイラ、そして哀しみも。 新潮新人賞、芥川賞の二冠を獲得した文学小説。 百年に一度の大洪水であふれた泥の中から、登場人物たちの過去を振り返っていく作品です。 チェンマイという具体的な地名が出ており、主人公の「私」も現地IT企業の日本語講師という地に足のついたものであるにもかかわらず、現実と虚構、現在と過去の境が曖昧で、SFのようなファンタジーのような掴みどころのない雰囲気。 言葉選びもストーリー展開も独特な浮世離れした空気感で、読み進めるにつれ幻惑されたような、酩酊したようなふわふわした気分になります。 外国に行った事が無い日本人が、インドのミステリアスな印象だけを固めたような、過去に無くしてしまったものがきっとインドに行ったら見つかるのではと思わせてくれるような、不思議な異国情緒を感じさせるお話です。
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場所は南インド、チェンナイ。百年に一度の洪水によってもたらされた膨大な泥。アダイヤール川にかかる橋を渡ると、泥の中から無くした人や物を探しあて、再会に涙ぐむ、喜ぶ人達の姿で溢れていた。 インドの文化をリアルに描きつつ、ファンタジー要素を隠し絵のごとく違和感なく盛り込んで、圧倒的な...
場所は南インド、チェンナイ。百年に一度の洪水によってもたらされた膨大な泥。アダイヤール川にかかる橋を渡ると、泥の中から無くした人や物を探しあて、再会に涙ぐむ、喜ぶ人達の姿で溢れていた。 インドの文化をリアルに描きつつ、ファンタジー要素を隠し絵のごとく違和感なく盛り込んで、圧倒的な混沌の中から人生の悲喜こもごもをインド哲学と日本の仏教の両方から掘り起こして表現しているような印象がしました。 現在と過去、インドと日本、現実と仮想を交互に行き交う文体は、読みやすくはなかったですが、不思議な世界観でとても面白かったです。インドってすごい!と素直に思いました。 本当にインドでは飛翔通勤してる人達がいるんですか?(いませんよね??笑)
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