コロナ後の世界を生きる の商品レビュー
各界の第一人者が、コロナウィルスについて書いた論考をまとめたもの。 書名は「コロナ後の世界を生きる」であるが、パンデミックの比較的初期に書かれたものが多いため、むしろ、その時点での事実の整理や状況の分析を書いたものも多い。だからといってつまらないというわけではなく、考えさせられる...
各界の第一人者が、コロナウィルスについて書いた論考をまとめたもの。 書名は「コロナ後の世界を生きる」であるが、パンデミックの比較的初期に書かれたものが多いため、むしろ、その時点での事実の整理や状況の分析を書いたものも多い。だからといってつまらないというわけではなく、考えさせられる、あるいは、面白い論考も多い。 個人的には、多和田葉子さんのものが好きだった。 多和田葉子 ■新型コロナウィルス感染が広がり始めてから毎日入ってくる新しいニュースを追うだけで必死で、いつの間にか遠い未来を考えることができなくなっている。これは危険な精神状態だと思う。ニュースは現代を毎日薄切りにして投げつけてくるだけで、歴史的つながりが見えてこない。 ■トランプ政権と中国の対立が深まっているとしても、それはコロナのせいではない。目に見えないウィルスが、世界の状況を見えやすくしてくれたのかもしれない。だから、パンデミックによって世界が変わってしまったというよりも、パンデミックのおかげで把握しやすくなった今の世界をわたしたちがこれからどうしたいのか、ということではないかと思う。 ■コロナウィルスは少なくとも地球環境にいい影響を与えたということになる。また今回のパンデミックは、環境を重視する政策をとると、経済的にどのくらいのマイナスが出るのか、それは一般市民がひどい打撃を受けるほどひどいものなのか、それとも社会が背負っていける程度のものなのかを憶測ではなく、「実験結果」として残せるチャンスでもある。
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しばし、品切れになっていて、きっと多くの人が読んだんだろうな〜。 いろいろな分野の多様な人たちが「コロナ後」について、語っている。なるほどね〜な多様な意見があって、ハッとする新たな視点がある。 にもかかわらず、なんだか、そうだろうな〜という気持ちになってしまうのは何でだろう?...
しばし、品切れになっていて、きっと多くの人が読んだんだろうな〜。 いろいろな分野の多様な人たちが「コロナ後」について、語っている。なるほどね〜な多様な意見があって、ハッとする新たな視点がある。 にもかかわらず、なんだか、そうだろうな〜という気持ちになってしまうのは何でだろう? そんなことを思いながら、最後のクロージングにむけて、藻谷浩介さん、内橋克人さんの論考におおっとパワーをうけとる。そして、最後のマーガレット・アトウッドさんのシンプルなメッセージが心に響く。 「コロナ」本、やっぱたくさんでているな〜。もうちょっと読んでみよう。
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藻谷浩介「新型コロナウイルスで変わらないもの・変わるもの」と多和田葉子「ドイツの事情」は、読む価値あり。 藻谷は「コロナ禍では日本は変わらない」と言う。「日本人の行動を基本的に変革しなかった新型コロナウイルスが、一転して今後の社会を変えていくとは、筆者には信じられない」
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様々な専門家がコロナの現状とこれからの未来について展望。立場や専門は違えども、これまであった問題がコロナで炙り出されただけという論考は共通している。これまでの問題をどのように整理して変えていけばよいかでおのずと答は見えてくる。
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外人の持論中心だった中公新書のコロナ本に比べ、真摯にコロナと向き合う日本人学者などのエッセイ集。コロナについて解釈が分かれるところ(ステイホームの実効性)もそのまま乗せている。結局日本人(もしくはアジア人)の死者が少なかった理由はよくわからないんだな。
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日本人を中心とした24人の著名人の方の、新型コロナウイルスについての世界や国の在り方を各執筆者の仕事の専門性、住んでいる地域性などからの意見が述べられています。 本書の発売は2020年7月17日ですが、執筆時期は5月前後のものが多くやや古い情報もありました。 日本の安倍政権は...
日本人を中心とした24人の著名人の方の、新型コロナウイルスについての世界や国の在り方を各執筆者の仕事の専門性、住んでいる地域性などからの意見が述べられています。 本書の発売は2020年7月17日ですが、執筆時期は5月前後のものが多くやや古い情報もありました。 日本の安倍政権は近いうちに解散総選挙するだろうという意見もありました。 安部首相退陣の理由は、述べられていたことと違い健康上の理由でしたが、私は政治のことは全く無知ではありますが、大事な時期なので、安易に次期首相が決まってしまうのは納得がいかない気がします。 以下、読んで自分が個人的に重要と思った文章をランダムにメモしました。 ・東京オリンピックを7月に実施したいと足掻いていた人たちが、日本の社会に根拠のない楽観主義をもたらした。 ・延期が決定するやいなや首都では感染者の数が急速に増え続けている。 ・参考にすべき歴史的事件は「スペイン風邪」百年前のパンデミック ・感染者の流行は一回で終わらない可能性がある。 ・日本のPCR検査数は、他の国と比べると圧倒的に少ない。 ・アベノマスクは数十億円。 ・一般的に社会政策としてのワクチン接種は、その安全性は十分に確保されたうえで始められるか、それでも、個人差もあって、必ず何パーセントかの確率で、何らかの不幸な例を生み出す。 ・ドイツではメルケル首相がコロナ危機への対応によっていつも以上に国民の信頼を得ている。なぜどういう政策をとるのかと明白にその都度わかりやすく落ち着いて説明してくれるからだろう。彼女の演説には、物理学者としての冷静さと、子供たちを守るためなら何でもしようというお母さん的な強さと温かさが感じられる。 ・この災害はただちに終わらず、今後もだらだらと続いて、第二波、第三波の流行が襲うかもしれず、鎮圧するのはなかなか難しい。 ・戦後政治史の中でもこれだけ知事がいろいろなことを言ったり、やっていることを見せようとして頑張ったことは稀である。(東京の小池百合子、大阪府吉村洋文、北海道鈴木直道各知事ら)そういう知事のような人を首相に選出すべき。 ・今回のコロナの影響による困窮はせいぜい1,2カ月で収まると思っているから公共料金補助や家賃補助、一人当たり10万円といった「平時」では考えられないような政策が打ち出されているが、これが長期化すれば人の考え方も変わるであろう。今回の緊急政策において、コロナウイルスの影響とか厳しい経済状況といった枕言葉が述べられているが、そういったことは関係ない困窮そのものだけを見て、国民の権利である「健康で文化的な最低限度の生活」を淡々と保障して欲しい。 ・ロックダウンする都市が増える状況の中、スポーツ関係者は「(五輪)開催に向けて努力する」という強硬な姿勢を見せ続けた。おそらく一般人から見れば「現実が見えているのか」「この状態でできると思うのはおかしい」と映ったに違いない。オリンピックメダリストは著名人であるが、文化人・教養人としては少し危うい。 ・ステイ・ホーム以外の方策はない。 ・エッセンシャル・ワーカーが働いてくれるからこそステイ・ホームができるのだということをみんなが知る。 ・収入減になる社会的弱者への所得の再分配。 ・過去三度のパンデミックは全てグローバリゼーションを加速し、国際協調を生み出している。 ・人類が全盛期を過ぎて衰退期に入ったのではないかという可能性。コロナウイルスだけでなく、この10年ほどの間に襲った大災害や温暖化をはじめとする環境の悪化は著しい。そもそもウイルスの蔓延は環境破壊に由来すると訪れる。 ・今回の新型コロナウイルス蔓延では、一面では国家や一部の人たちのエゴの突出が顕著に見られるが、他面ではグローバル化した状況の中で、国境を超えてその危機感を共有することで、相互に情報を公開し、共同して対処できる道も開かれつつある。その危機感を今回だけの特殊事例として終わらせるのではなく、それはあくまでも総体的な危機の一部に過ぎないものとして、一層共同して対処できなければ、終末は事実となってしまうだろう。 最後になりましたが、今、国内に今までにない大型の台風がきて避難されている方もいらっしゃるかと思います。どうぞ全国の、皆さまが安全に過ごされますようにお祈りいたします。
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イマココで起きている問題、少し未来のパースペクティブ、大きな円環の中での位置づけ。 コロナ禍においての雑多なコラムには、頷けるものも眉を顰めたくなるものもある。驚くような視点や、執筆から数カ月しか経過していないのに陳腐化したものもある。 ここになにか一つの正解があるわけではなく、...
イマココで起きている問題、少し未来のパースペクティブ、大きな円環の中での位置づけ。 コロナ禍においての雑多なコラムには、頷けるものも眉を顰めたくなるものもある。驚くような視点や、執筆から数カ月しか経過していないのに陳腐化したものもある。 ここになにか一つの正解があるわけではなく、共感できるできないにも差異がある。だが、近い将来にはわからないがイマココでは読む意義のある一冊だ。
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各界の著名人によるコロナに関する論評。様々な考え、思いがあることがよくわかり、自分自身の考えの整理につながった。 政治のダメさ加減に関する論評が多かったのも印象的。 藻谷浩介さんの、「コロナで日本は変わらない」の意見は斬新。
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もちろん、村上先生の名があったからすぐに購入した。先生がいまの状況をどう考えていらっしゃるかが知りたかった。しかし、まあそれは本書のほんの一部で、編者として他の論考に影響しているとはあまり感じなかった。本書はいわゆる文系の論者ばかりで、まあそういう考え方もあるのかな、というくらい...
もちろん、村上先生の名があったからすぐに購入した。先生がいまの状況をどう考えていらっしゃるかが知りたかった。しかし、まあそれは本書のほんの一部で、編者として他の論考に影響しているとはあまり感じなかった。本書はいわゆる文系の論者ばかりで、まあそういう考え方もあるのかな、というくらいにしか受けとめられていない。その中で、貧困についての阿部彩さんの文章には説得力があった。ふだん貧困層へのライフラインの援助を申し出てもなんら対応してもらえない。それが今回の緊急事態ということで対応されるようになった。そのことを、さもすごいことをしているかのように言う政治家に対し、「それ、あなたが言う?」と感じている筆者の気持ちはよく分かる。さて、アベノマスクはボランティア団体に送ってしまったが、給付金は家族あわせて40万円ありがたく受け取った。我が家は大きな収入源はないので(賞与は減ったが)せっせと余分な消費に回している。お金はなければ刷ってばらまけばよいのにと安易なことを考えている。国家権力による監視体制はどうか。これも、見られて困ることはしていないから、勝手にいつでも見ていて、なんて思ってしまう。これって、あまりにも世間知らずということなのでしょうか。何が問題なのかうまく呑み込めていない。私も今回のことでいくらかは世の中のことを考えてみるが、考えたところでどうなるわけでもなく、ふつうに日々の生活を送っている。変わったのは、帰宅後、食事をしてお風呂、という順番を逆にしたということ、それから、あれほど苦手だったマスク(花粉症の季節だけはがまんしてつけていた)が平気になったこと、といったところだ。まだあった。電車の中ではつり革・手すりは持たない。エレベーターなどのボタンは指の背側で押す。そして、電車の中でマスクをしていない人、スーツケースを持ち運んでいる人、などを避ける。マスクなしで大声で会話している人など見ると腹立たしい。「寛容」でなければいけないけれど。
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『コロナ後の世界を生きる』というタイトルとは裏腹に、終息が見えない状況の中で書かれている「私たちの提言」は、ポストコロナなどという、ある意味では楽観的でシニカルな新語とは裏腹な、今を考える、「すなわちコロナ真っ只中」をどう生きるかについての、様々な立場からの言葉が多い。編者の意図...
『コロナ後の世界を生きる』というタイトルとは裏腹に、終息が見えない状況の中で書かれている「私たちの提言」は、ポストコロナなどという、ある意味では楽観的でシニカルな新語とは裏腹な、今を考える、「すなわちコロナ真っ只中」をどう生きるかについての、様々な立場からの言葉が多い。編者の意図に沿ったものとなったかはさておき、である。 立場を越えて、とは言うが、各人が選びとった物語の核は多様でありながらも共通項も見え、誰の言葉が自分にとって一番近いだろうかと頭を整理するのには打ってつけの本である。そのうえで、多和田葉子が書いているように「パンデミックによって世界が変わってしまったというよりも、パンデミックのおかげで把握しやすくなった今の世界をわたしたちがこれからどうしたいのか、」ということなのだと思う。 隈研吾の言葉に幻滅(反動ではあるが)し、生保会社の創業者や地域エコノミストの論考には呆れつつ、一方で内橋克人の話に胸をなでおろす、というのが読後の感想なのだけど、さておき、エビデンスの暴力性の中で、それではどう生きるのかを考える一助としたい。
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