日本SFの臨界点[恋愛篇] の商品レビュー
恋愛(だけに限らず人のつながりも)主軸に置いたSF愛の塊とも言えるSFアンソロジー。 怪奇編を随分前に読んだが、恋愛編も良い作品が多く大変楽しめた。 読んでいて思ったのは私自身が歴史改変ものが好きだということ。知る歴史ベースにSFの世界になっていくことで想像がしやすく、私のような...
恋愛(だけに限らず人のつながりも)主軸に置いたSF愛の塊とも言えるSFアンソロジー。 怪奇編を随分前に読んだが、恋愛編も良い作品が多く大変楽しめた。 読んでいて思ったのは私自身が歴史改変ものが好きだということ。知る歴史ベースにSFの世界になっていくことで想像がしやすく、私のようなSFはたまに読みますくらいの人にとっつきやすいのかもしれない。選出はマニアックなのだろうが、だからこそ新たな出会いがあるのがこういったアンソロジーの良いところだ。G線上のアリアが私には刺さっていた。 本書の後書きでは怪奇編同様アンソロジーガイドもある。さらなる出会いを求めてそれらを読むのも良さそうだ。
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恋愛編? 人と人との繋がりには色々な種類がある。 恋とか愛というのもその中のもの。この本にある物語には、それぞれの繋がりがあり、一括りに恋愛と束ねるのは難しいが、人間同士の関係がメインなので、広義の恋愛、人間讃歌と思っていいかな。
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9つの短編が収録されている。難解な作品は少なく、どれも楽しく読めた。「恋愛篇」とあるが、恋愛要素は少ない。 『死んだ恋人からの手紙』は異空間の仕様で手紙の時系列がバラバラという設定が面白い。戦争に出ている恋人からの手紙によって、異空間からの司令が時系列がムチャクチャなのでよくわ...
9つの短編が収録されている。難解な作品は少なく、どれも楽しく読めた。「恋愛篇」とあるが、恋愛要素は少ない。 『死んだ恋人からの手紙』は異空間の仕様で手紙の時系列がバラバラという設定が面白い。戦争に出ている恋人からの手紙によって、異空間からの司令が時系列がムチャクチャなのでよくわからない行動を起こしてしまっていたり、意思疎通が測れない異星人と不条理な戦争を起こしてしまったりと…。 『人生、信号待ち』は高速道路の下で信号待ちをしている間に、家庭が築かれたり子供ができたりと語り手の気づかない間に時間がぱっと進む不思議な世界観。 "彼はぎょっとして立ち尽くした。「ああ、そやったな…」" 『アトラクタの奏でる音楽』は百合。
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やっと読了。円城塔作品は正直訳が分からなかったのでまた落ち着いてトライしたい……。伴名練氏が作中解説と編集後記で度々触れているように、人間同士の男女の恋愛に偏っている点は気になったものの、「死んだ恋人からの手紙」「人生、信号待ち」「月を買った御婦人」がかなり好みだった。全体的に玄...
やっと読了。円城塔作品は正直訳が分からなかったのでまた落ち着いてトライしたい……。伴名練氏が作中解説と編集後記で度々触れているように、人間同士の男女の恋愛に偏っている点は気になったものの、「死んだ恋人からの手紙」「人生、信号待ち」「月を買った御婦人」がかなり好みだった。全体的に玄人向けの作品が多いという感覚だが、SF初心者に向けたガイドがついているのはありがたい。
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伴名練さんの作品はまだ読んでいないのだけど、若いのにこれほど充実したアンソロジーを編めるなんてすごい。書き手であり、マニアックな読み手であるらしい。著者紹介も熱がこもっていて、「ぜひ短編集を」という毎度の要望につい頷いてしまう。 『G線上のアリア』(高野史緒)、『月を買った御婦...
伴名練さんの作品はまだ読んでいないのだけど、若いのにこれほど充実したアンソロジーを編めるなんてすごい。書き手であり、マニアックな読み手であるらしい。著者紹介も熱がこもっていて、「ぜひ短編集を」という毎度の要望につい頷いてしまう。 『G線上のアリア』(高野史緒)、『月を買った御婦人』(新城カズマ)が好きかな。どちらも歴史改変もの。私には目新しいジャンルで面白かった。 「免罪電話サーヴィスがあれほどまでに威力を発揮したのは、それがまさに人間の声によるものだったからだわ。」 中井紀夫の表題作も良かった。
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短編アンソロジーは、いろんな作家の作品に触れられて、お得感があります。 いずれも面白く読ませてもらいましたが、特に気に入ったのは、藤田雅矢「奇跡の石」と小田雅久仁「人生、信号待ち」です。 難解で理解できてないんだけど、なぜか面白い、というSFの懐の深さを感じました。
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藤田雅矢さんの不思議な石の物語が良かった なかなかファンタジーだ。恋愛ものを感じさせる表紙に腰が引けるが、中身はバラエティに飛んでおり楽しめる。半分ほどでギブアップしたけれど、このシリーズなかなか良いな。
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恋愛篇と言ってもコテコテのラブストーリーみたいなものはなく、基本はSF。ロマンス要素やほっこり要素があるSF、というものが集められてる。高野史緒と小田雅久仁が好きだった。(アンソロジーを読む時の一番の収穫は、好きな作家を発見すること) 「怪奇篇」より、だいぶ良かったです。 中井紀夫「死んだ恋人からの手紙」★★★★☆ - はるか遠く離れた星にいる主人公が地球にいる恋人に手紙を送る。亜空間通信は送信した順で到着するのは限らない、という設定が面白い。また高次元な観点で見れば、生死も一時の状態で、繰り返しているのではないかという考え方も良い。 藤田雅矢「奇跡の石」★★★★☆ - 超能力を持つ人が多く住むという東欧のロベリア(という架空の国)へ訪れた主人公が出会った姉妹の話。音や味など五感を結晶化させることができる能力。美しい雰囲気が漂うSF (恋愛物語ではない) 和田毅「生まれくる者、死にゆく者」★★☆☆☆ - ホッコリ系。産まれかけの子と死にゆく祖父。 大樹連司「劇画・セカイ系」★☆☆☆☆ - ラノベっぽいラブコメSF。 高野史緒「G線上のアリア」★★★★☆ - 高野史緒作品はいくつか呼んだ短篇はあまりハマらなかったものの『カラマーゾフの妹』で食らった。こちらも歴史改変テイストで、ある意味既存の題材(既存の小説や史実)にフィクションや創作を織り込むのが得意な作家のようだ。 - この物語の世界では12世紀ごろから電話が発明されている。古いタイプの電話機ではあるものの、それはインターネットのように世界をネットワークで繋げていて、更に電気工学なんかもあり、なんなら主人公の一人は元ハッカーだ。史実に登場する人物の名前も多数出て来て面白い。 扇智史「アトラクタの奏でる音楽」 - 百合テイストは得意じゃないためスキップ。 小田雅久仁「人生、信号待ち」★★★★★ - 面白い。小田雅久仁作品を読むのは短篇3本目くらいだけど全て面白い。他2本は怪奇ホラーだったけど、こんなロマンチック系も書けるとは。恋愛色は強すぎずで程よい。 - 2つの横断歩道に挟まれた高速道路の高架下で赤信号に挟まれた男女。ラブコメでも始まるのかという雰囲気の中、なぜか赤信号が異常に長いことに気づく。時間の流れが急激に加速し、赤信号のうちに数十年の人生が繰り広げられ、最後に 無事横断歩道を渡り、(恐らく)人生を閉じる。 円城塔「ムーンシャイン」★★★☆☆ - 数字に対する共感覚を持っている少女の話(だということも伴名練の解説があったからわかった) - 円城塔の作品は理解できないことが多いので低評価にしがちだが、それは自分の読解力や想像力がついて行けてないからという自覚もある。それでも読み飛ばさず頑張ってみたくなる。 新城カズマ「月を買ったご婦人」★★★★☆ - 19世紀、令嬢に5人の男性が求婚する、という竹取物語の展開。「G線上のアリア」同様、時代に似つかわしくない技術 (ロケット開発) が登場するタイプ。 - ラノベ出身なだけあって、文章は読みやすい。
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円城塔「ムーンシャイン」で止まってしまったがようやく読了。ムーンシャインは難解…というか文字は読んだが理解できなかった…のでちょっと別枠で。 ただどの短編もとても良かった。特に印象的なのは「劇画・セカイ系」、いやこれは刺さる人に刺さるでしょ。世界を救うために消えた幼馴染みが時を超えて帰ってくる。「青春のアフター」に近くも別解。 「生まれくる者、死にゆく者」、「人生、信号待ち」も印象的。 あとは百合SFの「アトラクタの奏でる音楽」。世界中の空間ログにタグづけされている世界?での研究。関係性…
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2020-09-03 「日本SFの臨界点[恋愛篇]」読了 当たり前といえば当たり前なのだが、怪奇篇より美しいものがめだった。例えば「ムーンシャイン」何が書いてあるのか半分以上解らないけれど、美しい。
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