1,800円以上の注文で送料無料

京都に女王と呼ばれた作家がいた の商品レビュー

3.8

24件のお客様レビュー

  1. 5つ

    4

  2. 4つ

    10

  3. 3つ

    4

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    1

レビューを投稿

2020/09/24

花房さんも書かれていたが、ちょうど私も思っていたところだった。 本屋さんに山村美紗の本がない、と。 サスペンスドラマの印象が強く、本は読んだ事がなかった。 1冊だけ、京都を紹介する本は持っている。 そしてご主人の存在を初めて知った。 西村京太郎さんとの事は知っていたが、夫婦で...

花房さんも書かれていたが、ちょうど私も思っていたところだった。 本屋さんに山村美紗の本がない、と。 サスペンスドラマの印象が強く、本は読んだ事がなかった。 1冊だけ、京都を紹介する本は持っている。 そしてご主人の存在を初めて知った。 西村京太郎さんとの事は知っていたが、夫婦ではないと知っていたし、そんなに深く考えた事はなかった。 それから紅葉さんの他にもお子さんがいらしたのは知らなかった。 出版業界が一番輝いていた時代を生き抜いた、まさに女王。 こんなにも誰もが頭が上がらない方だとは思いもしなかった。 弱さを隠して強がっていたんですね。 それをよく知る2人の男性に愛されて、幸せだったのでしょう。 きっといろいろ苦しい思いもされてはいるでしょうが。 いろいろ読んでみたくなりました。

Posted byブクログ

2020/08/17

東京都庁に根を張る女帝・小池百合子が話題となる中、京都の女王と呼ばれた作家は山村美紗だそうだ。 山村美紗と言われてもなんとなく聞いたことはあるがピンとは来なかったのだが、「山村美紗サスペンス」というよくやっているドラマの番宣を思い出して「あーあの山村美紗ね!」となる。ついでに西村...

東京都庁に根を張る女帝・小池百合子が話題となる中、京都の女王と呼ばれた作家は山村美紗だそうだ。 山村美紗と言われてもなんとなく聞いたことはあるがピンとは来なかったのだが、「山村美紗サスペンス」というよくやっているドラマの番宣を思い出して「あーあの山村美紗ね!」となる。ついでに西村京太郎は作家という認識はしっかりあるが、そちらも「西村京太郎サスペンス」というドラマの番宣フレーズによって記憶されているのだと思う。 そんな山村美紗を知る世代も減り、紙の本全盛期の申し子とも言える存在だった山村美紗の記憶が世の中から消える前に彼女の一生を辿ったノンフィクション本でした。長く連れ添った旦那もいながら、西村京太郎というパートナーも隣接する家に住まわせ華麗なる一族ばりに不可思議な生活を送っていたミステリー作家の生涯は彼女への予備知識がなくともかなり楽しめる内容でした。 バラエティにもよく出る女優の山村紅葉さんが彼女の娘とはつゆ知らずでしたが、売れっ子作家である母が書いた原作ドラマに主演するというのも凄い話。さぞかし苦労とかもあっただろうにそっちの話も興味があるな。 と京都にルーツがある身として、少しは山村美紗も西村京太郎の本も読んでみようと思った次第です。 華やかな和柄が本のカバーとなっているが、西陣織の紋様のようです。

Posted byブクログ

2020/08/15

山村美紗といえば、京都を舞台に数々のミステリー作品を執筆し、ベストセラー作家として名を馳せた存在であり、近年はTwitterでも話題になった正しい京都弁「死ねどす」の創始者としても知られる。そんな彼女の生涯を2人の男性と共に描いたノンフィクションが本作である。 その2人の男性と...

山村美紗といえば、京都を舞台に数々のミステリー作品を執筆し、ベストセラー作家として名を馳せた存在であり、近年はTwitterでも話題になった正しい京都弁「死ねどす」の創始者としても知られる。そんな彼女の生涯を2人の男性と共に描いたノンフィクションが本作である。 その2人の男性とは、夫であり彼女の死を看取った山村 巍と、彼女との色恋沙汰が噂されたミステリーの巨匠、西川京太郎である。この2人の男性との関係性を軸に、山川美紗という作家の生涯を追っていくわけだが、この奔放華麗な生涯は事実とは思えないくらいに華々しく、ドラマチックでもある。 特に夫である山村 巍は、黒子として献身的に山村美紗を支えつつ、その死後には油絵を習得して、彼女の作品を残すようになる。そんな夫の静かな愛情が心に残る。

Posted byブクログ

2020/07/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

例えば20代の人でも「山村美紗」という名前を聞けば「二時間サスペンス」を思い浮かべる。 あるいは「紅葉さん!」と。 実際には山村美紗が亡くなってすでに24年が経とうとしているのに。それだけ日本のサスペンスドラマには欠かせない作家だったということだろう、それはもう今さら言うまでもなく。 全盛期の数字を見ると驚愕する。そんなに本って売れていたんだ、と信じられない数字が並ぶ。 本が一番売れていた時代。そんな時代を命がけで、全力で駆け抜けた一人の小説家。語られるエピソ―ドのすさまじさよ。ある意味それが許された時代だったのだろう、とも思う。 年間11冊の本を出す、って、それは、ほぼ毎月ってことで、しかもミステリってことはそれだけのトリックを持っていなければならないわけで、そりゃもうすごいとしか言いようがない。 けど、これだけ書いても「まだまだ書きたい!時間が足りない!」とか「新しいトリックを思いついた!」と言い続けていたというのだから恐るべきことだ。 そんな山村美紗と西村京太郎の関係といえば、文壇界ではタブー中のタブーだ。それをあえて今、世に出すという。なぜ、いま? 例えば、ものすごく失礼な言い方だけど、夫であった巍氏や、西村京太郎に何かあった、というタイミングだったり、未発見の書簡が見つかったとか、都市伝説でもあった地下トンネルが発見されたとか、そういうことはなにもないのに、なぜ、いま、なのか。 巍氏も西村京太郎氏も山村美紗の死後再婚し、それぞれに幸せに暮らしている。娘たちもそれぞれに平穏に暮らしている。なのに、なぜ、いま、なのか。 けれど、本が生まれる、というのはそういうことなのかも。すべて、何かのタイミング。 膨大な参考資料を見ると花房さんのこの本に賭ける意気込みや使命感や覚悟というものが伝わってくる。 生半可では書けないものでもあるし。 ならば、というか、だからこそ、というか、巍氏と西村京太郎と山村美紗の不思議でいびつで、だけど安定した三角関係の「本当のこと」をあぶりだしてほしかったという気もする。 西村京太郎の二転三転する証言の意味、本当はどうだったのか。 もしかすると、書けないものを見つけてしまったのか、だから最終的に「藪の中」で終わらざるを得なかったのか。だとしたら、西村京太郎の『女流作家』『華の棺』に対する「小説」としてそこを描く手もあったのでは… と書きながら、でも、それって本当に必要なことなのか、とも思う。 二人が男女の関係だったとして。その関係が30年続いていて、それを目の前で夫はずっと見ていたとして、それが、「トリックの女王」と呼ばれ死後20数年たってもまだドラマの原作者としてその名を遺す山村美紗に、何の関係があるというのだろうか、と。 山村美紗という女がいた。小説家としての業、女としての性に命ごとからめとられた一人の女がいた。 それ以外、何の必要ないのかもしれない。

Posted byブクログ