京都に女王と呼ばれた作家がいた の商品レビュー
1996年に65歳で死去したミステリーの女王、山村美紗の生涯をたどる筆者初のノンフィクション。副題がふたりの男。京都・東山の霊山神社の近くで隣同士で居を構えた大作家、西村京太郎、そして影で支え続けた夫で東山高校教諭の巍氏との関係性が主題になっている。西村京太郎との関係は、結局本...
1996年に65歳で死去したミステリーの女王、山村美紗の生涯をたどる筆者初のノンフィクション。副題がふたりの男。京都・東山の霊山神社の近くで隣同士で居を構えた大作家、西村京太郎、そして影で支え続けた夫で東山高校教諭の巍氏との関係性が主題になっている。西村京太郎との関係は、結局本人取材(湯河原の西村京太郎記念館で本人と立ち話した程度)がかなわず、男女関係があったか明らかにならない。本人は「面白い人だった」と回想するのみだ。山村を題材に西村が書いた「女流作家」「華の棺」の出版前後に西村が受けたインタビューも男女関係があったとも、なかったとも話しており、分からない。作者は、西村との関係が世間で噂される中、黒子として支え続けた巍氏には取材しているようだが、あまり濃密なエピソードはない。西村邸と山村邸の間に秘密地下通路はなかったということぐらいか。また文壇に出る際には、松本清張の心を掴み、足がかりにしたこともわかった。 あとは山村の父親、木村常信は祇園出身で、京大法学部卒で、戦後は京大教授を務めたこと、母方のみつは伏見出身で、俳優の長谷川一夫といとこ同士なこと(後にノンフィクションを出版)、長者番付で、西村がダントツの一位で、京都在住では山村もその次につけていたことなど。最後は帝国ホテルで執筆中に、半ば過労死的に急死したこと、娘の山村紅葉は早大卒で、結婚して国税局を退職した後、女優になったこと、山村の墓は泉涌寺の塔頭・雲龍院にあること、などがふーんと思った。 出版社の担当編集を招いての派手なパーティー、そして小説誌に自身の名前が大きく載っていないと恫喝するなど、なかなか押し出しが強い人だったのは想像がつく。作品が売れても、通俗的だとか文学的でないとかの批判がつきまとったことも丁寧に説明してある。 山村が死んだ1996年は、出版物の売り上げが最高だった年だったという。流行作家のあり方として、もはや山村、西村、そして赤川次郎のような存在というのは、今後ありえないのだろうと思わされた。大作家である西村の怒りを恐れて、本書が西日本出版というマイナー出版社からしか出せなかったことも、いずれ笑い話になるのではないか。
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名前だけはよく知っていた作家 山村美紗について書かれた評伝。 恥ずかしながら、西村京太郎や松本清張との関係は全く知らなかった。 一番関係値があった、出版関係者への取材は出来たのか気になる。
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正直言って、読みたいけれどそっとして置いても良い内容の本だった気がします。海外のミステリしか読まなかった私が読んだ国内ミステリは、山村さんの作品だけでした。舞妓シリーズが好きで、探して読みましたっけ。ご主人の描かれた絵は、少し怖くて、亡くなって、傍らに他の女性を置いて山村さんを描...
正直言って、読みたいけれどそっとして置いても良い内容の本だった気がします。海外のミステリしか読まなかった私が読んだ国内ミステリは、山村さんの作品だけでした。舞妓シリーズが好きで、探して読みましたっけ。ご主人の描かれた絵は、少し怖くて、亡くなって、傍らに他の女性を置いて山村さんを描くというのは、まるで西村京太郎氏と美沙さんの関係に、誰も入れなかったことの合わせ鏡のように見えました。死んだ彼女は、新しい奥様との間には入れないのですから。深い愛というより、妄執のような重さを、全体に感じてしまうのは、ちょっと申し訳ない気がしましたね。 そういう印象を拭うために、淡々と書かれた精緻な評伝ですが、内容が衝撃的であるわりに、もうひとつ面白くなっていない気がしましたので、途中で中断しました。覗き見してるようで、自分が嫌になってしまったのです。
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山村美紗の生涯、興味深かった。 松本清張と西村京太郎との関係に驚き。 したたかにミステリー作家として、 時代を生きた人だった。 夫との関係も不思議だけど、、、、。 それだけ尽くしてもらえるなんて、凄い
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完全にミーハー気分で読んだ。 山村美紗も西村京太郎も読んだことはないし、ドラマもチラッと一瞬横目で見るくらいでしかなかったのだが。 京都、それも私の得意な?東山と伏見がメインで読んでいてうれしかった。 ご主人がいらしたとはホントにビックリした。2人の男性の支えがあったとはいえ、精...
完全にミーハー気分で読んだ。 山村美紗も西村京太郎も読んだことはないし、ドラマもチラッと一瞬横目で見るくらいでしかなかったのだが。 京都、それも私の得意な?東山と伏見がメインで読んでいてうれしかった。 ご主人がいらしたとはホントにビックリした。2人の男性の支えがあったとはいえ、精力的な執筆、セルフプロデュースの力、すごい人だったんだなぁと思う。
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山村美紗というとミステリの女王として名をはせた名手である。 が、死後20年になることも驚きだし、今本が手に入りにくい状況だというのも驚きだった。 これを読むまでは、天才型の華やかな作家さんだと思っていたのだが、ここまで身を削って書いていたのか……とぞっとする。鶴の恩返し...
山村美紗というとミステリの女王として名をはせた名手である。 が、死後20年になることも驚きだし、今本が手に入りにくい状況だというのも驚きだった。 これを読むまでは、天才型の華やかな作家さんだと思っていたのだが、ここまで身を削って書いていたのか……とぞっとする。鶴の恩返しでつうが羽を使うようことすら生ぬるく思えるような、生き方やスタイルや何もかもを売れる作家になるために費やすという割り切り。凄まじいとしか言いようがない。 西村京太郎視点というのも読んでみたくはある……が、さて、男性から見た彼女はいかがなものなんだろうか。 ある一時代を築いた山村美紗。もう一度読んでみたくなる。
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今尚、原作推理小説が読まれ、そのテレビドラマ化される作家、山村美紗の評伝。彼女を取り巻く人々、特に夫と生涯の作家としてのパートナー西村京太郎との関係などを親族や関係者への取材を通して描く。 バブル経済がもてはやされた時期に京都という日本人なら誰もが憧れをもつ土地を舞台に推理小説を...
今尚、原作推理小説が読まれ、そのテレビドラマ化される作家、山村美紗の評伝。彼女を取り巻く人々、特に夫と生涯の作家としてのパートナー西村京太郎との関係などを親族や関係者への取材を通して描く。 バブル経済がもてはやされた時期に京都という日本人なら誰もが憧れをもつ土地を舞台に推理小説を描き続けた。京都を「現在」の姿と歴史深い土地という二つの観点から取り上げ作品にした功績は大きい。また女流の推理作家の草分け的存在の一人である。 ミステリアスな部分もあった山村美紗の人生に切りこんだ作品だ。
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ミステリーの女王山村美紗。西村京太郎と存在を消した陰の夫。三人の関係を中心に描くベストセラー作家の壮絶な生き様。 凄まじい多作、数多くのサスペンスドラマの原作。山村美紗は超売れっ子。しかし新人賞など賞を逃したコンプレックス、売れなくなる不安、編集者を集めたますパーティー、女王の...
ミステリーの女王山村美紗。西村京太郎と存在を消した陰の夫。三人の関係を中心に描くベストセラー作家の壮絶な生き様。 凄まじい多作、数多くのサスペンスドラマの原作。山村美紗は超売れっ子。しかし新人賞など賞を逃したコンプレックス、売れなくなる不安、編集者を集めたますパーティー、女王のように振る舞う姿。62歳にして帝国ホテルのスイートルーム執筆中に逝去する壮絶な人生が描かれる。 山村美紗と西村京太郎は京都で隣合う大豪邸に暮らす。二人の関係は疑われるが、大のベストセラー作家二人、出版社はそのことには触れられない。タブーを書けたのは唯一「噂の眞相」だけだったというのが面白い。読んでから良く見ると本書の出版社はマイナーな西日本出版社。 売れなくなる恐怖からひたすら創作に没頭する姿、作家の業ともいえるだろう。晩年の林芙美子と似ている。 京都という保守的な土地、そこを舞台とした多くの小説。「京都で人が殺されてないところはない。」とまで言われる。 あるベストセラー作家の情念を描いた素晴らしいノンフィクションでした。
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京都のミステリーの女王のミステリーは、山村巍(たかし)という夫の存在でした。妻の才能を信じ、その才能を持って自分の人生を全うすることにすべてを捧げた人。妻と西村京太郎との関係に微動だにせず(したかもしれないけど…)、妻の死後、その面影を追って肖像画を描きまくり、そのモデルとなった...
京都のミステリーの女王のミステリーは、山村巍(たかし)という夫の存在でした。妻の才能を信じ、その才能を持って自分の人生を全うすることにすべてを捧げた人。妻と西村京太郎との関係に微動だにせず(したかもしれないけど…)、妻の死後、その面影を追って肖像画を描きまくり、そのモデルとなった妻に似た三十九歳年下の女性と結婚した人。本書には彼の絵が掲載されていますが、なんか異様なエネルギーを感じ、つい彼の顔を見てみたい、と検索してしまいました。そこには高校教師として定年まで勤め上げたというプロフィールにふさわしい穏やかそうな小柄な男性が確かに山村美紗に似ている新しい妻と微笑んでいました。著者でも書き切れない「ある愛の詩」が美紗と巍の間にあったのでしょう。この本のもう一つの陰の物語は、出版社と作者の関係です。書籍の販売のピークは1996年で、それまでは出版社にとって山村美紗や西村京太郎のようなベストセラー作家はまさに触ったものをきっとすべて金に変えてしまうミダス王。しかし、その後激減を続ける出版界においても本書の出版がタブーなのだとしたら、それもすごい話だと思います。出版社の期待に死の直前まで全力で答えようとし、一方で自分の存在感維持のために無理難題を押し付ける、京都のミステリーの女王は紙の時代のラストエンペラーだったのかもしれません。ページ数は薄い本ですが、濃厚な一冊でした。
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賞をとれなかったことが山村美紗を こんなにもバイタリティー溢れる人に なしあげたとは 松本清張との子弟話や 西村京太郎との戦友とも愛情とも言えない関係性 山村美紗がなくなった96年 翌年に阪神大震災があり それに呼応するように 書籍の販売数がガクンと落ちる 様々な理由が重なっ...
賞をとれなかったことが山村美紗を こんなにもバイタリティー溢れる人に なしあげたとは 松本清張との子弟話や 西村京太郎との戦友とも愛情とも言えない関係性 山村美紗がなくなった96年 翌年に阪神大震災があり それに呼応するように 書籍の販売数がガクンと落ちる 様々な理由が重なった結果だと思うが 彼女ほどの仕事量と冊数を出さなくなったことが 出版不況に関係していると知って もう無理だなと思う反面彼女にはかなわない方法で立ち向かわなければとも思う
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