人は悪魔に熱狂する の商品レビュー
そもそも、人間は合理的ではない。合理的に考えれば選ばないような選択肢を自ら拾ってしまう生き物なのだ。このようなバイアスまみれの人間心理の究明を目指しているのが行動経済学である。 人間には善と悪の心があり、善が悪に常に勝つわけではない。 世の中のヒット商品は人間の煩悩にまみれた悪の...
そもそも、人間は合理的ではない。合理的に考えれば選ばないような選択肢を自ら拾ってしまう生き物なのだ。このようなバイアスまみれの人間心理の究明を目指しているのが行動経済学である。 人間には善と悪の心があり、善が悪に常に勝つわけではない。 世の中のヒット商品は人間の煩悩にまみれた悪の部分を突いてヒットさせていることに気がつくべきだ。 食べ放題は人間の生理的欲求を刺激するし、FacebookやTwitterのいいねは人間の誰かに認められたいという承認欲求を刺激している。 怒りの感情も人間の悪の部分に語りかける。 怒りは社会を動かすチカラになる。 しかし、怒りやマイナスの言葉が説得力を持つのは発言者が努力家であることが前提である。 手を抜くことは人間の持つ悪のひとつであることを認識すべきである。必ずしも努力し続けることが善ではない。バランスよく努力することが、新たなアイデアを生むのである。手を抜くという人間の本能を理解すべきである。 新しい技術がすべてを変えてしまうと心配しすぎないようにする。不安や苛立ちの感情では冷静な判断は下せない。 ギャンブルも人間の次こそはという悪の心を刺激している。 食べログなどのランキングも人間の人の良い意見に流されやすいという性質を上手く利用している。 占いも根拠はないが、自分を安心させるために信じてしまう。 データを都合よく解釈してしまうことにも注意するべきだ。 データの中にある、人間の悪の部分もしっなり見る必要があるのだ。
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松本健太郎『人は悪魔に熱狂する 悪と欲望の行動経済学』(毎日新聞出版、2020年)はデータサイエンティストによる行動経済学の書籍。理屈や損得勘定だけでは説明できない人間の行動を説明する。 社会を変える上では冷静さよりも怒りという悪魔的感情の力が大きいとする。なし崩し的に容認され...
松本健太郎『人は悪魔に熱狂する 悪と欲望の行動経済学』(毎日新聞出版、2020年)はデータサイエンティストによる行動経済学の書籍。理屈や損得勘定だけでは説明できない人間の行動を説明する。 社会を変える上では冷静さよりも怒りという悪魔的感情の力が大きいとする。なし崩し的に容認されている「現状」を変えるために、私達はもっと怒ってよい。これはマンションだまし売り被害者として納得できる。東急不動産だまし売り裁判の原動力は怒りであった(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』)。 本書は昭和のガンバリズムを批判する。日本には手を抜ける場面で楽をすることが悪で、一生懸命努力することを善とする風潮がある。そこに付け込み、長時間労働をさせるのがブラック企業である。しかし、ブラック企業の長時間労働は生産性が高いものではない。むしろ、怠惰という悪魔を肯定し、適度に休むために効率の良い仕事の仕方を考える方が生産性の向上になる。往々にしてイノベーションも怠けたいという思いが出発点になる。 本書は持続可能な開発目標SDGs; Sustainable Development Goalsにも言及する。残念なことに日本は世界に比べてSDGsの認知度は低い。世界経済フォーラムによれば、日本でSDGsという言葉を聞いたことがある人の割合は49%で、28カ国中最下位という。本書は日本人がSDGsはキレイごとだと冷笑的な態度をとっているのではないかと指摘する。 本書の合理的で良いテーマであっても論理だけでは人々は動かず、感情に訴えるストーリーが必要との主張は賛成である。但し、SDGsは過去の公益や公共性の取り組みに比べれば十分にキレイごとを超えた個々人に刺さるストーリーになっていると考える。大上段からの公益や公共性の取り組みにピンと来なくても、SDGsにはピンと来る。逆に集団主義的な日本人は社会全体を良くしようということに公益心を発揮しても、誰一人として取り残さない(leave no one behind)と個々人にスポットを当てるSDGsには冷笑的になるのかもしれない。
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1.悪魔に熱狂するとタイトルにあるのですが、悪魔とは何なのかについて考える 2.悪魔とは、人間に潜むマイナスの欲望のことです。本来であれば、キレイになりたい、もっと生活を良くしたいというプラスの欲望があるにも関わらず、なぜか逆の行動をとってしまいます。これには、人間のマイナスの...
1.悪魔に熱狂するとタイトルにあるのですが、悪魔とは何なのかについて考える 2.悪魔とは、人間に潜むマイナスの欲望のことです。本来であれば、キレイになりたい、もっと生活を良くしたいというプラスの欲望があるにも関わらず、なぜか逆の行動をとってしまいます。これには、人間のマイナスの欲望がプラスよりも強く働いているためと考えられます。これをなくすことは非常に難しいです。 人間は合理的に動かないといつことを前提に動く中で、どのような理論の基で意思決定をしているのかについて述べている一冊です。 3. 自分の生活に当てはめると、正常性バイアスとバラ色回顧に陥っていることを感じました。これの対策として、自分に不都合な情報を70%、都合の良い情報を30%集めることで、意見を作っていくことをやっていきます。何かの意見を出す以上、反論がくるのは当たり前です。反論を否定するためでなく、反論も理解しつつ、最善の策はこれだと述べるためにも必要だと思いました。
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その昔、某大学経済学部に所属していた頃「合理的期待形成理論」なるものについて学んだが、そんな人間ごときがいつでも合理的に判断なんかするはずがないと思い、前提が違っている経済学なんて何の意味もない、と思ったことを思い出した。 人間の行動には複雑かつ膨大なパラメータが存在するため、数...
その昔、某大学経済学部に所属していた頃「合理的期待形成理論」なるものについて学んだが、そんな人間ごときがいつでも合理的に判断なんかするはずがないと思い、前提が違っている経済学なんて何の意味もない、と思ったことを思い出した。 人間の行動には複雑かつ膨大なパラメータが存在するため、数式であてはめて経済行動を予想するなんて絶対ムリだが、その内のパラメータで最大のものが煩悩であると明快に示し、例題を数多く提示してくれた本書は、行動経済学を素人でも理解できるように解説してくれる良書。データサイエンティストである著者の分析力よりも、ここまでわかりやすく提示できる説明力に驚いた。
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行動経済学の理論と具体例を知りたくて購入。人間の合理的ではない部分が消費や行動に大きな影響を与える。具体的な事例とその理論が分かりやすく説明され、さらに煩悩と言う仏教的な視点で整理されているところに、著者の遊び心があって面白い。学者の著者が多い行動経済学書籍の中で、秀逸の面白さ。...
行動経済学の理論と具体例を知りたくて購入。人間の合理的ではない部分が消費や行動に大きな影響を与える。具体的な事例とその理論が分かりやすく説明され、さらに煩悩と言う仏教的な視点で整理されているところに、著者の遊び心があって面白い。学者の著者が多い行動経済学書籍の中で、秀逸の面白さ。日々のニュースを行動経済学や人間の非合理的な側面から読み解いてみようと動機付けられた。
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人間のダークサイドを行動経済学の観点から分析した一冊。「なぜ意識高い系はNewsPicksを使うのか」「M1グランプリはなぜ炎上したのか」「ホリエモンの悪口はなぜ受けるのか」など、日頃気になっていた事がうまく分析されていた。中でも「FACTFULNESS」は本当にファクトなのかと...
人間のダークサイドを行動経済学の観点から分析した一冊。「なぜ意識高い系はNewsPicksを使うのか」「M1グランプリはなぜ炎上したのか」「ホリエモンの悪口はなぜ受けるのか」など、日頃気になっていた事がうまく分析されていた。中でも「FACTFULNESS」は本当にファクトなのかという分析が一番面白かったかな、現代は複雑な世の中なので何をするにも何かしらのバイアスがかかってることを前提で行動したほうがいいなと考えさせられた。
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行動経済学の本としてはそれほど目新しい内容ではないが、切り口が面白く、ベストセラーの「FACTFULNESS」への考察は興味深かった。
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社会の事象やマーケティング施策などと人間の心理的なバイアスの関連性を解説しながら、人間そんなに合理的ないきものじゃないよーって説明している本。 炎上も社会的な運動も人間の性善説的な光の部分ではなく、 性悪説的な闇の部分から生まれていることが多い。それを見誤らず、またマーケ施策を...
社会の事象やマーケティング施策などと人間の心理的なバイアスの関連性を解説しながら、人間そんなに合理的ないきものじゃないよーって説明している本。 炎上も社会的な運動も人間の性善説的な光の部分ではなく、 性悪説的な闇の部分から生まれていることが多い。それを見誤らず、またマーケ施策を考えるときも人間はこうするべきだみたいなべき論にハマりすぎないようにしようと思った。
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同僚の新刊。タイトルに反して?、網羅的にマーケッターが抑えるべき心理学のトピックが事例付きで紹介されていて、流行のあの本とか読む前に手引きとして読みたい本。なんでこんな網羅的なんだろうと思ったら、章立てのベースが仏教というのが面白い。
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昨今の社会現象を行動経済学の理論を通じて解釈されている。(この現象の裏にはこの理論が働いているのではないか、という解釈) 悪と欲望、というキャッチャーなタイトルになっているが、解説されているのは一般的な行動経済学の理論。非合理的な行動や無意識に歪んだ認知など、人間はそんなにちゃん...
昨今の社会現象を行動経済学の理論を通じて解釈されている。(この現象の裏にはこの理論が働いているのではないか、という解釈) 悪と欲望、というキャッチャーなタイトルになっているが、解説されているのは一般的な行動経済学の理論。非合理的な行動や無意識に歪んだ認知など、人間はそんなにちゃんとしてませんよ、という要素を強調した上でのタイトルなのかと思った。 行動経済学とは?という状態の人には、入門書としては読みやすいかと思う。 次のステップとして、ダニエルカーネマンやダンアリエリーなど、著名研究者の書籍に進めると、より正確かつ詳細に理論等を学べる。
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