いまこそ「小松左京」を読み直す の商品レビュー
中級者以上の「小松左京」ハンドブック!
まったくの初心者(これから小松左京を読もうという人たち)には、不向き だろうな。ある程度の作品を読みこなしてきて、さて小松左京の全体像は?と 考えた人にはガイドブックの一冊になるとはおもう。かくいう僕もずいぶんと 勉強させてもらった。ただ、やはり気になったのは、本のオビに「...
まったくの初心者(これから小松左京を読もうという人たち)には、不向き だろうな。ある程度の作品を読みこなしてきて、さて小松左京の全体像は?と 考えた人にはガイドブックの一冊になるとはおもう。かくいう僕もずいぶんと 勉強させてもらった。ただ、やはり気になったのは、本のオビに「危機の予言 者か?それとも・・・」てなフレーズがあったこと。むろん、出版社の営業戦 略であろうとは思うし、著者の本意ではないと思うのだ。本文中、最終節にこ ういう箇所がある。 小松にとって意想外で、そしてすこしばかり不幸だったのは、「言語ゲー ム」を異化してみせるために仕込んだ、あり得そうであり得ない破局なの に、その設定に近い事態が実際に出来してしまったことだろう。その都 度、彼の小説が「予言の書」として思い出され、話題になり、多くの読者 を獲得するところとなった(284ページ) 上記のごとく、時としてみられる世間の反応に、宮崎哲弥氏は「そうした接し た方が間違っているというのではない。さらに物語の表層の奥にある小松左京 の思想を読み取ってほしい(略)そんな思いを込めて本書を執筆した」と記し ておられる。しかし、小松左京本人の意思をやはりここは尊重すべきだろう。 予言者あつかいされるのは、本意ではなかったことは、例えば、乙部順子「小 松左京さんと日本沈没 秘書物語」あたりを読めば明らかである。 「小松さんはいつも言っていた。フィクションを書くにしても歴史や背景の事 実をよく調べる。そのうえでもっともらしい嘘をつくんだ、と。あらゆること を想定した上で誰も思いつかないような妄想を構築するのだから、現実と合致 することもあるだろう」(乙部著28ページ) 「阪神・淡路島大震災」がおこった当初、マスコミから常套句のように、「まるで 日本沈没ですね!」といわれ、かたくなに否定していたという小松左京氏。 その心中たるや、ぼくのような凡俗の徒には思いもつかぬ点があるけども、しかし 理解しようとする努力は怠ってはなるまいと信じる。 宮崎哲弥さんのこの著書、あえて不満(でもないけど)を述べるとすると、通 読した人は「やっぱ、凄い人だったのだな!」てな感想を抱く点にある。むろ んソレを否定する気はないけど、逝くときには、小松左京という人も一人の人 間であったということ。乙部さんのご本に、小松さんの臨終の様子が書かれて ある。家族、兄弟の見守る病室で、「銀座カンカン娘」を一緒に歌い、あの世 へ旅立った。「虚無回廊の続きを書きたいから、口述筆記をたのむ・・・」と かそんなモノでなく、さいごは「銀座カンカン娘」だったのだ。 小松左京さんらしい最期ではなかったろうか?
士門
「日本沈没」で知られているが、それに限らず非常に深い先見性があったのを知った。今読んでも新しい発見がありそうだ。
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21/12/02に、clubhouse内で「100分de名著」の「小松左京スペシャル」の回を取り上げる予定なので、参考にと思って読んだものの、ぼくには読みづらさが目立った本だった。きちんと読めたのは第一章までで、その後は、時間の都合で『日本沈没』を扱った章をチラ見した程度。番組(...
21/12/02に、clubhouse内で「100分de名著」の「小松左京スペシャル」の回を取り上げる予定なので、参考にと思って読んだものの、ぼくには読みづらさが目立った本だった。きちんと読めたのは第一章までで、その後は、時間の都合で『日本沈没』を扱った章をチラ見した程度。番組(NHKオンデマンドで視聴)はおもしろかったんだけど・・・。
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SFのというか小松左京の宇宙観というか神話体系はある種の普遍性を有しているように思う。文学は近代小説にとどまるものではなく、まさにナラティブなのだ。
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日本を代表するSF作家の一人、小松左京さんの代表作品を読み解いた新書。小松さんの小説をまずは楽しみたいという方は、本書は読まないほうがいい。ネタバレ満載で作品を解説したもの。 随分前に読んだ作品を思い出しながら読んだり、まだ読んでいない作品のところは、サラサラとななめ読みで。 小...
日本を代表するSF作家の一人、小松左京さんの代表作品を読み解いた新書。小松さんの小説をまずは楽しみたいという方は、本書は読まないほうがいい。ネタバレ満載で作品を解説したもの。 随分前に読んだ作品を思い出しながら読んだり、まだ読んでいない作品のところは、サラサラとななめ読みで。 小松左京さんの作品を制覇したいとの思いはあるのだが、まだ果たせていない。 お亡くなりになってから10年の節目に、チャレンジする良いタイミングかもしれない。
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近年再評価される小松左京。政治哲学、仏教思想のか学者が解釈するディープな世界。 大震災と「日本沈没」、トランプ政権と「アメリカの壁」、パンデミックと「復活の日」。その度再評価されるSFの巨匠小松左京。 氏の思想を宗教的、哲学的な立場から語り尽くす書。 サイエンス・フィクショ...
近年再評価される小松左京。政治哲学、仏教思想のか学者が解釈するディープな世界。 大震災と「日本沈没」、トランプ政権と「アメリカの壁」、パンデミックと「復活の日」。その度再評価されるSFの巨匠小松左京。 氏の思想を宗教的、哲学的な立場から語り尽くす書。 サイエンス・フィクションを突き詰めると神話や宗教の世界にたどりつくところが興味深い。 かなりハイレベルな一冊。自分の力及ばず、多くは理解できませんでした。
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NHKEテレ「100分 de 名著」の「小松左京スペシャル」で解説者を務めた宮崎哲弥氏のテキストを大幅改稿。「100分 de 名著」放送時の薄いテキストを持っているので、特に読まなくてもいいかなぁ・・・なんて思ってたんですが、目次を見たらすっごい加筆されていて、書き下ろしの第2章...
NHKEテレ「100分 de 名著」の「小松左京スペシャル」で解説者を務めた宮崎哲弥氏のテキストを大幅改稿。「100分 de 名著」放送時の薄いテキストを持っているので、特に読まなくてもいいかなぁ・・・なんて思ってたんですが、目次を見たらすっごい加筆されていて、書き下ろしの第2章で鴨が大好きな「果しなき流れの果に」を取り上げていることもあり、速攻買いました! 「100分 de 名著」で取り上げた「地には平和を」「日本沈没」「ゴルディアスの結び目」「虚無回廊」に加え、「戦争はなかった」「ヤクトピア」「果しなき流れの果に」「神への長い道」「彼方へ」「岬にて」「結晶星団」「雨と、風と、夕映えの彼方へ」についての解題も追加。めちゃくちゃ読み応えがあります。古めの作品を中心に取り上げてくれているのも、古いファンとしては嬉しい限り。 哲学者であり社会学者でもある宮崎氏の小松作品解題は、実に刺激的で知的興奮に満ち溢れています。 もちろん、一個人の考えであって、様々な解釈が可能なところが小松作品の醍醐味の一つでもあるのですが、鴨的に宮崎氏の文章はとてもすんなりと腑に落ちるところ多く、圧倒的な知的大伽藍を築くかのような重厚な小松作品の一端を少しでも理解できたのかな、と思いました。狭義の自然科学だけでなく、宗教学や哲学、歴史学の知識と知見も総動員して解題にあたる宮崎氏の文章は、素人には難しいところも多いです。が、それぐらい脳みそとイマジネーションをフル稼働しないと、小松作品の魅力は伝わらないのもまた一つの事実。改めて、とんでもないパワーを持った作家だったのだなと気づかされました。 本棚に並んでいる小松作品、久しぶりに再読してみようかなー。これだからSF者はやめられません!
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『日本沈没』や『果しなき流れの果に』などの小松左京の代表作のあらすじと、引用がほとんどで、あまり深い考察はなかったのが残念。しかし、小松左京を読み倒したのは子供時代だし、まだ読んでいない作品もあるので、全集でも買って読み直してみたいなという気になった。
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“僕らがこの世界と出会い直すためです” なぜSFを描くのか?なぜ小松左京の小説は時代を超えて参照されるのか? 実写版日本沈没から、日本沈没2020へと行きついて、この本にたどり着いた。 各作品のストーリー展開と、その背景を多数の引用から紹介し、その関連性や背景を読み解いてく...
“僕らがこの世界と出会い直すためです” なぜSFを描くのか?なぜ小松左京の小説は時代を超えて参照されるのか? 実写版日本沈没から、日本沈没2020へと行きついて、この本にたどり着いた。 各作品のストーリー展開と、その背景を多数の引用から紹介し、その関連性や背景を読み解いてくれるガイドブック的存在。 あぁ、自分は小松左京作品の原作を全然読んでなかったんだなぁ、と思いながら日本語の難しさに少し苦労した、、、。 久々に本らしい本を読んで、少しお盆の昼下がりが有意義なものになったかもしれない。
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平易ではないし、ネタバレもしてるし、変な引用も多い。しかし、著者が小松SFに向かい合おうとしている根性は認めねばならないだろう。特に「果てしなき…」を取り上げた第2章が熱い。
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