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チーム・オベリベリ の商品レビュー

3.9

33件のお客様レビュー

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2024/03/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

どれほどの覚悟と忍耐が必要なんだろう。 森も闇もどれほど深かったのだろう。 明治時代に北海道·帯広の開拓に乗り出した人々の史実に基く話を、開拓の中心人物の1人である渡辺勝の妻·カネの目線から小説にしたもの。 冬の凍てつく寒さなど厳しい環境で、アイヌの人々の知恵も借りながら文字通り一から暮らしを作っていくなかで、元々は女学校で学びキリスト教を信仰していたカネが、時折、聖書を開くシーンが印象的でした。 心の拠り所をもっていたこと、学びの大切さを知っていたことがカネを支えたひとつなんだろうなと感じました。 夕食の準備をしようと野菜を手にしたら北海道産と大きく書いてありました。次から次へと襲いかかる困難に立ち向かっていった先人たちのお陰で、今の生活があるんだと改めて思いながら、有り難く使いました。

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2024/01/13

明治時代140年前の北海道・帯広の開拓の物語。史実に基づいて書かれた長い一冊。 当時の何もない状態からの開拓はかなり過酷。ロビンソン・クルーソーか北の国からか…という感じでした。 主人公のカネは横浜の女学校を卒業していて、学もあり文明を知っていて、よくぞ北海道に行ったなぁと思いま...

明治時代140年前の北海道・帯広の開拓の物語。史実に基づいて書かれた長い一冊。 当時の何もない状態からの開拓はかなり過酷。ロビンソン・クルーソーか北の国からか…という感じでした。 主人公のカネは横浜の女学校を卒業していて、学もあり文明を知っていて、よくぞ北海道に行ったなぁと思いました。そのまま横浜にいたらもっと楽だったのに。 カネさん、時には自然の厳しさに打ちのめされても諦めず頑張り続けて、本当に頭が下がります。キリスト教徒で神への信仰が彼女を支えたのだと思います。人間関係もけっこう大変で、色々と大変なことは終始続いて、かなりしんどい。 最後まで道半ばなので、苦労が報われた感がなかった。少しずつ進んで、今の帯広があることを私たちは知っていてからいいものの…。カネさん、そしてあの頃の開拓一団の人々に本当にご苦労様でしたと言いたくなる一冊でした。

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2023/12/07

 北海道、帯広の開拓の歴史。 名前だけしか知らない出来事を、この物語を通して一部でも教えてもらった事に嬉しさを覚えた。  どの人も必死であり、弱いところがあり、欠けているところがありながらも、みな生きることに真摯に向き合っているのだと感じた。  また、妻の目線で話が展開されるのも...

 北海道、帯広の開拓の歴史。 名前だけしか知らない出来事を、この物語を通して一部でも教えてもらった事に嬉しさを覚えた。  どの人も必死であり、弱いところがあり、欠けているところがありながらも、みな生きることに真摯に向き合っているのだと感じた。  また、妻の目線で話が展開されるのも、〝武勇伝″にならず良いと思った。  ラストの空に希望が見えた。

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2023/11/16

実在の人物と史実を基にしたフィクション。大変読みごたえがあった。未開の地である北海道開拓に挑んだ人たち。北海道の自然はとても厳しくて、もう戻る場所はないと心に刻み覚悟して生きていく。北海道に住んでいても開拓者の文献を読んだことが無かったので改めて先人の苦労に感謝です。アイヌとの共...

実在の人物と史実を基にしたフィクション。大変読みごたえがあった。未開の地である北海道開拓に挑んだ人たち。北海道の自然はとても厳しくて、もう戻る場所はないと心に刻み覚悟して生きていく。北海道に住んでいても開拓者の文献を読んだことが無かったので改めて先人の苦労に感謝です。アイヌとの共生など、まさしく北海道の歴史が詰まっていました。

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2023/08/19

没落士族の鈴木カネは、同じく没落士族の渡辺勝とともに蝦夷地「オベリベリ」に入植し、剥き出しの野性と対峙する開拓へと挑む。 晩成社と依田勉三といえば道民なら、少なくとも十勝国民なら全員必ず知っている。知らなければその人はモグリであろう。というくらい、帯広を開拓した立役者として有名...

没落士族の鈴木カネは、同じく没落士族の渡辺勝とともに蝦夷地「オベリベリ」に入植し、剥き出しの野性と対峙する開拓へと挑む。 晩成社と依田勉三といえば道民なら、少なくとも十勝国民なら全員必ず知っている。知らなければその人はモグリであろう。というくらい、帯広を開拓した立役者として有名です。 ということで乃南さんの(北海道的)話題作、読んでみました。晩成社と依田勉三の業績についてはざっくりと知っている程度なので、この際学べたのはよかったです。とにかくすんなりうまく行くはずもない開拓という事業や、蝦夷地という土地の困難、アイヌの人々との交流など、とてもしっかり描けているし、読みやすい文章で分厚い本でビビりましたがさくっと読むことができました。楽しかったです。 乃南さんは、北海道の開拓という一大事業や晩成社とか依田勉三とか、そういう大風呂敷なことではなくて、開拓に従事した一人の女性の目線を描きたかったんだな、と思いました。晩成社の中心人物たちの心の動き、挫折、友情と亀裂。側にいて彼らを支え、引き立てる影の役者としての女性と、その女性が男たちの影の中で、内地の親族との間柄で、どんな思いで過酷な開拓の日々を送っていたのか、そういえばそんな視線からの開拓譚は読んだことがなかったのでとても印象的でした。 しかし十勝開拓のヒーローでもある依田勉三が(うっすら知ってはいたけど)イマイチ機能してなくて、失敗ばかりを重ねる若干ダメリーダーだったというのは、なんかこうちょっと残念な気がしないでもないですが、親しみ深い人物造形でもありました。マルセイバターなんかもちらっと気配が出てきたりして、十勝の歴史に造詣の深い人にはグッとくる描写も多いかもしれません。 六花亭のマルセイバターサンドをかじりながら読むとよいのではないかと思います。

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2022/09/24

最初は本の分厚さに圧倒されたが、女性の目から見た開拓史というストーリー仕立ては読み進めるのにそれほど苦労はしなかった。むしろ、北海道開拓の苦労が厳し過ぎ、そちらの方が辛かった。彼らが私たちの計り知ることのできない苦労をしてくれたおかげで、今、北海道の美しさとおいしさを楽しむことが...

最初は本の分厚さに圧倒されたが、女性の目から見た開拓史というストーリー仕立ては読み進めるのにそれほど苦労はしなかった。むしろ、北海道開拓の苦労が厳し過ぎ、そちらの方が辛かった。彼らが私たちの計り知ることのできない苦労をしてくれたおかげで、今、北海道の美しさとおいしさを楽しむことができるのだということを忘れないようにしたいと思った。

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2022/09/13

660ページの大作を読んだ。 北海道帯広の開拓物語だが本当に何もないところからの開拓で、どうしてここまでやるの、やることが出来るの、と思わざるを得ない。もっと楽なやり方があるんじゃないのと言いたくなる。 でも、そう思うならこの大作を読んだ価値はない。 人はなにをするか、そして創る...

660ページの大作を読んだ。 北海道帯広の開拓物語だが本当に何もないところからの開拓で、どうしてここまでやるの、やることが出来るの、と思わざるを得ない。もっと楽なやり方があるんじゃないのと言いたくなる。 でも、そう思うならこの大作を読んだ価値はない。 人はなにをするか、そして創るか、なにを考え、なにを信じて生きていくかが、この本のテーマだからだ。

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2022/08/31

乃南アサさんが書いた北海道の物語。 いったいどうなるんだろうと思いながら読み進めて行った。 きっかけは六花亭のマルセイバターサンド。あのマルに晩の文字。調べたら晩成社が出てきて、この話に繋がった。 今の北海道が酪農王国というのも、こういう人々の壮絶な営みがあってこそ。 次には、十...

乃南アサさんが書いた北海道の物語。 いったいどうなるんだろうと思いながら読み進めて行った。 きっかけは六花亭のマルセイバターサンド。あのマルに晩の文字。調べたら晩成社が出てきて、この話に繋がった。 今の北海道が酪農王国というのも、こういう人々の壮絶な営みがあってこそ。 次には、十勝地方へ行ってみたいです。

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2022/08/31

北海道の大樹町に居たことがあるので、土地勘があります。 面白いというよりも、十勝開拓の知識の実感を得るための読み物。 晩成温泉や晩成社跡地も、これを読んだあとでは趣がかわります。現在の帯広の比較してしみじみします。 戦前になると稲作事業がやや軌道に乗ったようで、内地から開拓民...

北海道の大樹町に居たことがあるので、土地勘があります。 面白いというよりも、十勝開拓の知識の実感を得るための読み物。 晩成温泉や晩成社跡地も、これを読んだあとでは趣がかわります。現在の帯広の比較してしみじみします。 戦前になると稲作事業がやや軌道に乗ったようで、内地から開拓民の方が沢山来たみたいです。今でも開拓民のお子さんがおり、開拓時代の話を聞くことができます。 豚丼はその頃にうなぎの蒲焼を模して作られたもので、今では帯広の名物。 豚丼の豚も依田さんが内地から連れてきたもの。依田さん居なければ豚丼もなかったことでしょうから感慨深いですね。 依田勉三の人柄はまぁ…本を読んでわかる通りであまり評判はよくありませんが、今でも十勝開拓の立役者として帯広の人には尊敬の念を持って覚えられています。 十勝に来ることがあったら読んでみるといい本だと思います。

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2022/08/29

かなり厚みのある物理的に重い一冊で、読み始めるのにエネルギーが要ったが、一旦読み始めてしまうとサクサク読めた。 北海道 帯広辺りを開拓した「晩成社」の幹部の妻が主人公の小説で、実在の組織・人物達がモデルになっているようだ。実際、寒冷地の開拓なんてさぞかし苦労も多かっただろうし、こ...

かなり厚みのある物理的に重い一冊で、読み始めるのにエネルギーが要ったが、一旦読み始めてしまうとサクサク読めた。 北海道 帯広辺りを開拓した「晩成社」の幹部の妻が主人公の小説で、実在の組織・人物達がモデルになっているようだ。実際、寒冷地の開拓なんてさぞかし苦労も多かっただろうし、この小説の中でもその大変さが描かれているが、それにしても凄絶。 開拓に加わらず横浜で西洋式女学校の教員として人生を続ける選択肢もあったのに、開拓者として、半歩進んでは2~3歩後戻り…というような精神的ストレスも多く体力的にも大変そうな生活を我慢して続け、日常の中にほんのちょっとした喜びを見つけ、前を向いて生き抜いていく彼女の強さに圧倒された。 これからはきっと、北海道の美しく広がる田園風景を見た時に、この本を思い出すだろう。

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