バケモンの涙 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
山本図書館お薦めの本。 竜華の裕福な家庭のお嬢さんが、戦時中の子供たちを飢えから救うためにパフライス→ポーン菓子→ポン菓子を作ろうと奮闘する話。 菓子を作るには菓子製造機から、しかし戦時中の工場ではそんなものを作るわけにはいかない。様々な困難を乗り越えて長崎に原爆が投下される前日についに機械は完成する。 読み応えのある一冊だった。
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1946年、日本で初めて国産ポン菓子機を造った実在の女性をモデルにしたフィクション。 作家さんのプロフィールによると元々ブロガーだそうで、そのせいか文章は非常に読みやすい。キャラクターもありがちながら魅力的で、ヒロインが様々な壁にぶち当たりながらも周囲の人々の支えと諦めない心で乗...
1946年、日本で初めて国産ポン菓子機を造った実在の女性をモデルにしたフィクション。 作家さんのプロフィールによると元々ブロガーだそうで、そのせいか文章は非常に読みやすい。キャラクターもありがちながら魅力的で、ヒロインが様々な壁にぶち当たりながらも周囲の人々の支えと諦めない心で乗り越えていく展開は朝ドラのような感じで楽しく読める。 ポン菓子と言うと素朴なお菓子というイメージしかないのだが、ヒロインとし子にとっては戦時下で飢えによる体力と免疫力低下で次々幼い命を落としていく子供たちを何とか救うための画期的な食べ物だった。 戦時下の大阪では米や雑穀が僅かながら手に入ったとしても、煮炊きをする燃料がないために生で食べるしかなかったという驚きの描写がある。飢えとは単に食べ物がないというだけのことではないのだ。何もかもが軍優先、戦争優先で国民の生活や命は後回しになっていた。 大阪の裕福な商家に生まれ『いとさん』と呼ばれてきたとし子だが、機械いじりが大好きで設計図も自分で書いてしまうほどの少し変わった子。 成長して教師となったとし子だが、可愛い教え子たちが日に日にやせ衰え、本来なら直ぐに治るような簡単な感染症や病気で亡くなっていく。なのにとし子を始め教員たちはなすすべもない。 家では『いとさん』らしくしろと言われ、家の外では何も知らないええとこのお嬢さんと言われ、一体何が『自分らしさ』なのかと悩む。 幼い頃に一度だけ食べたポン菓子。それを作る大きな音を立てる機械。それがあれば僅かな米や雑穀でたくさん子どもたちに食べさせることが出来るのではないかと思いつき、それを造り上げることが自身のやるべきことだと気付く。 そこからは一目散。だが壁は幾つも現れる。 まずは設計図が手に入らない。お金がない。そして何より鉄がない。 しかし当時日本の鍛冶場と呼ばれた八幡なら鉄がある。ならば行って作れば良い。 とし子の情熱は気持ちが良いくらい真っ直ぐだ。 だが壁に当たるたびに突き刺さる現実。何も知らないええとこのお嬢さん。 祖母に、父の愛人で芸者の吉乃に、商売人に、飲み屋街の女将に、職人に…。 そう言われ傷つく度に一つ一つ力と知恵を身に着け、覚悟も大きくなっていく。 意外といい味出していたのが吉乃。きっと言えないような苦労をしてきたのだろうし人々の色んな不幸も目にしてきたのだろうと想像出来る。 そして何と言っても修造さん。陰に日向にいつもとし子を支えてくれる。とし子の原動力になってくれる。これからもずっと。 空襲のシーン、飢えた子どもたちが簡単に死んでいくシーンは辛い。だがだからこそ何とかせねばと考えた大人たちがいる。一方でこんなご時世だからと自己の儲けだけを追求する者もいるのだが。 とし子の想いは雲の上の人にまで届くのか。 これからポン菓子を目にする度にこの物語が浮かびそうだ。
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行き詰まって悩むたび、いろんな人に背中を押されたり、自分自身を奮い立たせて「一念」を貫くトシ子。その一念とは、「ポン菓子を作る」こと。 ポン菓子の話?と、もし軽んじてしまったなら、その人には読む価値のある物語。 綴る文章は、まさにポン菓子のように軽くて甘く、柔らかい。口の中で消え...
行き詰まって悩むたび、いろんな人に背中を押されたり、自分自身を奮い立たせて「一念」を貫くトシ子。その一念とは、「ポン菓子を作る」こと。 ポン菓子の話?と、もし軽んじてしまったなら、その人には読む価値のある物語。 綴る文章は、まさにポン菓子のように軽くて甘く、柔らかい。口の中で消えるように、トシ子の重く苦い心情や凄惨な描写が、するすると胃の腑に落ちてくる。 ポン菓子?と嘲笑するは、トシ子の周りで揶揄する人々。その一員に、自分もなっていることに気付く。そして次第に、彼女の慟哭に似た使命感に、共鳴してゆく。 読後、本を閉じて思う。これは、バケモンの涙の話だったのか、と。
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太平洋戦争末期、日本は未曾有の食糧難に襲われていました。大阪旧家のいとはん(お嬢さん)の橘トシ子は、国民学校の教師。栄養不足で命を落とす子たちを、何とか助けたいと思い、お米を生徒たちに届けますが、お米を炊く燃料がなく食べることができないと言われてしまいます。ある日少ない燃料で、大...
太平洋戦争末期、日本は未曾有の食糧難に襲われていました。大阪旧家のいとはん(お嬢さん)の橘トシ子は、国民学校の教師。栄養不足で命を落とす子たちを、何とか助けたいと思い、お米を生徒たちに届けますが、お米を炊く燃料がなく食べることができないと言われてしまいます。ある日少ない燃料で、大量の穀物を食べられるポン菓子の存在を知り、その製造機を作ろうと考えます。そこで、機械を作る鉄と職人のいる北九州へ、設計図を持ち単身向かうことにしますが…。 国産初のポン菓子製造機をつくった、実在の人物をモデルに書かれた物語です。
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ポン菓子機を製造した吉村利子さんの実話。「いとはん」と呼ばれる頃とポン菓子機作りで福岡へ行った頃とでは一気に逞しさを感じずにはいられませんでした。 飢える人々に、少ない材料でたくさんのポン菓子を食べられるようにという強い意志を貫いたおかげで今のポン菓子があるのだと初めて知りまし...
ポン菓子機を製造した吉村利子さんの実話。「いとはん」と呼ばれる頃とポン菓子機作りで福岡へ行った頃とでは一気に逞しさを感じずにはいられませんでした。 飢える人々に、少ない材料でたくさんのポン菓子を食べられるようにという強い意志を貫いたおかげで今のポン菓子があるのだと初めて知りました。 戦争の生々しい描写の中でポン菓子を配ろうとする姿は、胸を打つものがありました。 トシ子一人の夢ではなくみんなの夢が形になったのですね!! ポン菓子機のことをもっとたくさんの方に伝わって欲しいと思う一冊。
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太平洋戦争末期の大坂。国民学校の教師となった橘トシ子は、栄養不足で命を落とす子どもたちを救いたいと必死に願う中、ポン菓子の存在を知る。使命感に燃えポン菓子製造機を作ろうと北九州に乗り込む19歳のトシ子。苦難を乗り越え奮闘する姿に迫る感動の物語。
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