戦国大名の経済学 の商品レビュー
”腹が減っては戦はできぬ”ように、本書オビ文にある通り「銭がなくては戦はできぬ」。戦争をするためには兵士、その装備、糧食等が必要であるが、戦国時代には、兵士の装備一式70万円、鉄砲一丁50~60万円、兵糧米代1000万、捕虜の身代金10~70万円といった塩梅だったようだ。戦国大...
”腹が減っては戦はできぬ”ように、本書オビ文にある通り「銭がなくては戦はできぬ」。戦争をするためには兵士、その装備、糧食等が必要であるが、戦国時代には、兵士の装備一式70万円、鉄砲一丁50~60万円、兵糧米代1000万、捕虜の身代金10~70万円といった塩梅だったようだ。戦国大名はこれらをどのように用立てたのだろうか。 本書では、戦国大名の経済面について焦点を当て、その収支の状況や具体的な活動について具体的に分かりやすく説明をしてくれる。 特に「第七章 混乱する銭の経済ー織田信長上洛以前の貨幣」「第八章 銭から米へー金・銀・米の「貨幣化」と税制改革」を読んで、撰銭令の意義や、貫高制・石高制それぞれが採用された背景事情などについて、理解を進めることができた。
Posted by
貫高制から石高制への移行について、学生時代の時にはモヤモヤしてたが、この本を読んでとても腹落ちした。
Posted by
何故戦国時代に貨幣経済になってまた米が使われる様になったとか時代の背景を含めて書いてある。作者の言う様に信長の場合天才というより現実的に手を打っていった(ミスって放置してるのもあるけど)のが要因とか説得力があるし、戦争に1回幾らかかるとか鐚一文の由来とか読んでいて楽しかった。 あ...
何故戦国時代に貨幣経済になってまた米が使われる様になったとか時代の背景を含めて書いてある。作者の言う様に信長の場合天才というより現実的に手を打っていった(ミスって放置してるのもあるけど)のが要因とか説得力があるし、戦争に1回幾らかかるとか鐚一文の由来とか読んでいて楽しかった。 あとがきにもあるけど参考資料、論文の多さ!お疲れ様でした。
Posted by
戦国時代でも下部構造としての経済が上部構造の政治に影響を与えていたんだな。応仁の乱も下降気味の経済で縮小するパイを奪い合う競争の激化によるものと捉えることもできそう。大航海時代が日本の経済に、ひいては政治史に大きな影響を与えていたこともわかった。大名の財源、貫高性が革新的だったが...
戦国時代でも下部構造としての経済が上部構造の政治に影響を与えていたんだな。応仁の乱も下降気味の経済で縮小するパイを奪い合う競争の激化によるものと捉えることもできそう。大航海時代が日本の経済に、ひいては政治史に大きな影響を与えていたこともわかった。大名の財源、貫高性が革新的だったが銭不足から石高性の米ベースに回帰したこと、南蛮貿易と銀の生産、楽市楽座と徳政の実際、実効性を持たなかった信長の貨幣政策など。 武器や日当やその他の品々の当時の価値を現代に置き換えてくれるので、もちろん当時と生活の水準が違うことは知ったうえで、実感を持って考えることができる。元来の戦国時代のイメージをひっくり返してくれた良著。
Posted by
著者の先生は存じ上げないが、貨幣経済史のご専門とか。戦国時代における大名たちの領国経営については類書も多いのでさほど目新しい記述はなかったように思うが、ところどころ最新の研究成果も盛り込まれていて、興味深い部分も多かった。とくに第7章「混乱する銭の経済—織田信長上洛以前の貨幣」と...
著者の先生は存じ上げないが、貨幣経済史のご専門とか。戦国時代における大名たちの領国経営については類書も多いのでさほど目新しい記述はなかったように思うが、ところどころ最新の研究成果も盛り込まれていて、興味深い部分も多かった。とくに第7章「混乱する銭の経済—織田信長上洛以前の貨幣」と第8章「銭から米へー金・銀・米の「貨幣化」と税制改革」の部分。ほかにも第5章で論じられている織田信長の楽市令に関する考察なども。 結論はごくごく当たり前の話になってしまうのだが、旧来の秩序再編成に当たっての戦国大名の革新性について、過大評価はできないということ。とくに市場経済・貨幣経済のコントロールは、戦国大名といえどもそう簡単ではなく、旧来の秩序と折り合いを付けながら漸進的なものであった。
Posted by
お金は大事だ。最近の研究を反映したこういうのっておもしろいわよね。まあ日本史で「撰り銭」みたいなのおぼえさせられた理由がわかる、というよりこういう解説してもらわないとそういうのの重要性がわからない。
Posted by
- 1