第五の季節 の商品レビュー
『ほかの誰もが無条件で受けている敬意を、戦い取らればならない人々に』 人として与えられるべき当然の敬意を剥奪され、虐げられ、その虐げられていること自体を地の底深くに隠蔽されし者たちの、哀しみと痛み。 世界に対する憎しみ。 それゆえ、彼らがおこなう破壊行為はみな、その状況に対...
『ほかの誰もが無条件で受けている敬意を、戦い取らればならない人々に』 人として与えられるべき当然の敬意を剥奪され、虐げられ、その虐げられていること自体を地の底深くに隠蔽されし者たちの、哀しみと痛み。 世界に対する憎しみ。 それゆえ、彼らがおこなう破壊行為はみな、その状況に対する必然の抗議として、その権利を与えられねばならない。 「あんたは○○した。」と主人公に語りかけるような独特な二人称は、突き放すようでいてどこかしら優しさもこもっており、耳に心地よい。 彼女たちは、やがて選択をつきつけられることになる。それは単に「迫害の状況に抵抗するか、現状をよしとするか」という2択だけではない。 「”それ”を迫害として認識するか、しないか」「変容を望む自分自身に気づくか、気づかないままでいるか」という選択でもある。 それらの選択は、荒々しい葛藤としてではなく、切実な存在の痛みとして描かれる。 それでも立ち向かわないといけない。 ゆるされるべきでないことはやはり、ゆるされるべきではないのだから。 確固たる人権思想に基づいた力強いストーリー。 SFともファンタジーともつかない世界観も魅力的。 これは三部作一気に読みたい。
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SFに登場する科学は何でも解決する魔法に近いが、これは魔法 前人未踏、三年連続で三部作すべてがヒューゴー賞受賞に期待したが、ちょっと私には合わない 絶賛された『ハイペリオン』みたいに私は受け入れられなかった
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最初は分かりにくい部分があったが、段々とこの世界が見えてくると読みやすくなった。 思わずおぉっと声を上げる箇所が何箇所かあり、楽しめた。 第二部が楽しみである
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まあまあ面白かった。 オロジェンの能力の描写がめちゃくちゃ格好良くて良かった。 ただ登場人物はあまり魅力的ではないなーと思った。 それと場面が度々切り替わるので、いちいち集中力がリセットされて読むのに疲れた。
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SFを期待して読み始めたら、結構ファンタジー寄りでした。 作中世界独自の歴史や用語が多いので、補遺の解説が必須です。流れが削がれる感は否めませんが、作中世界の奥行き深さこそがこの作品の魅力だと思います。 第一部では、オベリスクやオロジェン、守護者などほぼ全てが謎のまま終わりますが、ダマヤ、サイアン、エッスンが人物としてリンクするところや語り手が明らかとなるところは、一人物の多様さが感じられます。 内容としては、まだテーマの提示にとどまっている感じで、風呂敷が広げられたばかりという印象です。これからどうなっていくのやら、、、そこは次回へ期待。
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半分過ぎるまではなかなか読み進められませんでした。石喰い(って岩人間?)が出てきたり、いろんな用語に慣れてきて世界観が分かると面白くなってきました。そして並行して語られる3つの物語の関係が分かったらもう先を読むしかない。というところでこの巻は終わり。次巻からいよいよ始まりって感じ...
半分過ぎるまではなかなか読み進められませんでした。石喰い(って岩人間?)が出てきたり、いろんな用語に慣れてきて世界観が分かると面白くなってきました。そして並行して語られる3つの物語の関係が分かったらもう先を読むしかない。というところでこの巻は終わり。次巻からいよいよ始まりって感じでしょうか。
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物語が進むに連れオロジェンというオロジェニー特殊能力をもつ人種がどのくらいすごい力を持っているのがわかっていきます。そして、第五の季節という文明を滅ぼす災害が起きるのを防いだり遅らせている仕事をさせられているのにもかかわらず、彼らが生まれながら差別され、監視されているのも。オロジ...
物語が進むに連れオロジェンというオロジェニー特殊能力をもつ人種がどのくらいすごい力を持っているのがわかっていきます。そして、第五の季節という文明を滅ぼす災害が起きるのを防いだり遅らせている仕事をさせられているのにもかかわらず、彼らが生まれながら差別され、監視されているのも。オロジェンは多くを語らないというか必要なことも話さない。それは常に緊張状態にいるのもあるし、だれにも理解されない孤独のなかに存在しているからだ。彼らの心のなかに隠し持っている悲しみがものすごく伝わってきます。その対比として登場する海賊イノンの明るさ、アライアの役人アザエルのずるさのなんと人間臭いことか。 物語は娘をさがす中年の女性エッスン、フルクラムの指示でオロジェニーを使って各地で業務を行う女性サイアナイト、フルクラムでオロジェニーを制御できるように訓練を受ける少女ダマヤの話が順に語られていきます。その3つの物語が徐々に繋がっていく展開がおもしろい、ミステリー要素というほど大げさではないですが納得・腑に落ちるというかとにかくおみごとな語り方です。 そして、驚愕のラスト。都市を一瞬にして消滅させるオロジェンのちからを見せつけられる戦闘シーン。それまで静かに語られていたため余分にその力の大きさを思い知らされます。 ホアやトンキーといった魅力ある人物の謎が徐々に溶けていきます、そしてまだ残っている石喰いについての謎。フルクラムという組織がどのような意志をもっているのか。オロジェンと守護者の戦いは始まったばかりですし、隠れているオロジェンの中にはもっと巨大なオロジェニーを持っているものもいるのではないか。残り2作を読むのが本当に楽しみです。 たくさん出てくる鉱石の名前。黒曜石のナイフ。珊瑚の障害物。マシシというアクアマリンの最高級品。ガーネットのオベリスク。赤ダイヤのかけら。アレキサンドリアの原石。閃長石サイアナイト。雪花石膏アラバスター。巨大な水晶をくりぬいた地下室。翡翠と真珠貝の指輪。アメシストのオベリスク。尖晶石スピネルのオベリスク。鉱石にくわしいとより面白くかんじるかも知れません。
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この本の裏表紙に書かれていた「3部作が3年連続ヒューゴー賞受賞。世界の終わりの物語」という言葉に惹かれて手に取った。正直、少々わかりづらい。けれど、世界の終わりをどう表現するのか、3年も連続して大きな賞を取るにはきっと理由があるはず、そう信じて諦めずに読み進めた。途中、繰り返し出...
この本の裏表紙に書かれていた「3部作が3年連続ヒューゴー賞受賞。世界の終わりの物語」という言葉に惹かれて手に取った。正直、少々わかりづらい。けれど、世界の終わりをどう表現するのか、3年も連続して大きな賞を取るにはきっと理由があるはず、そう信じて諦めずに読み進めた。途中、繰り返し出てくる「錆び」「錆び地球」「地下火」というフレーズ‥会話の途中にも出てくるこのフレーズに疑問を持つが、きっと訳本でなく英語の原書で読めればその疑問は解決するのかもしれない。 読み終わって思うのは、なんとも形容のしがたいストーリー。意思や感情を持っている地球。その地球の地震事象を操ることができる特殊能力者オロジェンたち。これだけの能力を持ちながら、彼らには自由がない。怯えている。それはなぜ?世界の終焉て何?そして不可解な終わり方。二部へ続くということか? 巻末の解説者が「最後まで読んだらまた読み返すといい」とあった。本当にそう思う。二部へ進むかどうかはそれからだ。
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前半読み進めるのノロノロだったが後半は一気。さすがの三連続ヒューゴー。とはいえ思いっきり続いてる。この厚みと書き方で即2巻連続はきつそうなので少し休んで読む。読みはする。どうなるのか気になる。 ちなみに半分くらいで人物の関連は予測できた。
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〈第五の季節〉…文明が滅びるレベルの天変地異が数百年ごとに繰り返される世界は過酷。過去の季節に名前が付いているけれど、その名前の天変地異が起こったのかな…悲惨。。 オロジェン。ロギア系みたいなやつか?と思っていたけれど、様々な天変地異そのものというより、地殻変動とかの地球の活動を増幅するみたいな感じかな。 3つのお話が同時進行かと思いきや、どうも違うっぽい…少なくともエッスンとサイアナイトは同時ではない、と思っていたら。エッスンパート以外は回想シーン、しかもダマヤとサイアナイトとエッスンは同一人物とは。それ以上にビノフとトンキー。やられました。 文章が第三者視点だな、と思っていたのにもちゃんと理由がありました。ホアは何なのだろう。 オベリスクや石喰いも謎だし、ナッスンも行方知れずのまま。続きが気になります。
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