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果てしなき輝きの果てに の商品レビュー

4.2

14件のお客様レビュー

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2024/09/16

第6回ビブリオバトル全国大会inいこまオンライン予選会1で発表された本です。 https://www.youtube.com/watch?v=8PNvaO4FGnc 2021.1.31

Posted byブクログ

2023/01/31

貧困、麻薬、シングルマザー、失踪が大きな流れ。 警官が犯人である連続殺人はミステリーである本書の主要では無い。 悲しみと後悔、可能性を秘めた小さな救いがこの本の全体に流れている。 楽しめたが貧困描写に量を当て過ぎてだらけてしまう。

Posted byブクログ

2021/12/20

全米の平均数値以上の犯罪率を持つフィラデルフィア。婦人警官ミッキーの語りで広がって行く家族絵図・・とりわけ実妹ケイシーとの軋轢~生い立ちから現在までの語りと状況が軸となり7割ほどが進んでいく。 酷似の内容の繰り返しは過去と現在をない交ぜにしており、泡立ち、潰れて又 泡がというエピ...

全米の平均数値以上の犯罪率を持つフィラデルフィア。婦人警官ミッキーの語りで広がって行く家族絵図・・とりわけ実妹ケイシーとの軋轢~生い立ちから現在までの語りと状況が軸となり7割ほどが進んでいく。 酷似の内容の繰り返しは過去と現在をない交ぜにしており、泡立ち、潰れて又 泡がというエピソードは正直倦んでくる。 後半の100頁、それまでの経緯をなぞるかのような出来事があたかも追認作業の様に雪崩の様にどっどっと。そこからは面白みが高まり、もの悲しい地域性が背景となった薄暗さにほのかな光が点滅、そして肝心のサスペンスの部分が解決へと運ばれる。 薬物依存、廃屋が立ち並ぶ風景と薬を買うお金欲しさからたむろする街娼、小競り合いの果ての暴力・・ 4作目となる筆者、30歳代後半と脂が乗り切った当作は家族、孤独、それをひっくるめての縁をシンプルながらも抑えた筆致でダイナミックに謳い上げている。 当作でも語られるミッキーの出自のオブライエン家の血を語る中で「プホワイト」との近接的な色彩を感じさせられた。 内包された蜜柑を覆う皮・・一袋ごとは種々のコンテンツ~仕事・セックスと恋愛・家族(何世代も繋がって)・同僚との軋轢と友情・妹の仕事仲間も含めた地域社会の繋がり等々ともするとごった煮になりそうな些事をムーアが「伝えたい」と願うメッセカラー(皮)で包含しきった秀作、快作だった。

Posted byブクログ

2021/09/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

これは素晴らしい家族小説、こういう書き方で家族を描くこともできるんだなぁ。素晴らしい! 小説は二部構成。現代パートと過去パート。 母1人で息子を育てるパトロール警官主人公ミッキーの一人称語りで、麻薬と貧困に染まるフィラデルフィア、ケンジントン地区を舞台に物語が進む。 ミッキーの妹はドラッグ依存症で行方不明。若い女性の連続殺害事件が発生し、ミッキーはその被害者が出るたび、妹ではないかと危惧する。妹探しと殺人事件の捜査、子育てに翻弄されるミッキーの姿を描くのが現代パート。 ミッキーと妹もまた、両親に捨てられ祖母に育てられるのだが、その生活は貧しく息苦しく愛情に欠けたものだった。ミッキーの一歩引いた性格とは逆に、明るく活動的な妹、二人は寄り添うように生きていくのだが。 妹の生活が乱れ始めドラッグにおぼれだしていく過程を描くのが過去パート。 貧困、シングルマザー、依存症。絶望的な生活状況とそんな中に忍び込んでくるドラッグの怖さ。 世間の絶望。ホワイトトラッシュと呼ばれる白人労働者層の凝り固まったような思想や生活様式。 現代アメリカが抱える社会問題を生活者の目線で鋭く描き出していく。読んでいて明るくなるような描写はほとんどないのだが、決して絶望ばかりでないのが救い。 他人事ではない。今の日本でも貧困家庭は増えているし、凝り固まった息苦しい思想や排他的で同調圧力を押し付ける社会風潮はネットにも地方社会にもあふれているし、飲酒なんかの依存症はまだまだ多い。 主人公の必死の日々は決して、遠いアメリカの小説に描かれている他人事ではなく、実は我々のすぐそばにある真実なのだろう。 希望をもって生き、その希望を子供や孫たちに受け継いでいくためには…俺たち世代はきちんと生きなアカンなぁと心が引き締められる思いをもって読了。

Posted byブクログ

2021/06/08

複雑な家庭環境で育ち、自らもシングルマザーであるフィラデルフィアの女性パトロール警官ミッキー。ドラッグ中毒の妹探しと連続女性絞殺事件を追うのだが…。パトロール手順とか捜査方法とかがwireや BOSCHで見たのと全然違うぞっていう違和感があり、本当に危なっかしく、なおかつ心配した...

複雑な家庭環境で育ち、自らもシングルマザーであるフィラデルフィアの女性パトロール警官ミッキー。ドラッグ中毒の妹探しと連続女性絞殺事件を追うのだが…。パトロール手順とか捜査方法とかがwireや BOSCHで見たのと全然違うぞっていう違和感があり、本当に危なっかしく、なおかつ心配した通りの最悪の状況に陥ったりする。根っからのネガティヴ思考と心配性と若干の浅はかさ、おそらく警官にはもっとも向かないタイプではないか。 それはともかくリーダビリティのある物語、時折発する息子トーマスの発言、一族の物語、フィラデルフィアの荒廃した街の雰囲気と蔓延するドラッグなど魅力的な要素とリアリティはたっぷり。警官辞めちゃったのはいいけど、この物語は続くのかな。そしてよみたいかなぁ、と言う感じ。3.6

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2021/05/12

感情のプラスマイナスで言うと、ずっとマイナス側の感情で読んでいて辛いんだけど、ありがちな展開から微妙に逸れたストーリー展開に、次第にページをめくる手が止まらなくなった。

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2020/12/28

”本の雑誌”年間ランキングから。”ザリガニの~”と双璧をなす、的な批評がなされていたから、同作を楽しんだ身としては、こちらも是非ということで。結果、個人的には”ザリガニ”の方が好きでした。動的要素は本作の方が大きくて、エンタメ的盛り上がりはこちらが勝るんだけど、独創性とか結末の意...

”本の雑誌”年間ランキングから。”ザリガニの~”と双璧をなす、的な批評がなされていたから、同作を楽しんだ身としては、こちらも是非ということで。結果、個人的には”ザリガニ”の方が好きでした。動的要素は本作の方が大きくて、エンタメ的盛り上がりはこちらが勝るんだけど、独創性とか結末の意外性はザリに軍配。もちろん本作も、そのボリュームに関わらず、かなり一気呵成に読み進められたし、求心力はたっぷりでしたが。

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2020/12/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

麻薬ビジネスの横行するペンシルベニア州ケンジントン地区では、クスリを手にする金を求めて路上で身売りする女も数多。 この地区のパトロール警官ミカエラは妹のキャシーをこの界隈でよく見かけときには連行する場に居合わせることも。 そんな日常の中、商売女ばかりを狙った連続殺人事件が発生し、ミカエラは次は妹の番なのではと身を案じる。 幼少期に育まれた姉妹の絆の消失と再生、幼い息子トーマスとミカエラで奮闘する母子家庭の苦悩と希望。 犯人を突き止めるミステリというよりは、家族の物語の色が強い。 姉と妹の気持ちが次第に離れていく様、純粋無垢な少年の素直さと大人の勝手な都合が招く不条理なシチュエーションがたまらなく切なく、読むのが辛くなることすらあったが、その湧き上がる感情こそが読書の醍醐味。 いやあ、そこはかとなく心を昂らせる描写がうまい。 読み応えありました。

Posted byブクログ

2020/11/12

現地を知らない私には、ちょっと読みにくかったかなあ。 最近のアメリカの小説の特徴なのか、物語の流れにあまり関係しない場面の細かな描写が多いように感じました。現地の様子を良く知っているアメリカの人たちには、物語のディテールがより味わえるのではないかとは思うのですが、そこまでアメリカ...

現地を知らない私には、ちょっと読みにくかったかなあ。 最近のアメリカの小説の特徴なのか、物語の流れにあまり関係しない場面の細かな描写が多いように感じました。現地の様子を良く知っているアメリカの人たちには、物語のディテールがより味わえるのではないかとは思うのですが、そこまでアメリカを知らない身には上手く整理してもらえた方がストーリーを楽しめたような気がします。 また、女性の主人公は、とんでもない苦労人だとは思うのですが、言動は好みではなかった。

Posted byブクログ

2020/10/13

ドラッグ、セックス、腐敗警察という語りつくされた感のあるミステリの題材ではある。けれども、古都フィラデルフィアの荒凉たる街をパトロールする毎日を過ごし、自身の苦悩を抱え込みながらシングルマザーとして幼い息子を育てている主人公の懸命な努力がつぶさに描かれている。過保護なまでの育児の...

ドラッグ、セックス、腐敗警察という語りつくされた感のあるミステリの題材ではある。けれども、古都フィラデルフィアの荒凉たる街をパトロールする毎日を過ごし、自身の苦悩を抱え込みながらシングルマザーとして幼い息子を育てている主人公の懸命な努力がつぶさに描かれている。過保護なまでの育児の裏の真実が徐々に明かされていく過程は痛々しくもあるが、やがて静かな感動を呼ぶ。

Posted byブクログ