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絶望を希望に変える経済学 の商品レビュー

4.2

33件のお客様レビュー

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2024/09/23

実地で研究してきた経済学者が貧困、移民、貿易などについて今起きている問題と解決策について語る。具体例が豊富で説得力がある。 新自由主義の乱暴さに対するアンチテーゼであり、筆者の丁寧な姿勢こそが分断が指摘される現代に必要な素質なのではないあと感じた。とてもよい読後感が残った。個人...

実地で研究してきた経済学者が貧困、移民、貿易などについて今起きている問題と解決策について語る。具体例が豊富で説得力がある。 新自由主義の乱暴さに対するアンチテーゼであり、筆者の丁寧な姿勢こそが分断が指摘される現代に必要な素質なのではないあと感じた。とてもよい読後感が残った。個人的には、近年はやりの脱成長論よりはこちらの方が好きだ。

Posted byブクログ

2024/07/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

第1章 経済学の信頼性 職業の信用度で、一位は看護師、最下位は政治家、下から二番目は経済学者。 経済学は医学と同じで、これが正しいと断言できる者がない。 第2章 移民について 移民は自然災害や戦争で起きる。経済的インセンティブだけではあまり増えない。 マリエル難民事件=大量の移民があっても、雇用には悪影響を与えない、ことの実証。キューバからマイアミに大量の移民が押し寄せた事件。労働市場は、単純な需要と供給曲線の結論には従わない。 1,移民がお金を使うので、労働の需要も増える。 2,機械化の進行が遅れるため。 3、増えた労働者を効率的に活用するべく、生産工程を変える。 4,既存労働者の労働と競合せず、補完する。やりたがらない仕事をやってくれるおかげで、別の仕事ができるようになる。 移民のほうが野心と丈夫な身体がある。その2世は活躍する。ジェフベゾス、スティーブジョブス、フォード、など。 人を雇うことは、普通の仕入れとは違う。首にすることは簡単ではない。そのため、無作為には雇わない。ただやすければいい、ということではない。従って、受け入れ国の労働者をそのまま代替することはない。 高技能移民の場合のほうが、既存の労働者の代替になりやすい。プラスマイナス両面があり得る。 移民は大群にはならない。移民するにはコネクション、ネットワーク、人のつながりが必要。何もないとレモン市場のように、粗悪品だけが市場に残るように思われて移民に踏み切れない。 発展途上国では、インフラ整備や都市開発の予算が限られているため、一部だけが高い家賃になり、それ以外はスラム化する。都市化は、田園都市を目指しやすいため、規制をかけて高層アパートを作らせない。その結果、周辺にスラムが広がる。生まれ故郷は心地よく、助け合いがあるため、魅力的な仕事があるとわかっていても、都市に出てくる人数も限られている。農村部の人にとって都市は不確実性の塊。 家族の面倒を見て貰うため、わざと男の子に高い教育を受けさせないこともある。 どんな産業でも企業は群れる。群れた方が、宣伝、雇用などで有利。 強制的な移民政策がかつてはあった。都市部を有利にすることで労働力を確保しようとした。 慣れ親しんだ故郷を離れることは、ハードルが高いことである。

Posted byブクログ

2024/06/05

著者の前作を読んだことがあるので、興味本位で通読。 現代社会に蔓延している問題について、新たな視点で分析しているところが本著の面白いところだった。 著者の前作を読んでなければ、恐らく手にとらなかった作品だが、視野が広がった本である。

Posted byブクログ

2024/04/05

1ヶ月以上かかって読みました。今の日本、もう既に無茶苦茶になっているから… 日本の政治家よ、読め!自民党読め!! 希望に進んでいけます様に。

Posted byブクログ

2024/03/18

今まで章単位でしか読んでいなかったので初めて通読してみたが、どの章もよく書けていて面白いし翻訳も良い。環境問題から自由貿易までトピックは幅広いが、バナジーとデュフロが本当に書きたかったのは終盤の2,3章(給付、スティグマと尊厳、ベーシックインカム、etc.)なのだろう。ただ、ここ...

今まで章単位でしか読んでいなかったので初めて通読してみたが、どの章もよく書けていて面白いし翻訳も良い。環境問題から自由貿易までトピックは幅広いが、バナジーとデュフロが本当に書きたかったのは終盤の2,3章(給付、スティグマと尊厳、ベーシックインカム、etc.)なのだろう。ただ、ここは心情的には「そうだよな」と思っても、データで相手を納得させるのが難しい領域のようにも感じた。 著者2人のコロナ禍を経ての更なる考えの深化があればぜひ聞いてみたいと思った。

Posted byブクログ

2024/02/21

貧困は減りはするも無くならないだろう、国によって貧困の程度が変わるけど富裕層は、どの国でももっとリッチになっていくんだろうと、地球も心配だし、経済学って考えた結果どうりにはなりにくいらしいし、希望はあまり持てませんでしたが、おもしろい本でした。

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2023/11/05

強いて言えば現代日本に拡大しつつある「貧困と格差」という問題の中で、筆者の専門とする開発経済学の部分部分には触れてはいたように思う。 人間が一見すると不都合な行動を取りうるというテーマは様々な学域で興味を引く議題として散見するが 合理的経済人という鏡像からではなく、実際的な人々の...

強いて言えば現代日本に拡大しつつある「貧困と格差」という問題の中で、筆者の専門とする開発経済学の部分部分には触れてはいたように思う。 人間が一見すると不都合な行動を取りうるというテーマは様々な学域で興味を引く議題として散見するが 合理的経済人という鏡像からではなく、実際的な人々の営みを突き詰めるべくして膨大な規模や時間を費やした研究のもと、統一された正解というものは見出しがたいであろうからこそ学問として面白い。

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2023/10/28

移民、関税、AIとライダット運動、温暖化、ベーシックインカムなどいろんな話題がデータをもとに書かれている。同じ著者の「貧乏人の経済学」より話題が豊富で面白かった。 行動経済学系の本に登場する実験には結構飽きてきたが、本書のデータにはインドや途上国を被験者にした実験が多く目新しい。

Posted byブクログ

2023/10/26

これまでに読んだ経済学の本の中で最も面白かった。読みやすい文体で具体的な課題(格差、移民、貿易、貧困等)について書かれているので、経済学に関する予備知識がなくても読み進められる。多くの人に読まれてほしい。

Posted byブクログ

2023/08/28

良書だった。 格差、貧困の中にある人と真摯に向き合い、なぜ経済学、政府が失敗するのか。 一つの答えとして、尊厳を持って相対すること。型にはめたプログラムと金銭ではなく、一人一人の人間に尊厳を持って向き合うことが示されていた。 福祉の現場では、生活保護であれば金銭を支給する政府と...

良書だった。 格差、貧困の中にある人と真摯に向き合い、なぜ経済学、政府が失敗するのか。 一つの答えとして、尊厳を持って相対すること。型にはめたプログラムと金銭ではなく、一人一人の人間に尊厳を持って向き合うことが示されていた。 福祉の現場では、生活保護であれば金銭を支給する政府とその恩恵を享受する受給者という上下の分断が発生するが、それは本来の福祉の目的から遠ざかり、不経済を産むということ。

Posted byブクログ