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勇者召喚に巻き込まれたけど、異世界は平和でした(9) の商品レビュー

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2020/09/11

 リリア編であり、魔王編の前哨戦が始まりつつある9巻である。  来る魔王編に向け、ネット版とは違った展開を予告するフィーアとフュンフの再会と、そこに水を差す謎のメイド型伯爵級魔族の姿など、仕込みは着々と進んでいる形だ。  今巻の加筆は、いずれ到来する地球神周りの設定開示がかなり...

 リリア編であり、魔王編の前哨戦が始まりつつある9巻である。  来る魔王編に向け、ネット版とは違った展開を予告するフィーアとフュンフの再会と、そこに水を差す謎のメイド型伯爵級魔族の姿など、仕込みは着々と進んでいる形だ。  今巻の加筆は、いずれ到来する地球神周りの設定開示がかなり早い段階で行われている点などもあるが、やはり第一章に描かれた「究極のベビーカステラ」だろう。  イラストまで用意されたベビーカステラ先輩バージョンアップ回であり、「ベビーカステラの新たな可能性」という謎の質問をして回るメインヒロインの姿が楽しめる回である。  物語を捻じれさせ、本筋を維持しながらボリュームアップを図る加筆の方が物語的には重要だが、不思議とこうした回の方が印象が強い。  たぶん、読者としては「エピソードの加筆」の方がお得感が強いからだろう。  今回も楽しく読ませていただいた。告白も含めてリリアさんの可愛さが十全に楽しめる前半など、この作品らしい魅力の濃い一巻である。  本筋としては合間の巻の印象もあるので、星四つ半相当と評価しているが、イラストの魅力も含めて、この作品の書籍化のクォリティはすこぶる高い。  なお、どうでもいい余談だが、話の流れ的に普通は引きがリア充爆発事件になるのだろうが、そうはしないのがこの作品らしいところだと思う。

Posted byブクログ