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逃亡者 の商品レビュー

3.5

53件のお客様レビュー

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2022/02/27

難しかった。 とても、難しい本やった。 内容もとても重たくて、でも、ちゃんと考えていかないといけない事だらけで。 人間に生まれて来たことが恥ずかしくなるような愚行がずっと、何年も前からどの国でも行われていて。 また、それをずーっと繰り返していこうとしている。 神の沈黙。良識のある...

難しかった。 とても、難しい本やった。 内容もとても重たくて、でも、ちゃんと考えていかないといけない事だらけで。 人間に生まれて来たことが恥ずかしくなるような愚行がずっと、何年も前からどの国でも行われていて。 また、それをずーっと繰り返していこうとしている。 神の沈黙。良識のある人の沈黙。 結局、見て見ぬふりが1番の悪。 ものすごく、沢山の事を学び、考えさせて貰える本やった。 ほんまに、世界は良くなっていくんやろか。不安しかない。

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2022/01/08

ひどい小説だ、何度も読むのを止めようか迷った。様々なテーマがただごった煮になっているだけで、全く統一されていない。また、どの登場人物にも作者の感傷以上の存在感が無く、語る言葉、思想は表面的で、作者の台本をひたすら読まされているかのようだ。そしてその作者の感傷自体にも、豊穣な深みや...

ひどい小説だ、何度も読むのを止めようか迷った。様々なテーマがただごった煮になっているだけで、全く統一されていない。また、どの登場人物にも作者の感傷以上の存在感が無く、語る言葉、思想は表面的で、作者の台本をひたすら読まされているかのようだ。そしてその作者の感傷自体にも、豊穣な深みや深刻な対立といったものが一切無い。やれ日本は右傾化しているだの、全体主義の陶酔に酔っているだの、いや、しかし右傾化してしまう人間にも大切な家族がいるのだの、本当に読んでいて情けなくなった。そんな分かりきったことをさも「この世界の苦い真実」として味わっていられる人間は、よほど能天気なんだろう。「Twitterが日本を分断している」?馬鹿も休み休み言いたまえ。僕はまだ20歳のガキだが、そんな「分断」なんてものよりも、はるかに恐ろしくて訳の分からないことが世の中に潜んでいるということをとっくに気付いている。僕だけじゃなく、誰だって本当は気付いているはずである。それを見ようとしないで安易な「対立」に酔うなんて、それこそ趣味の悪い感動ポルノである。とにかくこの作者は読者をあまりにも馬鹿にしている。せめて小説という形式で書くべきではなかったのではないか。エッセイでも勿体ない、日記か無料ブログで十分だ。 

Posted byブクログ

2021/12/27

非常に壮大でダークな物語です。読むのにかなり時間掛かったし、全貌が読み取れたかというと全然であると言わざるを得ません。 第二次世界大戦中、兵士たちを高揚させ、扇動したいわくつきのトランペット。それを巡る物語ではあるものの枝葉と、書いていない想像される末節が無数に感じられる作品で、...

非常に壮大でダークな物語です。読むのにかなり時間掛かったし、全貌が読み取れたかというと全然であると言わざるを得ません。 第二次世界大戦中、兵士たちを高揚させ、扇動したいわくつきのトランペット。それを巡る物語ではあるものの枝葉と、書いていない想像される末節が無数に感じられる作品で、読み解く力が要求されると思います。 綿々と紡がれてきた負の連鎖と、人々の持つ弑逆性。自分にも眠る暴力性の種。 普通の人々が直面した事が歴史として積み重なって現在が有る。何も特殊な人が隠れキリシタンに迫害をしたわけでも、特殊な人が戦地で民間人を虐殺したり強姦したわけでもない。 何処にでもいる普通の人々が、特殊な状況に置かれた時に狂気的な行動に走る。集団心理や極限状態の心理状態。また、差別から生まれる命の軽重。歴史から考えれば人間という生物に絶望せざるを得ないです。 人間の愚行に関してこれでもかと描かれていますが、一つ一つ見ると目新しいものではなく、教科書や本、映画等で目にしたことが有る題材です。しかしこの本の中では被虐者達が血を流して叫んでいます。血の匂いのする文章です。歴史の一部分ではなく今も続いている人間たちの物語です。

Posted byブクログ

2021/09/25

ハードボイルドや戦争ものが苦手なので、冒頭と後半はかなり読みにくかったし、後半の手記は斜め読みしちゃった。 でもやっぱりこの作者の特長として、色んな思考や思想に触れられたこと、また作品を通して少なからず歴史に触れられたことは、とても良かった。岩永マキさん。

Posted byブクログ

2021/09/21

戦争、キリスト教(隠れキリシタン)、長崎、ポリコレなど色々と要素を詰め込み、作者お得意の謎の組織や絶対悪みたいなのも混ぜつつどこか陰鬱な雰囲気のある「いかにも」というような作品。

Posted byブクログ

2021/09/07

"木崎に次ぐ絶対悪の体現者「B」登場!" というノリで感想を書いても良いのだけど、少し厳粛に書きます。 子どもの頃、歴史の授業にてキリスト教弾圧について学んだ時、正直ピンと来なかった。 なぜ弾圧を受けた人たちは踏み絵を踏めず、棄教せず、命よりも信仰を選んだん...

"木崎に次ぐ絶対悪の体現者「B」登場!" というノリで感想を書いても良いのだけど、少し厳粛に書きます。 子どもの頃、歴史の授業にてキリスト教弾圧について学んだ時、正直ピンと来なかった。 なぜ弾圧を受けた人たちは踏み絵を踏めず、棄教せず、命よりも信仰を選んだんだろう、と不思議だった。数々の酷い拷問の情報だけを得て、それを受けた人たちの内面や背景を知らなかった。 本書を読んでそれがようやく分かった。 神の愛を「御大切」と訳し、それまで虐げられることが当然であった人々の認識を変革したからだ、と。 尊厳を獲得した人がその尊厳を捨てることは、死ぬことより辛い。 作中、一番なりたくない人間に変えるという「B」から主人公山峰への脅しは、下劣なレイシストへ堕とすという具体例を提示されて為されていたワケだが、これはまさしく尊厳を奪われることであり、我が身に置き換えても想像したくない辛苦である。 現政権につながるここ10年(何なら戦後ほとんどの)の政権与党によって自国と国民が貶め続けられている状況に、作品と発言を以てはっきりと異議を唱えている中村文則という作家は、高村薫・佐藤亜紀・平野啓一郎・池澤夏樹etc...に並んで信用できるなあ、と思っている。

Posted byブクログ

2024/03/04
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久々に中村文則読んだ~!! 読むのは久々だけど文則作品に触れるのは19作目とかなので馴染みはある。なんなら「ただいま」って感覚に近い。 今回は戦争の話が主軸だった。 A、教団X、R帝国なんかでも戦争の話を書いていたよね。私は戦争作品は痛そうだしツラいし暗い気持ちになるのであまり好まないのだけど、文則だから読む…って感じ。 でも日本の歴史については「知りたくなかった」というよりかは「知っておかなきゃならない」という気持ちが、ここ数年やっと芽生えてきた。現在31歳です。 R帝国の時もそうだったんだけど、現実と物語が入り交じってるから「どれが本当でどれが創作!?」となり、スマホ片手に読んでいた。調べながら読むから必然的に歴史を知ることになる。 私はこの小説を読むまで長崎原爆で亡くなった方々のなかに、多くの潜伏キリシタンがおられたってことも知らなかったんだよ…… 自分は歴史を知らなさすぎるな、と痛感した 今まで「怖いから」と避けていたこと。それこそ「知りたくない」と避けていたこと。 グロテスクすぎて自分の中に入れたくなかったそれらは、どれも実際に起きたことなんだよなあ… トランペッター鈴木の手記もすごくツラかった 戦争に行く前に結婚を誓った愛する人の名前も顔も、何もかもを忘れてしまう恐怖。それでも相手の幸せを祈り、願う愛。 飛行機に乗った特攻隊の人たちは突撃する前にチョコレートに包んだ覚醒剤を飲まされていたというけれど、彼らはどうだっただろうか 覚醒剤を飲ませていた上官達も正気ではいられなかったんだろうけど、正気を失わないと戦えないのならそもそも戦わなければいいのに、と思ってしまう。マジで戦争はクソ。 鈴木の手記の中に「石になっても、音楽は聴けるだろうか」とあった。石になっても聴けたらいいな。音楽が石に染み込んでいけばいいのにと願う 片想いの「party kills me」という曲を思い出した。「ぼく音楽やめてもいいよ でも音楽とめたらやだよ とめないで とめないで どうなっちゃってもいいよ」という歌詞。なんか涙出てきたわ。鈴木は音楽を愛してやまない男だった。戦争なんかで君の素晴らしいトランペットを鳴らしてほしくなどなかった。 あと文則の純愛すごく好きだな!! 「去年の冬~」を読んだとき「めっちゃ純愛書いてるじゃん…なんか意外…」と失礼なことにビックリしたのだけど、もはやそれがスタンダードになってるなあと思う。好きです。 でも大体恋人のどっちか死んでない?生きて幸せになってほしい。死ぬな。傷を負わすな。 でも文則作品読むときって闇を求めてるときというか、「暗くて重い話しか読みたくない」って時でもあるんだよね。ジレンマ。 ただ冒頭らへんの肩にピカチュウのくだりは爆笑した。急なポケモンマスター。めっちゃおもろい。 でもそれがアインの部屋で見つかるあれこれに繋がっていったじゃん…?ビックリだよ……だから部屋のシーンで号泣しちゃってさ……アイン生きててほしかったな…でも「生きててほしかった」のに奪われてしまった命がこの世にはたくさんあるんだよな。 なんかこう、一括りに出来ないすごい小説だった。 大好きな一冊になりました。

Posted byブクログ

2021/07/19

2021.7.17 75 よかった。遠藤周作の沈黙を思い出した(映画版)。 hajimejiro2021

Posted byブクログ

2021/07/08
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いや、すごかった… カード師の魔女狩りもすごかったけど、これは戦争とキリシタンのダブルで本当に読むのがしんどかったです… でも史実なんですよね。一番恐ろしいのはそこ。人が一番怖い。 あらゆる時代と国をいくたびも通り抜けて 何冊もの本を一緒に読んだような感覚でした。 やっぱり文則さんはすごい……

Posted byブクログ

2021/06/29
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伝説のトランペットにまつわる物語。 導入部分では主題通り逃亡劇が始まるのかと思わせるが、どちらかというと、主人公やトランペットに関わる人々の話や歴史に割かれるページが多く、そちらのほうが読みごたえがあった。

Posted byブクログ